労働安全衛生法・目的等、安全衛生管理体制

労働安全衛生法は、労働者の職場での安全と健康にかかわる事柄を定めた法律。

目的
労働安全衛生法は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危険防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

事業者の責務
事業者は、単に労働安全衛生法で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。

設計者等の責務
機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。

注文者等の責務
建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施行方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。

労働者の責務
労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。

・労働災害とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。

・労働者とは、労働基準法9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事業所に使用される者及び家事使用人を除く)をいう。

・事業者とは、事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。

・化学物質とは、元素及び化合物をいう。

・作業環境測定とは、作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む)をいう。

事業者に関する規定の適用
2以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの1人を代表者として定め、これを都道府県労働局長に届け出なければならない。
上記の場合においては、当該事業を代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、労働安全衛生法を適用する。
尚、代表者の届出がないときは、都道府県労働局長が代表者を指名する。

・鉱山保安法の適用を受ける鉱山における保安(安全確保)については鉱山保安法の規定が適用され、労働安全衛生法の規定は、原則として、保安以外の事柄について適用される。
・船員法の適用を受ける船員については、労働安全衛生法の規定は適用されない。

総括安全衛生管理者
労働安全衛生法では、労働者の安全と健康を確保するため、事業場ごと、あるいは建設現場等の場所ごとに、事業者に対して安全衛生管理体制を確立することを義務付けている。全産業に共通する事業場ごとの安全衛生管理体制について。
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、統括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は救護に関する技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、安全衛生に関する業務(①労働者の危険又は健康障害を防止するための措置②労働者の安全又は衛生のための教育の実施③健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置④労働災害の原因の調査及び再発防止対策⑤労働災害を防止するため必要な業務で厚生労働省令で定めるもの(安全衛生に関する方針の表明、危険性又は有害性等の調査、表示対象物及び通知対象物による危険性又は有害性等の調査並びにこれらの結果に基づき講ずる措置等))を統括管理させなければならない。
※事業者は、統括安全衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、かつ、遅滞なく選任報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。なお、安全管理者、衛生管理者及び産業医についても同様。統括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。

統括安全衛生管理者の選任義務が発生するのは、①林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業は、常時使用者数100人以上②製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業常時使用労働者数300人以上③その他の業種は常時使用労働者数1,000人以上

・都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。

安全管理者
事業者は、統括安全衛生管理者の業種の事業場で、常時50人以上の労働者を使用するものにあっては、その事業場ごとに安全管理者を選任しなければならない。
安全管理者は、統括安全衛生管理者が統括管理する業務のうち、安全に係る技術的事項を管理するとともに、作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。また、事業者は、安全管理者に対し、安全に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。

第十一条(安全管理者)
事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く)のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。
2.労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。

・労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。衛生管理者も同様。

安全管理者は、次のいずれかの資格を有する者でなければならない。
①次のいずれかに該当する者で、厚生労働大臣が定める研修を修了したもの。
・大学又は高等専門学校における理科系等の正規の過程を修めて卒業した者等で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
・高等学校又は中等教育学校において理科系等の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
②労働安全コンサルタント
③その他厚生労働大臣が定める者

・安全管理者は、その事業場に専属の者を選任しなければならない。ただし、2人以上の安全管理者を選任する場合において、当該安全管理者の中に労働安全コンサルタントがいるときは、当該労働安全コンサルタントのうち1人については、事業場に専属(その事業場のみに勤務すること)の者でなくても差し支えない。1人のみの安全管理者の選任の場合は、専属の者でなければならない。

次の事業場では、安全管理者のうち少なくとも一人を専任(通常の勤務時間をもっぱらその具用務に費やすこと)の安全管理者としなければならない。
①建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業・・・常時300人以上の使用労働者数
②無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業・・・常時500人以上
③紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業・・・常時1,000人以上
④過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える上記1~3以外の安全管理者を専任すべき業種の事業場・・・常時2,000人以上

衛生管理者
事業者は、すべての業種において、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、事業場の規模に応じて、次の人数の衛生管理者を専任しなければならない。
事業場の規模常時使用労働者数50人以上200人以下・・・1人以上
常時200人を超え500人以下・・・2人以上
常時500人を超え1,000人以下・・・3人以上
常時1,000人を超え2,000人以下・・・4人以上
常時2,000人を超え3,000人以下・・・5人以上
常時3,000人を超える場合・・・6人以上

衛生管理者は、統括安全衛生管理者が統括管理する業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理するとともに、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければいけない。また、事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。

