労働安全衛生法・事業者等の講ずべき措置等、機械等並びに危険物及び有害物に関する規制
事業者は、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(表示対象物及び通知対象物による危険性又は有害性等を除く)を調査し、その結果に基づいて、労働安全衛生法または同法に基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
安全管理者(統括安全衛生管理者の業種の事業場※林業鉱業建設業運送清掃100人以上、製造業300人以上、その他の業種1000人以上※で、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、事業場ごとに安全管理者を選任する)を選任しなくてもよい業種の事業者については、化学物質、化学物質を含有する製剤など労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのある物についてのみ調査等の責務が課せられている。
・元方事業者は、業種の如何にかかわらず、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法又は同法に基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行い、もしこれらの者が当該仕事に関し、これらの規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならない。
・建設業の元方事業者(特定元方事業者)は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。
・特定元方事業者は、その労働者及ぶ関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の必要な措置を講じなければならない。
1.協議組織の設置及び運営を行うこと
2.作業間の連絡及び調整を行うこと
3.毎作業日に少なくとも1回、作業場所を巡視すること
4.関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと
5.建設業の特定元方事業者にあっては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人が労働安全衛生法又は同法に基づく命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導を行うこと
6.その他当該労働災害を防止するため必要な事項
・製造業(特定事業(造船業は特定元方事業者の責務の規定が適用されるため)を除く)の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない。
・注文者は、その請負人に対し、当該仕事に関し、その指示に従って当該請負人の労働者を労働させたならば、労働安全衛生法又は同法に基づく命令の規定に違反することとなる指示をしてはならない。
化学物質、化学物質を含有する製剤その他の者を製造し、又は取り扱う設備で政令で定めるものの改造その他の厚生労働省令で定める作業に係る仕事の注文者は、当該物について、当該仕事に係る請負人の労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
・一定の移動式クレーン又は一定の車両系建設機械等を他の事業者に貸与する者(機械等貸与者)は、当該機械等の貸与を受けた事業者の事業場における当該機械等による労働災害を防止するため、当該機械等をあらかじめ点検し、異常を認めたときは、補修その他必要な整備を行う等の所定の措置を講じなければならない。
・事務所又は工場の用に供養される建築物を他の事業者に貸与する者(建築物貸与者)は、当該建築物の全部を1の事業者に貸与するときを除き、当該建築物の貸与を受けた事業者の事業に係る当該建築物による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
・事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めなければならない。
・建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で一定のものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと等の措置を講じなければならない。厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、救護に関する措置のうち技術的事項を管理する者(救護技術管理者)を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。
・特に危険な作業を必要とする機械等を指す特定機械等とは、ボイラー(小型ボイラーを除く)第1種圧力容器(小型圧力容器等を除く)つり上げ荷重が3トン以上(スタッカー式クレーンにあっては、1トン以上)のクレーン、つり上げ荷重が3トン以上のデリック、積載荷重が1トン以上のエレベーター(簡易リフト及び建設用リフトを除く)ガイドレールの高さが18メートル以上の建設用リフト(積載荷重が0.25トン未満のものを除く)、ゴンドラである。
・特定機械等の製造にあたっては、あらかじめ都道府県労働局長の許可を受ける必要がある。移動式クレーンの場合は、製造した時(またはそれに準ずる事由発生時)に都道府県労働局長等の検査を、固定式クレーンの場合は設置する時(又はそれに準ずる事由発生時)に労働基準監督署長の検査をそれぞれ受けなければならない。これらの検査に合格したクレーンには、検査証が交付(又は裏書)される。検査証には有効期間が定められ、この後は性能検査を受け、これを更新することで構造劣化・安全機能低下等の有無をチェックしていく。
・特定機械等を製造しようとする者は、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。特定機械等のうちボイラー、第1種圧力容器、移動式クレーンおよびゴンドラはとりわけ危険なので、製造、輸入、使用を廃止したものを再び設置又は使用するとき、厚生労働省令で定める期間(ボイラー、第1種圧力容器及びゴンドラは原則1年以上、移動式クレーンは原則2年以上)設置されなかったものを設置しようとするとき、都道府県労働局長又は厚生労働大臣の登録を受けた者(登録製造時等検査機関)の製造時等検査を受けなければならない。
・検査証の有効期間(ボイラー、第1種圧力容器、エレベーター、ゴンドラは原則1年、クレーン、移動式クレーン、デリックは原則2年、建設用リフトは設置から廃止までの期間)の更新を受けようとする者は、当該特定機械等及びこれに係る一定事項について、厚生労働大臣の登録を受けた者(登録性能検査機関)が行う性能検査を受けなければならない。
労働安全衛生法 第42条(譲渡等の制限)
特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。
・機械等のうち、重大災害に直結するようなものを製造・輸入した場合は、機械等を個々に検定する個別検定またはサンプル抽出したものを検定する型式検定を受けなければならない。規格等の具備が確認できないようなものを譲渡等した者には、回収等の命令が出される。
・個別検定の対象となる機械等は、ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式のもの、第2種圧力容器、小型ボイラー、小型圧力容器。これらを製造し、又は輸入した者は、厚生労働大臣の登録を受けた者(登録個別検定機関という)が個々に行う当該機械等についての検定(個別検定)を受けなければならない。
