厚生年金保険法・本来の老齢厚生年金

☆65歳以後の老齢厚生年金の支給要件
☆在職老齢年金
☆老齢厚生年金の加給年金額が加算される要件
☆老齢厚生年金の支給繰上げ・支給繰下げ

厚生年金保険の保険給付の種類
①老齢・・・老齢厚生年金
②障害・・・障害厚生年金、障害手当金
③死亡・・・遺族厚生年金
(④脱退・・・脱退一時金)※平成6年改正において経過的な措置として創設

厚生年金保険法
第三章 保険給付
第一節 通則
第32条(保険給付の種類)
この法律による保険給付は、次の通りとして、政府及び実施機関が行う。
一 老齢厚生年金
二 障害厚生年金及び障害手当金
三 遺族厚生年金

第33条(裁定)
保険給付を受ける権利は、その権利を有する者(受給権者)の請求に基いて、実施機関が裁定する。

第36条(年金の支給期間及び支払期月)
年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終るものとする。
2.年金は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。
3.年金は、毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれの前月分までを支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月でない月であっても、支払うものとする。

第36条の2(二月期支払の年金の加算)
前条第三項の規定による支払額に一円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てるものとする。
2.毎年三月から翌年二月までの間において前項の規定により切り捨てた金額の合計額(一円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)については、これを当該二月の支払期月の年金額に加算するものとする。

第二節 老齢厚生年金
第42条(受給権者)
老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が、次の各号のいずれにも該当するに至ったときに、その者に支給する。
一 六十五歳以上であること。
二 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年以上であること。

14.本来の老齢厚生年金
・定額部分の被保険者期間の上限は、昭和21年4月2日以後生まれは480月、昭和20年4月2日から昭和21年4月1日生まれは468月、昭和19年4月2日から昭和20年4月1日生まれは456月、昭和9年4月2日から昭和19年4月1日生まれは444月を上限とする。
・老齢厚生年金の報酬比例部分の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数については、定額部分の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数と異なり、上限は設けられていない。

・特別支給の老齢厚生年金の受給権は、65歳に達したとき消滅するため、65歳から老齢基礎年金及び老齢厚生年金の支給を受ける場合は、実施機関に裁定請求をしなければならない。

・男性昭和36年4月1日以前生まれ、女性昭和41年4月1日生まれで、老齢基礎年金の受給資格期間10年があり、厚生年金保険に1年以上加入していた場合、特別支給の老齢厚生年金の受給ができる。

・裁定請求とは、年金の受給資格が発生したとき、年金を受給する権利のある人が、所定の要件を満たしていることを申告し、その確認、裁定を求める手続きのこと。日本の公的年金の受給においては、年金の受給資格が発生したとき自動的に年金が開始されるのではなく、自分で年金を受け取るための手続きが必要となる。老齢年金など受給する場合、自分で国や共済組合などの保険者に請求を行わなければならない。

15.本来の老齢厚生年金
老齢厚生年金と障害基礎年金を併給する場合において、同一の子について両年金の加算対象となる場合には、加算額が重複しないように、老齢厚生年金の加給年金額に相当する部分の支給を停止する。

16.本来の老齢厚生年金
・70歳未満の人が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上で厚生年金保険の適用事業所に勤務する場合、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合がある。これを、在職老齢年金という。

・基本月額とは、加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額

・総報酬月額相当額とは、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額を12で割ったものの合計

・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が50万円以下だと、全額支給

在職老齢年金による調整後の年金支給額は、基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2

17.本来の老齢厚生年金
退職改定とは、厚生年金保険に加入している70歳未満の老齢厚生年金の受給権者が退職し、かつ、厚生年金保険に加入することなく1月を経過したときに、退職した翌月分から年金額を改定する仕組み。厚生年金保険に加入している70歳未満の老齢厚生年金の受給権者が70歳に達したときは、70歳に到達した翌月分から年金額が改定される。
厚生年金に加入し続けた場合、毎年10月に基準日の属する月前の被保険者期間(前年9月から当年8月まで)を計算の基礎として年金額の再計算が行われる(在職定時改定)

18.本来の老齢厚生年金
・在職定時改定の対象は、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者。

・在職老齢年金の仕組みによる年金額調整の対象となるのは、老齢厚生年金の受給権者が被保険者の資格を前月以前の月に属する日から引き続き有している場合。

19.本来の老齢厚生年金
老齢厚生年金の加給年金額の加算対象となる配偶者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受けている場合であっても、当該老齢厚生年金について、当該配偶者に係る加給年金額に相当する部分の支給は停止されない。

20.本来の老齢厚生年金
1.老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、厚生年金保険法別表の各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「再評価率」)を乗じて得た額の総額を当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう)の1,000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。
2.再評価率については、毎年度、厚生年金保険法第43条の2第1項第1号に掲げる率(物価変動率)に第2号及び第3号に掲げる率を乗じて得た率(名目手取り賃金変動率)を基準として改定し、当該年度の4月以降の保険給付について適用する。
3.受給権者が65歳に達した日の属する年度の初日の属する年の3年後の年の4月1日の属する年度(基準年度)以後において適用される再評価率(基準年度以後再評価率)の改定については、上記2の規定に関わらず、物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)を基準とする。

21.本来の老齢厚生年金
1.被保険者期間が240月以上ある者の老齢厚生年金の額については、受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の2級以上に該当する障害の状態にある子に限る)があるときは、原則として、老齢厚生年金の額に加給年金額が加算される。また、受給権者がその権利を取得した当時胎児であった子が出生したときは、その出生の翌月から年金の額が改定される。
2.加給年金額の対象者である配偶者が、昭和61年4月1日において60歳以上である場合には、旧法が適用されて老齢基礎年金が支給されないことから、配偶者が65歳に達した後も加給年金が加算される。
3.妻が65歳に達して老齢基礎年金を受給するときの年金水準との格差を是正するために、受給権者が昭和9年4月2日以後生まれのときは配偶者の加給年金額に特別加算を加算する。


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