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北欧旅行記①準備編


この旅行記は私たち夫婦が、2023年9月に北欧3カ国を旅した時のことを書いたものです。


◯なんでも願いが叶うなら

 「なんでも願いが叶うなら、何をして生きていきたい?自分の能力も、年齢も、環境も、世間体も、お金も、将来の心配とかも、ぜーんぶ無視していい。何をやっても絶対にうまくいくって分かっているなら何をする?」

 飲み会やお茶の席などで、周りの人たちにこの質問をするのが大好きだ。
 その人の本当の願いを聞くことで、今まで知らなかった一面が見られたりするし、何よりみんな、結構楽しそうに語り始めてくれるから。

 実際に聞いてみると「あなただったら、絶対そういうだろうと思った!」というものから、「それが好きだなんて全然知らなかった。びっくり!」という答えまで、人によって様々。
 ひょっとしたらこれから叶うかもしれない、前向きな夢の話ならワクワク感もひとしおだし興味深い。可能性としてはありえないような話でも、深堀りして聞いてみると本人の中ではビジョンが結構具体的だったりして面白かったりする。どちらにしても、単純におしゃべりの話題として楽しい。 何歳の人でも、大抵はキラキラと目を輝かせて教えてくれる。

 そして 一通り話した後は、決まって
 「それで?イリはどうなの?」
 という流れになる。コミュニケーションの基本はキャッチボールだというから、相手も気を使ってインタビュアーをバトンタッチしてくれるのかもしれない。
 
 だけど私は長らく「これだ!」という、満足のいく回答を見つけられていなかった。

 考えてみても、分からなかったのだ。自分の本当の望みが。 だからこそ人に聞いてまわることで、自分なりに「なんでも願いが叶うなら、何をして生きていきたい?」への答えを探そうとしていたのかもしれない。
 
 2023年。コロナが落ち着いたのかどうかは正直何ともいえないけれど、今年に入ってからはまた海外旅行へ行けるようになったり、マスクを外して良くなったりと、今までの日常が戻ってきた感がある。
 久しぶりに旅に出たり、少し先の見通しが立てられるようになったら「なんでも願いが叶うならどう生きる?」に対しての、自分なりの答えが自然と見えてきた。

 それは「本を片手に自由に世界を旅しながら、思うままに絵や文章を書いて暮らしたい」ということだった。

 自分にとって活字を読むことは、どんなに忙しくても具合が悪い時もやめられない、趣味を超えた人生の一部となっている。
 きっとこの先も、いつどこにいても可能な限り続けていく営みなんだろうと感じる。

 一方で、経験したことやその時に感じた気持などを文章や絵などで表現することも好きだ。昔から、話すよりも書くことのほうが解像度高く伝えられる手段だったし。
 それに旅は、いつも心を動かしてくれる。新しい景色に連れて行ってくれる。日常のできごとをみつめて書いていくことも愛おしく幸福な作業だけれど、旅の思い出にはまた一味違う「書き残しがい」がある。
 
 これまでの旅でも気ままに日記やメモを書いてきたけれど、もっとたくさん…できるかぎり詳細に書いておけばよかったと、こぼれ落ちる細かな記憶を惜しみながら思った。

 なぜこんなに本や文章に魅せられているのか、自分でも良くわかっていない。だけど、読み書きすること自体にとても癒されるし、読み書きで色んな人と、時や場所を超えて通じ合えた時「魂の解放」を感じる。
 いつか自分の書くものが、偶然出会ってくれた誰かの癒しや心の解放にもつながれば、これ以上嬉しいことはないと思う。

 でも現実、私は普通に会社勤めをする兼業主婦である。さすらいの芸術家のような暮らしなんてできるわけがない。英語も全然できないし体力もサバイバル能力もない。おまけに方向音痴だから、仕事をやめて放浪の旅になんてでたら、人生路頭に迷うだけでなくリアルに道にも迷う。そもそも、自ら旅行を計画するほどの行動力もない。

 そうやって心の中で、できない言い訳を並べていたけどある時ふと閃いてしまった。
「とりあえず、長期休みの度に旅に出る暮らしなら、今からでもできるんじゃない?」 と。
 
 引退後に旅行すればいいやって思ってたって、その時状況が許すかはわからない。旅には出れる時に出ておかないとということを、コロナ禍で痛感したじゃないか…と、どんどんその気になってきた。

 今回の北欧旅行はそんな思いから始まった。
 つまり「本を片手に自由に世界を旅しながら、思うままに絵や文章を書いて暮らす」ことができるのか…の初の試みなのである。

 ついつい前置きが長くなってしまったけれど、そんな私の第一歩である旅行記にお付き合いいただけると嬉しいです!