衛生管理者、次の資格を有する者のうちから選任しなければならない。
①都道府県労働局長の免許(第1種衛生管理者免許、第2種衛生管理者免許又は衛生工学衛生管理者免許)を受けた者
②医師又は歯科医師
③労働衛生コンサルタント
④その他厚生労働大臣の定める者

・衛生管理者、その事業場に専属の者を専任しなければならない。ただし、2人以上の衛生管理者を専任する場合において、当該衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、当該労働衛生コンサルタントのうち1人については、事業場に専属の者でなくても差し支えない。

・次の事業場は衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければならない。
①常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
②常時500人を超える労働者を使用し、かつ、一定の有害業務(労働基準法36条に規定されている「1日につき2時間を超えて時間外労働をさせることができない坑内労働その他健康上特に有害な業務」)に常時30人以上の労働者を従事させる事業場

産業医
事業者は、すべての業種において常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに産業医を専任しなければならない。また、常時3,000人を超える労働者を使用する事業場においては、2人以上の産業医を専任する必要がある。

産業医は、労働者の健康管理等を行うとともに、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置をとらなければならない。なお、作業場等の巡視については、産業医が、事業者から毎月1回以上、次の1および2に掲げる事項について情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2月に1回行えば足りる。
①衛生管理者が行う巡視の結果
②①のほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であって、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの

事業者は、産業医に対し、労働者健康管理等をなし得る権限を与えなければならない。また、事業者は産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない。

産業医は、勧告、指導又は助言をすることができるが、労働者の健康を確保するため必要があえると認めるとき事業者に対し労働者の健康管理等について勧告をしようとするときはあらかじめ、当該勧告の内容について、事業者の意見を求めるものとされている。
事業者は、この勧告を受けた後遅滞なく、当該勧告の内容及び当該勧告を踏まえて講じた措置又は講じようとする措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。事業者は、産業医が勧告をしたこと又は勧告、指導若しくは助言をしたことを理由として産業医に対し、解任その他不利益な取り扱いをしないようにしなければないけない。

産業医は医師であって、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えたものでなければならない。産業医は、次に掲げる者以外の者のうちから選任する。
①事業者が法人の場合にあっては、当該法人の代表者
②事業者が法人でない場合にあっては、事業を営む個人
③事業場においてその事業の実施を統括管理する者
①②は事業場の運営について利害関係を有しない者を除く。

安全衛生推進者・衛生推進者
事業者は、安全管理者の選任を要する事業場及び衛生管理者の選任を要する事業場以外の事業場で、使用する労働者の数が常時10人以上50人未満の事業場ごとに、安全衛生推進者(安全管理者の選任を要する業種以外の事業場にあっては、衛生推進者)を専任しなければならない。

作業主任者
事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるもの(アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接等の作業、一定の放射線業務に係る作業等)については、作業主任者を選任しなければならない。

第十四条(作業主任者)
事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

安全委員会
事業場における安全衛生を確保するために、事業者は、次表の事業場ごとに、安全委員会を設けなければならない。
林業・鉱業・建設業・運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、清掃業、自動車整備業、機械修理業・・・常時50人以上の使用労働者数
安全管理者の選任を要する業種(上記以外)・・・常時100人以上
※安全委員会(衛生委員会、安全衛生委員会)を設置したことやその開催状況を行政官庁に届け出る必要はない。

調査審議事項
安全委員会は次の事項を調査し、事業者に対し意見を述べるものとされている。
①労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。
②労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
③労働者の危険の防止に関する重要事項

委員
安全委員会の委員の議長は、安全委員会の委員でもある統括安全衛生管理者又は統括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずるもののうちから事業者が指名した者(1人)がなる。
ほかの安全委員会の委員は、安全管理者のうちから事業者が指名した者、当該事業場の労働者で安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指定したもののいずれか。
統括安全衛生管理者の選任対象となる事業場においては、統括安全衛生管理者が安全委員会の委員および議長にならなければいけない。統括安全衛生管理者以外の委員の半数は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときは労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の推薦により指名しなければいけない。衛生委員会、安全衛生委員会も同様。

衛生委員会
事業者は、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生委員会を設けなければならない。

調査審議事項
衛生委員会は、次の事項を調査審議し、事業者に対し意見を述べるものとされている。
①労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
②労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
③労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
④労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項。

・衛生委員会の議長は統括安全衛生管理者又は統括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者(1名)がなる。
・衛生委員会の委員には、必ず産業医を加えなければならないが、専属の者である必要はない。
・事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを衛生委員会の委員として指名することができる。

安全衛生委員会
事業者は、安全委員会および衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置できる。
・安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。

問題演習・安全衛生管理体制3.
統括安全衛生管理者の選任は、その選任すべき事由が発生した日から14日以内に行わなければならない。
☆事業者は、統括安全衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。

