小説家チャレンジ11日目。
けさもカナダは樹々も凍てつく-15℃。ゆうべ寝る前にお腹がすいて、キノアトーストとチキン胸肉のハムを深夜にがっつり食べてしまった。そのカロリーを燃やさないといけないので、朝ごはんまえに子供たちの学校のしたくをすませ、送り出してから筋トレ。
腹筋(正面とサイド)100x5、腕立て40x5、桃尻トレーニング動画10分、肩腕立て100回。終えてから自家製ビーツジュースとベーコン・チーズ・野菜のせトースト。からの執筆。
ダニエルとのいちばん楽しかった思い出は、デイビットとトモミも一緒に4人でいった江ノ島。まゆみは神奈川に生まれながら、いちども行ったことがない。ダニーはすでに友だちと何度か来たことがあって、その日はアメリカ人に江ノ島を案内してもらうことになった。ダニエルと2人で電車にのり、鎌倉駅で東京方面から来るデイブたちを待つ間も、ワクワクして楽しかった。
そのあと4人で江ノ電にゆられ、はじめての江ノ島に到着。島へつづく橋のたもとの店で、大きなサザエを焼いている。通りすぎると、しょうゆの焼ける煙と磯のにおいがあたりいっぱい漂った。
橋を渡ると、ダニーは観光客でにぎわう参道をはずれて、いきなり脇の雑木林に入って行く。彼につづいて皆で道のない林の中をぬけ、支えあいながらデコボコの斜面をおりていくと、急に目のまえにあかるい砂浜が広がっていた。すぐそこにつめたい冬の海が波打っている。
靴をぬいで、4人でしばらく波打ちぎわでキャッキャと騒いだような記憶がある。けっきょくその日は有名な江ノ島神社にも行かず、イカも食べなかった。お昼に参道にある蕎麦屋に入り、お土産屋さんをのぞいたくらいで、日帰りの鎌倉を楽しんだ。
ダニエルと2人で、ロマンチックなデートした思い出は全然ない。思いついたら連絡して、いつも学生みたいなボロい普段着で待ちあわせ、お互いの友人と男女数人で、地元で遊ぶことが多かった。学生時代、友だちが少なかったまゆみには、そんな仲間といっしょにすごす何でもない時間が、いちいち新鮮ですべてが楽しい思い出だった。そんなハッピーな時を過ごすうち、とうとうビザがおり、まゆみのカナダ行きの日が近づいていた。