・個別検定を受けた者は、当該個別検定に合格した機械等に、当該個別検定に合格した旨の表示を付さなければならない。(表示が付されていないものは使用してはならない。)
・型式検定の対象となる機械等は、ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式以外の制動形式のもの、動力により駆動されるプレス機械のうちスライドによる危険を防止するための機構を有するもの、防護具等(防塵マスク、防毒マスク等)で、これらの機械等を製造し、又は輸入した者は、厚生労働大臣の登録を受けた者(登録型式検定機関)が行う当該機械等の型式についての検定(型式検定)を受けなければならない。
・型式検定を受けた者は、当該型式検定に合格した型式の機械等を本邦において製造し、又は本邦に輸入したときは、当該機械等に、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付さなければならない。(表示が付されていないものは、使用してはならない。)
・登録型式検定機関は、型式検定に合格した型式について型式検定合格証を申請者に交付する。型式検定合格証の有効期間の更新を受けようとする者は、型式検定(更新検定)を受けなければならない。
・厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第42条の機械等を製造し、又は輸入した者が、当該機械等で、企画等を具備していると認められないものなどを譲渡し、又は貸与した場合には、その者に対し、当該機械等の回収又は改善を図ること、当該機械等を使用している者へ一定事項を通知することその他当該機械等が使用されることによる労働災害を防止するため必要な措置を講ずることを命ずることができる。
労働安全衛生法
第45条(定期自主検査)
事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。(記録の保存期間は通常3年間)
・事業者は、定期自主検査のうち特定自主検査を行うときは、その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有するもの又は検査業者に実施させなければならない。
労働安全衛生法
第2節 危険物及び有害物に関する規制
第55条(製造等の禁止)
黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるもの(石綿、ベンゼンを5%を超えて含有するゴムのり等)は、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
第56条(製造の許可)
ジクロフベンジジン、ジクロフベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
第57条(表示等)
爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は製造許可物質を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
一 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 人体に及ぼす作用
ハ 貯蔵又は取扱い上の注意
ニ イからハまでに掲げるもものほか、厚生労働省令で定める事項
・パイプラインで送る場合のように、危険・有害物を容器又は包装を用いないで譲渡又は提供する場合には所定の事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない。
・SDSとは、安全データシートの略称
第57条の2(文書の交付等)
労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第56条1項の製造許可物質(通知対象物)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。
一 名称
二 成分及び含有量
三 物理的化学的性質
四 人体に及ぼす作用
五 貯蔵又は取扱い上の注意
六 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2.通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により、変更後の各項各号の事項を、速やかに、譲渡し、又は提供した相手方に通知するよう努めなければならない。
・リスクアセスメントとは、表示対象物及び通知対象物による危険性又は有害性等の調査(主として一般消費者の用に供される製品に係るものを除く)
第57条の3(第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物について事業者が行うべき調査等)
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。
2.事業者は、前項の調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずる(事業者の義務)ほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
リスクアセスメント対象物健康診断の実施等
事業者は、リスクアセスメント対象物による健康障害の防止のため、リスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師または歯科医師(医師等)が必要と認める項目について、医師等による健康診断を実施し、その結果に基づき必要な措置を講じなければならない。また、濃度基準値設定物質について、労働者が濃度基準値を超えてばく露したおそれがあるときは、速やかに、医師等による健康診断を実施し、その結果に基づき必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生規則
第12条の6(保護具着用管理責任者の選任等)
化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として、労働者に保護具を使用させるときは、保護具着用管理責任者を選任し、次に掲げる事項を管理させなければならない。
一 保護具の適正な選択に関すること
二 労働者の保護具の適正な使用に関すること
三 保護具の保守管理に関すること
第34条の2の10(改善の指示等)
労働基準監督署長は、化学物質による労働災害が発生した、又はそのおそれがある事業場の事業者に対し、当該事業場において化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあると認めるときは、当該事業場における化学物質の管理の状況について改善すべき旨を指示することができる。
労働安全衛生法
第57条の4(化学物質の有害性の調査)
化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存の化学物質として政令で定める化学物質以外の化学物質(新規化学物質)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときその他政令で定める場合は、この限りでない。
一 当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質について予定されている製造又は取扱いの方法等からみて労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。
