『カエルのおうじさま』 ひらがな むかしばなし
むかしむかし、 あるところに、 かわいい おひめさまが いました。
おひめさまは おしろの ちかくの いずみの ほとりで ボールなげを するのが だいすきです。
ところが あるとき、 なげた きんいろのボールが いずみの なかに ころがって、 そのまま しずんでしまいました。
「ああ、 どうしよう・・・」
しずんでいく きんいろの ボールを みて、 おひめさまは しくしくと なきだしました。
すると、
「ないたりして、 どうしたのですか? かわいい おひめさま」
なんと、 いずみの なかから みにくいカエルが よびかけて きたのです。
おひめさまは ちょっと びっくりしましたが、 カエルに いいました。
「たいせつな きんのボールが、 いずみの なかに おちてしまったの」
「そうですか。 では、 わたしが ひろってきて あげましょう。 でも そのかわり、 わたしを おともだちにして、 いっしょに ごはんを たべたり、 いっしょに ベッドで ねかせたり してくれますか?」
「ええ、 いいわよ」
おひめさまは カエルと やくそくしました。
でも、 カエルと ともだちに なるのは いやなので、 おひめさまは カエルが ボールを ひろってきてくれたとたん、 ボールを もって おしろに はしって かえりました。
つぎのひ、 おひめさまが みんなと しょくじを していると、 だれかが とを たたいて よびました。
「おひめさま、 とを あけてください」
「だれかしら? ・・・!」
おひめさまが とを あけると、 そこには、 あのカエルが いたのです。
「ひめや、 なにをそんなに こわがって いるのだね?」
おとうさんの おうさまに きかれて おひめさまは、 そとに ボールを ひろってくれた カエルがいて、 そのカエルと おともだちに なることを やくそくしてしまったのだと はなしました。
すると、 おうさまは いいました。
「ひめや、 あいてが カエルでも、 やくそくしたことは まもらなくては いけないよ」
「でも・・・」
「やくそくは まもりなさい」
そこで おひめさまは、 いやいやながらも カエルを へやのなかに いれると、 いっしょに ごはんを たべて じぶんの へやに つれていきました。
すると カエルは、 いっしょに ベッドで ねたいと いいだしたのです。
「まあ、 カエルの くせに!」
おひめさまは すっかりおこって、 カエルを つまみあげると、 ちからいっぱい かべに たたきつけたのです。
ところが、 カエルは したに おちたとたん、 やさしい めをした おうじさまに かわったのです。
カエルは、 わるいまじょに まほうを かけられていた おうじさま だったのです。
おひめさまは おうじさまと なかよくなり、 けっこんして しあわせに くらしました。
おしまい
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