やりたいことをやれる幸せを噛みしめて

◯もう自由にやることにした

さっそく心をくじかれかける

 そもそも旅行記と紀行文って何か違うの…?って疑問もあったのだけど、もう色々難しいことを考えるのはやめて「書きたいことを書きたいように書けばいいや。」と開き直ることにした。
 こんなの旅行記とはいえないとか、おもしろくないとか言われたとしても、これ以上面倒になって書くこと自体を諦めたり、ルールに縛られて勢いをなくす方が惜しかったから。
 幸いにも今の自分は、色んな表現方法を手にしている。せっかくだし、とにかく自由に旅して自由に書くこう!と決めた。

 というわけで、この旅行記は次のような構成になった。
 もうね、家を出て空港に行って〜どころではなく、準備するところから書いちゃう。笑
「入国したところから読ませろ〜」という方は、デンマーク編から読んでも全然OK。リンクから飛んでみてね。

①準備編(この記事)
②出発編
③デンマーク編
④フィンランド編
⑤スウェーデン編
⑥帰国編
⑦おまけの読書編

 少しでも何かの参考になったら嬉しいです。
 ……まぁなんのタメにもならなかったとしても、ゆるっとスキマ時間にでも読んでもらって、行った気分を少しでも味わってもらえたら…!

◯登場人物紹介


①私…30代の兼業主婦。図書館勤務。
 趣味は「書くこと」で、日記、エッセイ、マンガ、イラスト、作文、小説など、いろんなジャンルをさまよっているよ。

 「読むこと」も大好きで、一人暮らしをしていた独身時代は、家具という家具の引き出しに本を詰めた結果、全て底抜けにしてしまった前科持ち。それからは反省して、本を所有するのはほどほどにしている。(とはいいつつ、我が家のウォークインクローゼットはほぼウォークイン本棚になっているけど…)

以前にこんなマンガを描いていたら、いつの間にか本当に図書館で働くことになっていた。


 仕事以外は結構自由気ままに生きているくせに、もっともっと読書をしたり書いたりしたくて、時間がいくらあっても足りないなぁ…と思っている。

②夫…私と同い年のサラリーマン。お金に関する仕事をしている。
きちんとした性格でお金の管理が得意なので、家計はお互いオープンにしつつも細かいことは夫に任せている。計画的な貯金だけでなく、色々な制度を調べたり、マメにマイル集めやポイ活ができるタイプで素直に尊敬する。(私にはとうてい無理…)

 趣味は「旅行」。ここまで旅行に思い入れがある人を、私は今までみたことがなかった。旅の計画も好きで趣味で人の旅行をプロデュースしたり、旅行の最中に次の計画を練っているほど。

 あとは「飛行機」も大好き。もしかしたら本当は、旅行より飛行機が目当てなのかもしれないと思う。空港の前で一晩中飛行機を眺めていられるほどのオタク。いつも色々説明してくれるものの、ガチ勢すぎて何いってるかわからないので聞き流している。
 単に飛行機が趣味といっても、機材のことだけでなく航空会社やマイル、空港やラウンジなど守備範囲は幅広い。私もいつも恩恵にあずかっている…!

 ちなみにコロナ禍で「旅行に行けない飛行機も乗れない」となっていた期間はまじで病んでいて可哀想だった。楽しい予定がないと生きていけないタイプ。

◯役割分担

ほぼ夫頼み

 海外に行く時は、予算を抑えるためにたいてい個人旅行なのだけど、旅好き計画好きの夫が全て予約しプロデュースしてくれるので、いつも私は仕事の休みを合わせてついていくだけ。
 さらに夫は多少英語ができるので、その点でも頼っている。でも、大事な話を聞く時などは2人で必死にリスニングして、得られた情報を持ち寄る作戦をとる。

 一方私は、記録係といってもこうやって自由気ままに個人的な日記を書き残し、あとはスマホで好き勝手に写真や動画をとっているだけのお気楽な担当である。
 ナビは、夫が地図が苦手なので「◯◯に行きたい」となったら私がマップと勘を駆使して案内する。サポートというのは、夫が不測の事態とかが苦手なので、アイデアやアイテムを出したり(アプリとかね、ドラえもんみたいになんでも出るわけじゃないよ)、励ましたりしてピンチを乗り切る時に一役買う。当然、出番は少ない方が嬉しいのだけど、まぁ必ず何かは起きるよね…。ぜひ本編をお楽しみに!笑

 そんなわけで、2人で知恵を寄せあい苦手をフォローしあって一人前。それでようやくなんとか渡っていけるといった具合。喧嘩をあまりしないのは、そういう自覚がお互いにあるおかげかもしれない。

運命共同体

 ちなみに旅行の予算は「旅行貯金」という共通の積立てをしているのでそこから出していて、予算取りから執行まで全て夫に任せている。夫はお小遣いの残りを入れたり、◯◯したつもり貯金なども駆使して貯めている熱の入れよう。

 この旅行貯金により、結婚してから今までで2人で何度か海外に行ったが、今回旅行記に残すにあたって、はじめてその内訳を聞いてみたら、きっちり積立の予算内に収まっていた。
 「すごいなぁ…こういう役に立つこと趣味だったら、周りの人も幸せにすることができるよなぁ」と感心する。実際、夫は旅行を計画して親にプレゼントしたりもしているし。夫は自分が旅行好きなので、「親孝行=旅行に連れていくこと」という想いが強いみたい。(うちの親兄弟も連れてってもらったことある)
 私は自分の特技や趣味を活かして、何か親孝行や周りに貢献できることってあるかなぁ〜?と考えてしまう。

