マガジンのカバー画像

文色みち【ショートショート集】

23
私が書いた約1000~2000文字前後のショートショート(掌編小説)をまとめておくマガジンです。
運営しているクリエイター

#超短編小説

夢物語り【#ショートショート】

夢を見た。 でも、どんな夢だったのか。まるで覚えていない。それでもなぜか“夢を見た”という事実だけは、はっきりと覚えているの。 この感覚を誰かに話しても、きっとわかってもらえないだろう。――他人の夢の話など、最もつまらないものなのだから。 ただ、わたしにはたった一人だけ、わたしが見た夢の話に耳を傾けてくれる人がいた。 ただ、笑ったり悲しんだりはしない。 「おもしろかった」って、一言ぐらい欲しいと願っても罰は当たらないはずよね。 夢のことを語る度に、わたしの心は重く