・安全管理者の選任を要する業種は、林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業等一定の業種。

・都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。

・常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場の事業者は、安全衛生推進者(安全管理者を選任すべき業種以外の業種の事業場にあっては、衛生推進者)を選任しなければならない。

労働安全衛生法
第二章 労働災害防止計画
第六条(労働災害防止計画の策定)
厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(労働災害防止計画)を策定しなければならない。

第七条(変更)
厚生労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害防止計画を変更しなければならない。

第八条(公表)
厚生労働大臣は、労働災害防止計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

第九条(勧告等)
厚生労働大臣は、労働災害防止計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者、事業者の団体その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる。

第三章 安全衛生管理体制
第十条(統括安全衛生管理者)
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、統括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持促進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの。
2.統括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。
3.都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。

5.
・安全管理者は、作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するために必要な措置を講じなければならないが、巡視の頻度については特に規定されていない。

・産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から、毎月1回以上、衛生管理者が行う巡視の結果等の一定の情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2月に1回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則
第六条(安全管理者の巡視及び権限の付与)
安全管理者は、作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2.事業者は、安全管理者に対し、安全に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。

第三節 衛生管理者
第七条(衛生管理者の選任)
法第12条第1項の規定による衛生管理者の選任は、次の定めるところにより行わなければならない。
一 衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任すること。
二 その事業場に専属の者を選任すること。ただし、二人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に第10条第3号に掲げる者(労働衛生コンサルタント)がいるときは、当該者のうち一人については、この限りでない。
三 次に掲げる業種の区分に応じ、それぞれに掲げる者のうちから選任すること
イ 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業・・・第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第十条各号に掲げる者(医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント、厚生労働大臣の定める者)
ロ その他の業種・・・第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第十条各号に掲げる者

四 次の表の上欄に掲げる事業場の規模に応じて、同表の下欄に掲げる数以上の衛生管理者を選任すること。
50人以上200人以下・・・1人
200人を超え500人以下・・・2人
500人を超え千人以下・・・3人
千人を超え二千人以下・・・4人
二千人を超え三千人以下・・・5人
三千人を超える場合・・・6人
五 次に掲げる事業場においては、衛生管理者のうち少なくとも一人を選任の衛生管理者とすること。
イ 常時千人を超える労働者を使用する事業場
ロ 常時五百人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第十八条各号に掲げる業務に常時三十人以上の労働者を従事させるもの

6.常時千人以上の労働者を使用する事業場又は一定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければならない。

・事業者は、高圧室内作業については作業主任者を選任しなければならないが、当該作業主任者は、都道府県労働局長の免許を受けた者でなければならない。

・派遣中の労働者に関しての統括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者又は衛生推進者及び産業医の選任の義務は、派遣先及び派遣元の事業者双方に課せられており、当該事業場の規模の算定に当たっては、派遣先及び派遣元のそれぞれの事業場において、派遣中の労働者を含めて、常時使用する労働者の数を算出することとされている。

7.
・通信業の事業場において、常時100人以上の労働者を使用する場合には、安全委員会及び衛生委員会を設けなければならない。

・安全員会又は衛生委員会を設けなければならない事業者は、その委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならない。

・事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会の開催の都度、遅滞なく、これらの委員会における疑似の概要を所定の方法によって労働者に周知させなければならない。

8.
・派遣中の労働者に関しての安全委員会の設置の義務は、派遣先の事業者のみに課せられている。当該事業場の規模の算定に当たっては、派遣先の事業場において、派遣中の労働者も含めて、常時使用する労働者の数を算出する。衛生委員会の設置義務は、派遣元及び派遣先の事業者双方に課せられている。

・事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会の開催の都度、所定の事項(①委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容②委員会における議事で重要なもの)を記録し、これを3年間保存しなければならない。

・事業者は、衛生委員会の委員として産業医を指名しなければならないが、当該産業医は、その事業場に専属の者でなくてもよい。
※安全衛生委員会の委員として指名される産業医も同様。

・労働安全衛生法が定める衛生委員会の調査審議事項には、労働者の精神的健康の保持促進を図るための対策の樹立に関する事項が含まれている。

・産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。

9.
1.産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から、毎月1回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2月に1回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
(1)労働安全衛生規則第11条第1項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果
(2)上記1に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であって、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの

2.安全衛生推進者又は衛生推進者は、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者その他統括安全衛生管理者が統括管理すべき業務(衛生推進者にあっては、衛生に係る業務に係る)を担当するため必要な能力を有すると認められる者のうちから選任しなければならない。






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