二 当該新規化学物質に関し、厚生労働省令で定めるところにより、既に得られている知見等に基き厚生労働省令で定める有害性がない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき。
三 当該新規化学物質を試験研究のため製造し、又は輸入しようとするとき。
四 当該新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品(当該新規化学物質を含有する製品を含む)として輸入される場合で、厚生労働省令で定めるとき。
12.事業者の講ずべき措置等
造船業以外の製造業の元方事業者についても、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置等の必要な措置を講じなければならないとされている。
労働安全衛生法
第四章 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置
第二十条(事業者の講ずべき措置等)
事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 機械、器具その他の設備(機械等)による危険
二 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
三 電気、熱その他のエネルギーによる危険
第二十一条
事業者は、掘削(くっさく)、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2.事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
第二十二条
事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
二 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
三 計器監視、精密工作等の作業による健康障害
四 排気、排液又は残さい物による健康障害
第二十三条
事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。
第二十四条
事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
第二十五条
事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。
第二十五条の二
建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。
一 労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと。
二 労働者の救護に関し必要な事項についての訓練を行うこと。
三 前二号に掲げるもののほか、爆発、火災等に備えて、労働書救護に関し必要な事項を行うこと。
2.前項に規定する事業者は、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の措置のうち技術的事項を管理する者(救護技術管理者)を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。
第二十八条(技術上の指針等の公表等)
厚生労働大臣は、第20条から第25条まで及び第25条の2第1項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な業種又は作業ごとの技術上の指針を公表するものとする。
2.厚生労働大臣は、前項の技術上の指針を定めるに当たっては、中高年齢者に関して、特に配慮するものとする。
3.厚生労働大臣は、次の化学物質で厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う事業者が当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針を公表するものとする。
一 第57条の4(化学物質の有害性の調査)第4項の規定(厚生労働大臣は、第1項の規定による届出があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聴き、当該届出に係る化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、届出をした事業者に対し、施設又は設備の設置又は整備、保護具の備付けその他の措置を講ずべきことを勧告することができる)による勧告又は第57条の5第1項の規定による指示に係る化学物質
二 前号に掲げる化学物質以外の化学物質で、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるもの
4.厚生労働大臣は、第1項又は前項の規定により、技術上の指針又は労働者の健康障害を防止するための指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該技術上の指針又は労働者の健康障害を防止するための指針に関し必要な指導等を行うことができる。
第二八条の二(事業者の行うべき調査等)
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(第57条第1項の政令で定める物及び第57条の2第1項に規定する通知対象物による危険性又は有害性等を除く)を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。
第二十九条(元方事業者の講ずべき措置等)
元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならない。
2.元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならない。
3.前項の指示を受けた関係請負人又はその労働者は、当該指示に従わなければならない。
第二十九条の二
建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。
・統括安全衛生責任者を選任しなければならない業種は建設業、造船業の2業種で、これらは特定事業といわれる。一の場所で行う仕事の一部を関係請負人(協力会社)に請け負わせている最も先次の注文者を元方事業者といい、特定事業の場合は元方事業者が同一の場所で複数の関係請負人に仕事を請け負わせることが多いことから、混在作業時における労働災害防止の観点より、特定事業の元方事業者は、特定元方事業者と定められ、安衛法令上の各種義務を負う。
第三十条(特定元方事業者等の講ずべき措置)
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
一 協議組織の設置及び運営を行うこと。
二 作業間の連絡及び調整を行うこと。
三 作業場所を巡視すること。
四 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に関する指導及び援助を行うこと。
五 仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種で、厚生労働省令で定めるものに属する事業を行う特定元方事業者にあっては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人がこの法律又はこれに基づく命令の規定にもどつき講ずべき措置についての指導を行うこと。
六 前各号に掲げるもののほか、当該労働災害を防止するため必要な事項
