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薄紫のパンジーとおしゃべりな観葉植物の話し

小さな花屋の庭でパンジーたちが咲き誇っていました。赤や黄色の花々が目を引く中、控えめな薄紫のパンジーだけは、一鉢88円という値札をぶら下げてぽつんと置かれていました。


今朝の景色

薄紫のパンジーはいつも思っていました。
「なんで私だけ安いのかな……?みんなと同じように日差しを浴びてるのに。」

ある日、店の中からそんな薄紫のパンジーをじっと見ていたのは、濃い緑の観葉植物。「観葉植物」という名前の通り、花は咲かないけれど、深い緑の葉が静かに人々を癒していました。

そんな観葉植物が突然、心の中でパンジーに話しかけました。
「パンジーの君、悩んでるんだろう?でも僕から見たら、毎日水をもらえて羨ましいよ!」

薄紫のパンジーは驚いて、少し笑いながら答えました。
「どうして?毎日水をもらうのが羨ましいの?」

観葉植物はクスクス笑いながら言いました。
「だって僕なんか水やりは3日に1回なんだよ。たまに1週間忘れられることだってある!でもね、僕の場合はそれくらいがちょうどいいの。あんまりたくさん水をもらうと、逆に肥えちゃうからね~、知らんけど♪」

パンジーはその言葉に驚きました。
「そんなに少なくても大丈夫なの?私はちょっとでも水がないとすぐにしおれちゃうよ。」

観葉植物は葉っぱをゆっくり揺らしながら答えました。
「そうだろうね。でもそれが君の魅力なんだ。毎日水をもらって、一生懸命咲く姿を見ると、人は元気をもらえるんだよ。僕は僕のペースでのんびりしてるけど、君みたいな花がいるからこそ、世界は明るくなるんだ。」

薄紫のパンジーは、ちょっとだけ恥ずかしくなりながらも、なんだか胸が温かくなるのを感じました。

「ありがとう、観葉植物さん。あなたのおかげで少し自信が持てたよ。」

その日の夕暮れ、観葉植物は小さな声でこう呟きました。
「僕もね、君みたいに一生懸命咲いてみたいな。でも、まぁ肥えちゃうと困るしね~、知らんけど!」

そして薄紫のパンジーも、風に揺れながら小さく笑いました。

とさ。




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