やさぐれエッセイ-Deserve-『満月に吠える50才』
月曜の4:30amに目がさめた
寝るまえ生理痛止めにのんだ飲んだペインキラーがきれたのと、満月のせいだ
いつもベッドでJJと体をくっつけあって寝てるので、しばらくすると私がいないのに気づき、息子も5:00起き
寒いリビングで5歳児を抱っこしたままTVをみる
窓の外は真っ暗、月も凍りつく-12℃
2時間ほどいっしょに映画を見ているあいだ、ネットでNPOを検索。JJの歯科手術代を援助てもらえるようメールで2件問い合わせた
やっと復職して会社の保険が使えるようになった。JJは自閉症なので麻酔しないと治療できないため、それでも個人で30万負担することになった。
歯科にも分割払いを相談したり、夏からあらゆる行政の補助、NPO団体に申請してきたが全滅。
ダメもとで、ある子供援助団体に治療代のローンを申込み、医療費30%を負担してくれる機関に申請してみた
言葉を話せない子の治療代、親としては全額ポンと出してあげたいけど、それができないもどかしさと申し訳なさを抱きつつ、JJのやわらかい体をギュッと抱きしめた
7時になりデイケアがオープンしたので、まず車をあたため2人ともしっかり防寒して送っていくことに。
満月がこうこうと照らす暗い道を走り、JJの通う園に到着
雪で覆われた駐車場に、赤いチェックの分厚いジャケットのフードをかぶり、手袋とスノーブーツ姿でおりたったJJは、お人形さんのようにかわいい
だまって手をつなぎ大人しく玄関に入った
エントランスで出迎えた先生の手をとり、廊下を歩いて行きながら、JJがふりむいて急に『bye』とボソッとつぶやいて手をふり、口に手のひらをあてて私に向かって投げキスをした
そのあとこわばった顔に笑顔をつくって、親指を立ててOKのサインをした息子のけなげな姿に手をふってこたえ、急いで車にもどった
たった5分とめただけで車内はもう凍りついている
窓から空を見上げると、満月の青白い光がカナダの夜空にさえわたっていた
エンジンをかけ車道にでると、いろんな感情が一気に押しよせてきて涙がとまらない
ほぼ話せない息子が、ほんとうは私と一緒にいたい気持ちをおさえて、私を安心させようとでない言葉を絞り出したいじらしさ
治してあげたいけど治療代を払えない自分のふがいなさ
自由に言葉を操って、コミュニケーションをとっているお友だちに囲まれて、話せない孤独感を抱えつつ、親が仕事してる間デイケアで、まいにち何時間もがんばっている息子
神さま、どうかJJがまた話せるようにして下さい!
神さま、どうかJJの歯を治してあげて下さい!
どうか私たち家族がしあわせに暮らせるだけの、お金を授けてください!
JJの私たちもみんなしあわせになっていい
幸せに生きていい
私たちは幸せな人生を送っていいんだ!
I deserve happy life!!!
わたしは幸せになっていい!!
クリスマス直前
いつのまにか涙で頬をぬらしながら、冷たく輝くカナダの満月に向かって吠えていた