連載小説-Deserve-両極フェチ人生-
昔から『ふりきっちゃってる』人とか作品が大好き
昔ハマってた海外のロックバンド
ビジュアル的に必ず中性的なブロンドと、黒髪の長身マッチョタイプがいるんだけど、その両方が好きで
その2人の間をとるフツーっぽいというか親しみのあるメンバーは全く興味がなかった
ブロンドと黒髪
女性的なボーカルも長身のドラムもすき
白と黒がいい
中学生時代
みんながクラスの男子の誰だれがいい、とか言いだしてファンになったりしていく年頃
当時は友だちの推してるピシッとした学級委員の『端正な秀才』くんのファン、という事になってたけど、じつは『クラスのムードメーカー』的なユル〜い芸人っぽい男子も同じくらいいいと思ってた
左から右にだんだん濃くなるグラデーションの目盛りがあったら、その両極をいいと思う
白か黒かの『どちらか』じゃなく、中間のどれでもなくまっ白とまっ黒だけに目がいく
大学生時代
ある日頭のてっぺんから足の先まで、カチッとした保守的ファッションで固めたかと思うと、翌日はロックTシャツ、ダメージジーンズに鼻ピアス、ネイルとゴツい指輪でガッツリいくみたいな事がよくあり、お正月には着物をきたり、日によってまるで別人みたいな装いをしていた
落語、相撲、歌舞伎、日本の伝統芸能が大好きなかたわら、ゴリッゴリの海外のヘビメタのライブに行きまくり、その中間にあるみんなが聴いてるポピュラーな日本の音楽シーンとか、キャッチーな海外ロックバンドとかはどうでもよかった
こういう両極端な嗜好と行動の理由がずっとナゾだったが、あるとき急にハッキリした
それは物事は両極に行けばいくほど純度が高まるからだ
まっ白は混じり気のない純度100%の白で、まっ黒はやはり純正の黒なんだ
つまり両極は一見対極にみえて、両方とも純度は同じ
混じり気のない、ふりきったもの
良くも悪くも極端にピュアなものに強烈に惹かれる、という傾向
長い歴史の中でムダなものがそぎ落とされ発展し、完成された美を追求し続ける伝統芸能と、既存のハーモニーとかファッションの概念を全否定する爆音でしかないメタルも、それぞれに振り切ってて両方カッコいい
女子大で日本文学を専攻し、源氏物語の講義をうけた足でヘビメタのライブに行き、鼓膜を破壊していたジキルとハイドのような日々
日本の歴史ある伝統が大好きなまま、まだ国として新しい故郷とは正反対の北米文化圏カナダにきて生活する
夫は繊細なフレンチシェフで、迷わず人助けができるあたたかいハートの持ち主だが、フセイン政権下で10年の兵役をへて2度の従軍を生きぬいたシビアな兵士でもある
長男は10歳だが飛び級でカトリックスクールの6年生に通い、4歳の次男は自閉症っ子でいま話すのは5単語のみ
世間の評価が分かれる2人だが、私にはどちらもそれぞれ天使のようにかわいい
常に白と黒の両極が点在する人生