『ねずみのよめいり』 ひらがな むかしばなし
むかしむかし、 ネズミの いっかが いました。
とうさんネズミと かあさんネズミと ひとりむすめの チューコです。
「ねえ、 おとうさん。 そろそろ チューコにも、 おむこさんを みつけなくては なりませんね」
「そうだな、 チューコは せかいいちの むすめだから、 せかいいちの おむこさんを みつけてやらないとな。 ところで、せかいいち つよいのは、 やっぱり おひさまだろうな」
とうさんネズミと かあさんネズミは、 おひさまのところへ いって たのんでみました。
「せかいいち つよい おひさま。 チューコを およめに もらって くれませんか?」
「そりゃ うれしいが、 そらに うかぶ くもは わしより つよいぞ。 わしを かくして しまうからな」
そこで、 とうさんネズミと かあさんネズミは、 くものところへ いってみました。
「せかいいち つよい くもさん。 チューコを およめに もらって くれませんか?」
「そりゃ うれしいが、 かぜは わしより つよいぞ。 わしを かんたんに ふきとばして しまうからな」
そこで、 とうさんネズミと かあさんネズミは、 かぜのところへ いってみました。
「せかいいち つよい かぜさん。 チューコを およめに もらって くれませんか?」
「そりゃ うれしいが、 かべは わしより つよいぞ。 わしが いくら ビュービューと ふいても、 わしを はねかえして しまうんじゃ」
そこで、 とうさんネズミと かあさんネズミは、 かべのところへ いってみました。
「せかいいち つよい かべさん。 チューコを およめに もらって くれませんか?」
「そりゃ うれしいが、 わしよりも つよいものが いるぞ。 それは ネズミじゃ。 ネズミに かじられたら、 わしも おしまいだからな 」
「なんと、 せかいで いちばん つよいのは、わしら ネズミだったのか」
そこで チューコは、 めでたく ネズミの およめさんに なりました。
おしまい