労働安全衛生法・事業者等の講ずべき措置等、機械等並びに危険物及び有害物に関する規制

事業者は、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(表示対象物及び通知対象物による危険性又は有害性等を除く)を調査し、その結果に基づいて、労働安全衛生法または同法に基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
安全管理者(統括安全衛生管理者の業種の事業場※林業鉱業建設業運送清掃100人以上、製造業300人以上、その他の業種1000人以上※で、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、事業場ごとに安全管理者を選任する)を選任しなくてもよい業種の事業者については、化学物質、化学物質を含有する製剤など労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのある物についてのみ調査等の責務が課せられている。

・元方事業者は、業種の如何にかかわらず、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法又は同法に基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行い、もしこれらの者が当該仕事に関し、これらの規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならない。

・建設業の元方事業者(特定元方事業者)は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。

・特定元方事業者は、その労働者及ぶ関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の必要な措置を講じなければならない。
1.協議組織の設置及び運営を行うこと
2.作業間の連絡及び調整を行うこと
3.毎作業日に少なくとも1回、作業場所を巡視すること
4.関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと
5.建設業の特定元方事業者にあっては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人が労働安全衛生法又は同法に基づく命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導を行うこと
6.その他当該労働災害を防止するため必要な事項

・製造業(特定事業(造船業は特定元方事業者の責務の規定が適用されるため)を除く)の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない。

・注文者は、その請負人に対し、当該仕事に関し、その指示に従って当該請負人の労働者を労働させたならば、労働安全衛生法又は同法に基づく命令の規定に違反することとなる指示をしてはならない。
化学物質、化学物質を含有する製剤その他の者を製造し、又は取り扱う設備で政令で定めるものの改造その他の厚生労働省令で定める作業に係る仕事の注文者は、当該物について、当該仕事に係る請負人の労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

・一定の移動式クレーン又は一定の車両系建設機械等を他の事業者に貸与する者(機械等貸与者)は、当該機械等の貸与を受けた事業者の事業場における当該機械等による労働災害を防止するため、当該機械等をあらかじめ点検し、異常を認めたときは、補修その他必要な整備を行う等の所定の措置を講じなければならない。

・事務所又は工場の用に供養される建築物を他の事業者に貸与する者(建築物貸与者)は、当該建築物の全部を1の事業者に貸与するときを除き、当該建築物の貸与を受けた事業者の事業に係る当該建築物による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

・事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めなければならない。

・建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で一定のものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと等の措置を講じなければならない。厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、救護に関する措置のうち技術的事項を管理する者(救護技術管理者)を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。

・特に危険な作業を必要とする機械等を指す特定機械等とは、ボイラー(小型ボイラーを除く)第1種圧力容器(小型圧力容器等を除く)つり上げ荷重が3トン以上(スタッカー式クレーンにあっては、1トン以上)のクレーン、つり上げ荷重が3トン以上のデリック、積載荷重が1トン以上のエレベーター(簡易リフト及び建設用リフトを除く)ガイドレールの高さが18メートル以上の建設用リフト(積載荷重が0.25トン未満のものを除く)、ゴンドラである。

・特定機械等の製造にあたっては、あらかじめ都道府県労働局長の許可を受ける必要がある。移動式クレーンの場合は、製造した時(またはそれに準ずる事由発生時)に都道府県労働局長等の検査を、固定式クレーンの場合は設置する時(又はそれに準ずる事由発生時)に労働基準監督署長の検査をそれぞれ受けなければならない。これらの検査に合格したクレーンには、検査証が交付(又は裏書)される。検査証には有効期間が定められ、この後は性能検査を受け、これを更新することで構造劣化・安全機能低下等の有無をチェックしていく。

・特定機械等を製造しようとする者は、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。特定機械等のうちボイラー、第1種圧力容器、移動式クレーンおよびゴンドラはとりわけ危険なので、製造、輸入、使用を廃止したものを再び設置又は使用するとき、厚生労働省令で定める期間(ボイラー、第1種圧力容器及びゴンドラは原則1年以上、移動式クレーンは原則2年以上)設置されなかったものを設置しようとするとき、都道府県労働局長又は厚生労働大臣の登録を受けた者(登録製造時等検査機関)の製造時等検査を受けなければならない。

・検査証の有効期間(ボイラー、第1種圧力容器、エレベーター、ゴンドラは原則1年、クレーン、移動式クレーン、デリックは原則2年、建設用リフトは設置から廃止までの期間)の更新を受けようとする者は、当該特定機械等及びこれに係る一定事項について、厚生労働大臣の登録を受けた者(登録性能検査機関)が行う性能検査を受けなければならない。

労働安全衛生法 第42条(譲渡等の制限)
特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

・機械等のうち、重大災害に直結するようなものを製造・輸入した場合は、機械等を個々に検定する個別検定またはサンプル抽出したものを検定する型式検定を受けなければならない。規格等の具備が確認できないようなものを譲渡等した者には、回収等の命令が出される。

