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『君、忘れしことなかれ』お弁当を忘れていった娘へのパロディレター

『君、忘れしことなかれ』 作:あなたの まま子

あゝ わが娘よ 君を泣く
君 忘れしことなかれ

1人生まれし 君ならば
母の愛情 増さりしも
朝はテレビを 点けよとて
十四までを 育てしや
遅刻しそうに バタバタと
学校行けと 教えしや

家に戻りて マンガ見て
荷物そのまま 菓子を食べ
明日の準備を しなくとも
大人になれると 教えしや
ルーズな大人に なれよとて
中学までを 育てしや

あゝ わが娘よ 君を泣く
働く母は キャラ弁に
愛が詰まると 誤解して
イライラしながら 作りしも
母をはじめて 十四年
これがあなたの 母なるぞ

尊敬する与謝野晶子氏をバカにする意図は決してありません💦
お弁当を忘れていった娘に、ついつい出た愚痴として
学校まで届けたお弁当に添えられた日常のパロディレターです。

------以下原文

『君死にたまふことなかれ』 作:与謝野晶子

あゝおとうとよ、君を泣く
君死にたまふことなかれ
末に生まれし君なれば
親のなさけはまさりしも
親は刃をにぎらせて
人を殺せとをしへしや
人を殺して死ねよとて
二十四までをそだてしや

堺の街のあきびとの
旧家をほこるあるじにて
親の名を継ぐ君なれば
君死にたまふことなかれ
旅順の城はほろぶとも
ほろびずとても何事ぞ
君は知らじな、あきびとの
家のおきてに無かりけり

君死にたまふことなかれ
すめらみことは戦ひに
おほみずから出でまさね
かたみに人の血を流し
獣の道で死ねよとは
死ぬるを人のほまれとは
おほみこころのふかければ
もとよりいかで思されむ

あゝおとうとよ戦ひに
君死にたまふことなかれ
すぎにし秋を父ぎみに
おくれたまへる母ぎみは
なげきの中にいたましく
わが子を召され、家を守り
安しときける大御代も
母のしら髪はまさりぬる

暖簾のかげに伏して泣く
あえかにわかき新妻を
君わするるや、思へるや
十月も添はで 別れたる
少女ごころを思ひみよ
この世ひとりの君ならで
ああまた誰をたのむべき
君死にたまふことなかれ


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