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『ホテル・ハッピーエンド』
城下町に住んでいた。という書き出しでこの物語は始まる。主人公のヤコは城下町で育ち、子供の頃はお姫様に憧れた。
場面は現代に戻りヤコは14歳、中学2年生だろうか。今はそんな煌びやかな生活とは無縁の、平凡な学生生活を送っている。ただ1人と、その契約を除いて。
この一段落目は、すこし現実離れしている。それは「お城」の描写が子供の頃のヤコの視点でしか描かれていないから。
「夏期講習」や「千葉から東京」
「ハニービターハニー」
恋とは何か、わたしのそんな疑念にひとつの解答を与えた。恋心は言葉では表せないけれど、確実にそれに近いなにかに触れたのがこの作品だった。あまくて、にがくて、あまい。名詞の甘さがあまったるかったり、あまくなかったり。
ビールも煙草もにがくて泣いてしまう。不快ではないけれど。
愛じゃないんだよ。人は何かを得ようとするときに何かを失う。愛を、相手を引き換えに自分を失う。慣れてしまえば、失って空いた穴も
『リーガルリリー YAON 2023』でみつけた光
2023年7月2日、小望月の夕暮れ時。日比谷野外音楽堂で、ひとつの扉がひらいた。野音に声が響いたとき、雨が上がったんだな、とおもった。ばかばっかの戦場にいのちが流れていた。
人生ではじめてのライブだった。はじめてで、右も左も分からないわたしを3人が手をにぎって連れていってくれるような感覚だった。ギターが耳に、ベースが心臓に、ドラムが脳にわたしの知らない衝撃を与えた。あれは、ほのかさんがこの地で
「夜空はいつでも最高密度の青色だ」
はじめて詩集というものに触れた。twitterでいくつかの文を見る機会があって、最果タヒという詩人を知った。
はじめの印象は、絶望を与えてくれる存在だった。どうしてかわからないけど無責任な希望を与える現実に対して、絶望を与えてくれる詩は、わたしにとって共感的で、唯一寄り添ってくれる存在だと思えた。
詩集を読んでから、わたしという人間の存在とか、愛とか、死生観について、最果タヒの視点もくわえた多角