・個別検定の対象となる機械等は、ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式のもの、第2種圧力容器、小型ボイラー、小型圧力容器。これらを製造し、又は輸入した者は、厚生労働大臣の登録を受けた者(登録個別検定機関という)が個々に行う当該機械等についての検定(個別検定)を受けなければならない。

・個別検定を受けた者は、当該個別検定に合格した機械等に、当該個別検定に合格した旨の表示を付さなければならない。(表示が付されていないものは使用してはならない。)

・型式検定の対象となる機械等は、ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式以外の制動形式のもの、動力により駆動されるプレス機械のうちスライドによる危険を防止するための機構を有するもの、防護具等(防塵マスク、防毒マスク等)で、これらの機械等を製造し、又は輸入した者は、厚生労働大臣の登録を受けた者(登録型式検定機関)が行う当該機械等の型式についての検定(型式検定)を受けなければならない。

・型式検定を受けた者は、当該型式検定に合格した型式の機械等を本邦において製造し、又は本邦に輸入したときは、当該機械等に、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付さなければならない。(表示が付されていないものは、使用してはならない。)

・登録型式検定機関は、型式検定に合格した型式について型式検定合格証を申請者に交付する。型式検定合格証の有効期間の更新を受けようとする者は、型式検定(更新検定)を受けなければならない。

・厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第42条の機械等を製造し、又は輸入した者が、当該機械等で、企画等を具備していると認められないものなどを譲渡し、又は貸与した場合には、その者に対し、当該機械等の回収又は改善を図ること、当該機械等を使用している者へ一定事項を通知することその他当該機械等が使用されることによる労働災害を防止するため必要な措置を講ずることを命ずることができる。

労働安全衛生法
第45条(定期自主検査)
事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。(記録の保存期間は通常3年間)

・事業者は、定期自主検査のうち特定自主検査を行うときは、その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有するもの又は検査業者に実施させなければならない。

労働安全衛生法
第2節 危険物及び有害物に関する規制
第55条(製造等の禁止)
黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるもの(石綿、ベンゼンを5%を超えて含有するゴムのり等)は、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。

第56条(製造の許可)
ジクロフベンジジン、ジクロフベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

第57条(表示等)
爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は製造許可物質を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。

一 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 人体に及ぼす作用
ハ 貯蔵又は取扱い上の注意
ニ イからハまでに掲げるもものほか、厚生労働省令で定める事項

・パイプラインで送る場合のように、危険・有害物を容器又は包装を用いないで譲渡又は提供する場合には所定の事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない。

・SDSとは、安全データシートの略称
第57条の2(文書の交付等)
労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第56条1項の製造許可物質(通知対象物)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。

一 名称
二 成分及び含有量
三 物理的化学的性質
四 人体に及ぼす作用
五 貯蔵又は取扱い上の注意
六 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

2.通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により、変更後の各項各号の事項を、速やかに、譲渡し、又は提供した相手方に通知するよう努めなければならない。

・リスクアセスメントとは、表示対象物及び通知対象物による危険性又は有害性等の調査(主として一般消費者の用に供される製品に係るものを除く)

第57条の3(第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物について事業者が行うべき調査等)
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。

2.事業者は、前項の調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずる(事業者の義務)ほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

リスクアセスメント対象物健康診断の実施等
事業者は、リスクアセスメント対象物による健康障害の防止のため、リスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師または歯科医師(医師等)が必要と認める項目について、医師等による健康診断を実施し、その結果に基づき必要な措置を講じなければならない。また、濃度基準値設定物質について、労働者が濃度基準値を超えてばく露したおそれがあるときは、速やかに、医師等による健康診断を実施し、その結果に基づき必要な措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則
第12条の6(保護具着用管理責任者の選任等)
化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として、労働者に保護具を使用させるときは、保護具着用管理責任者を選任し、次に掲げる事項を管理させなければならない。
一 保護具の適正な選択に関すること
二 労働者の保護具の適正な使用に関すること
三 保護具の保守管理に関すること

第34条の2の10(改善の指示等)
労働基準監督署長は、化学物質による労働災害が発生した、又はそのおそれがある事業場の事業者に対し、当該事業場において化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあると認めるときは、当該事業場における化学物質の管理の状況について改善すべき旨を指示することができる。

労働安全衛生法
第57条の4(化学物質の有害性の調査)
化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存の化学物質として政令で定める化学物質以外の化学物質(新規化学物質)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときその他政令で定める場合は、この限りでない。
一 当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質について予定されている製造又は取扱いの方法等からみて労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。
二 当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、既に得られている知見等に基き厚生労働省令で定める有害性がない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。
三 当該新規化学物質を試験研究のため製造し、又は輸入しようとするとき。
四 当該新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品(当該新規化学物質を含有する製品を含む)として輸入される場合で、厚生労働省令で定めるとき。



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