 まぁそれはさておき、結婚するまでは夫がこんなに旅行好きで、ついでに飛行機オタとは知らなかった。新婚旅行でハワイに行くことになった時、やたら張り切って全部やってくれて…というか本性を現して、その時初めて気づいたのだ。

 私の「旅して書いて生きたい」は、この夫と出会ったからこそ生まれた夢だと思う。元々は自分で手配してまで旅行に行かないタイプで、夫に連れられて国内外色々なところに行き、色んな経験をさせてもらったからこそ出た発想に違いない。
 大人になったらこんな風に思うようになるなんて、昔は全然想像もしていなかったよ。

 人間は、環境によって夢が変わるという。私だって、原始時代に生きていたらマンガ描きたいとか本を書きたいとかは、思いつくことすらできないはずだし、インターネットのない時代には、旅の記録をネットで公開したいという発想は生まれ得ない。
 だからもしかして、私が旅をしながらネットに色々書き残していくことは運命で決まっていて、そのためにこういう夫と出会ったんじゃないかと思う。
 日本という国に生まれてマンガに馴染み、表現手段として選んだってこともそうだ。この国のこの時代に生まれたこと、全てに意味があるんじゃないかなと、ロマンチックなことを考えてしまう。
 そして全てが偶然でも必然でも、とても幸運なことに思える。今の人生を肯定しながら生きているということだから。

◯旅の行程

 夫はコロナ前からずっと「スイスかカナダに行きたい」と言っていたので、今年はどちらになるのかなぁと思っていたが「エアーのシートがとれた」(※飛行機のチケットを確保できることをツウぶって言うとこうなるらしい)とかで、蓋を開けてみたら北欧に行くことになっていた。

 だけど、「今回偶然にも北欧に行くことになったのはなぜだろう?」と、意味をみいだそうとしてしまうのが私。これはもう考え方の癖のようなものだね。
でも答えを焦ることもないというのも、どこかでちゃんとわかっている。旅する中で、きっと少しずつ腑に落ちる答えが見えてくると思うから。

 なんて悠長なことを言っているけれど、2人の休みを合わせられたのは7日間のみ。だから旅程はこんなにも弾丸!

大丈夫そう?

 ヘルシンキに至っては「せっかくだから寄ってくか!」と詰め込んだので、滞在時間が24時間しかない。芸能人のロケじゃあるまいし…。地図にするとこんな感じ。

全部飛行機移動

 「こんなカスったくらいじゃぁ、行ったうちに入らん!」と言われるかもしれない。でも知らない憧れの街を、一目でいいから見たかったからいいんだ。
 
 ずっと同じ都市に滞在してのんびり暮らすようにする旅も、ちょっと無理してでも色々回るのもどちらも良い点がある。結果的に私たちは結構満足できたからよし!

◯持ち物

 YouTubeとかでパッキング動画を見るのが結構好きなので、自分バージョンも描いてみたよ。

だいたいこんな感じ

 観光する時は基本ポシェットだけで、必要に応じて傘や水を入れて出かける。
イラストには描き忘れたけど、買い物して思わず荷物が増えた時など用に、エコバッグも小さくして入れておくのを忘れずに。特に北欧はエコにはうるさいからね。いい意味で。
 リュックは飛行機に乗る時用のグッズを入れておいて、主に機内持ち込み用として使う。

 「本を片手に、書きながら旅をする」というのが私の願望のミソであるので、本は気持ち多めに。(電子書籍も活用!)
 そして書くためのスマホとiPadは必須。折りたたみキーボードも、今回の旅のために導入したけど、とても便利。実際この旅行記は、旅をしながら全てリアルタイム…とまではいかずとも、移動時間や諸々の待ち時間を使って追っかけで書いたので、ホテルやラウンジなどで活躍した。

 その代わり、下着などは宿泊先で洗濯して着回すため少なめでOK。
 帰りにお土産を入れるスペースのために、できるだけ行きのスーツケースは空けておきたい。片側半分カラが理想…。

 だけど服は厳選して持って行ったつもりでも、大体「いつもこんなにいらなかったな…」ってなる。今回も寒さが予想できず、無駄に防寒着を持って行ってしまった。現地で服が買えそうな国なら(物価が高すぎないとか、良いデザインのものが売ってそうとかで)、極力持っていくのを減らして現地調達もアリかも。怖くてまだやったことないけど。笑

 そして、女性のみなさんはわかってくれると思うけど、化粧品やケア用品類をいかにコンパクトにするかが重要課題。
 こういう時のために、試供品はコツコツ溜めるよね笑

楽さが一番

 まだ色々と改善の余地がありそうだけど、あぁでもないこうでもないと悩み工夫する時間も、割と楽しかったりする。

次回!北欧旅行記出発編へつづく…
(やっと…出国します笑)

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