2.特定事業の仕事の発注者(注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいう。)で、特定元方事業者以外のものは、一の場所において行われる特定事業の仕事を二以上の請負人に請け負わせている場合において、当該場所のいて当該仕事に係る二以上の請負人の労働者が作業を行うときは、厚生労働省令で定めるところにより、請負人で当該仕事を自ら行う事業者であるもののうちから、前項に規定する措置を講ずべき者として一人を指名しなければならない。一の場所において行われる特定事業の仕事の全部を請け負った者で、特定元方事業者以外のもののうち、当該仕事を二以上の請負人に請け負わせている者についても、同様とする。
3.前項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。
4.第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関し、第一項に規定する措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、第一項の規定は、適用しない。
第三十条の二
製造業その他政令で定める業種に属する事業(特定事業を除く)の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない。
第三十一条(注文者の講ずべき措置)
特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物、設備又は原材料(建設物等)を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によって行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2.前項の規定は、当該事業の仕事が数次の請負契約によって行われることにより同一の建設物等について同項の措置を講ずべき注文者が二以上あることとなるときは、後次の請負契約の当事者である注文者については、適用しない。
第三十一条の二
化学物質、化学物質を含有する製剤その他の者を製造し、又は取り扱う設備で政令で定めるものの改造その他の厚生労働省令で定める作業に係る仕事の注文者は、当該物について、当該仕事に係る請負人の労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
第三十一条の三
建設業に属する事業の仕事を行う二以上の事業者の労働者が一の場所において機械で厚生労働省令で定めるものに係る作業(特定作業)を行う場合において、特定作業に係る仕事を自ら行う発注者又は当該仕事の全部を請け負った者で、当該場所において当該仕事の一部を請け負わせているものは、厚生労働省令で定めるところにより、当該場所において特定作業に従事するすべての労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2.前項の場合において、同項の規定により同項に規定する措置を講ずべき者がいないときは、当該場所において行われる特定作業に係る仕事の全部を請負人に請け負わせている建設業に属する事業の元方事業者又は第30条(特定元方事業者等の講ずべき措置)第2項若しくは第3項の規定により指名された事業者で建設業に属する事業を行うものは、前項に規定する措置を講ずる者を指名する等当該場所において特定作業に従事するすべての労働者の労働災害を防止するため必要な配慮をしなければならない。
第三十一条の四(違法な指示の禁止)
注文者は、その請負人に対し、当該仕事に関し、その指示に従って当該請負人の労働者を労働させたならば、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反することとなる指示をしてはならない。
13.事業者等の講ずべき措置等
・化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物を製造し、又は取り扱う設備で政令で定めるものの改造その他の厚生労働省令で定める作業に係る仕事の注文者は、当該物について、当該仕事に係る請負人の労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
・労働安全衛生法第33条第1項の機械等貸与者が、当該機械等を他の事業者に貸与するときに講ずべき措置には、「当該機械等をあらかじめ点検し、異常を認めたときは、補修その他必要な整備を行うこと」「当該機械等の貸与を受ける事業者に対し、当該機械等の能力及び当該機械等の特性その他その使用上注意すべき事項を記載した書面を交付すること」が定められている。
第三十三条(機械等貸与者等の講ずべき措置等)
機械等で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者で、厚生労働省令で定めるもの(機械等貸与者)は、当該機械等の貸与を受けた事業者の事業場における当該機械等による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2.機械等貸与者から機械等の貸与を受けた者は、当該機械等を操作する者がその使用する労働者でないときは、当該機械等の操作による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
3.前項の機械等を操作する者は、機械等の貸与を受けた者が同項の規定により講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
・労働安全衛生法第34条の建築物貸与者は、当該建築物の避難用の出入口若しくは通路又はすべり台、避難用はしご等の避難用の器具で、当該建築物の貸与を受けた2以上の事業者が共用するものについては、避難用である旨の表示をし、かつ、容易に利用することができるように保持しておかなければならない。
第三十四条(建築物貸与者の講ずべき措置)
建築物で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者(建築物貸与者)は、当該建築物の貸与を受けた事業者の事業に係る当該建築物による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。ただし、当該建築物の全部を一の事業者に貸与するときは、この限りでない。
第三十五条(重量表示)
一の貨物で、重量が一トン以上のものを発送しようとする者は、見やすく、かつ、容易に消滅しない方法で、当該貨物にその重量を表示しなければならない。ただし、包装されていない貨物で、その重量が一見して明らかであるものを発送しようとするときは、この限りでない。
第五章 機械等並びに危険物及び有害物に関する規制
第三十七条(製造の許可)
特に危険な作業を必要とする機械等として別表第一に掲げるもの(ボイラー(小型ボイラーを除く)、第一種圧力容器(圧力容器であって政令で定めるものをいう。小型圧力容器等を除く)、(つり上げ荷重が3トン以上(スタッカー式クレーンにあっては、1トン以上)の)クレーン、つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーン、つり上げ荷重が2トン以上デリック、積載荷重が1トン以上のエレベーター(簡易リフト及び建設用リフトを除く)、ガイドレール等の高さが18メートル以上の建設用リフト(積載荷重が0.25トン未満のものを除く)、ゴンドラ)で、政令で定めるもの(特定機械等)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。
2.都道府県労働局長は、前項の許可の申請があった場合には、その申請を審査し、申請に係る特定機械等の構造等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
第三十八条(製造時等検査等)
特定機械等を製造し、若しくは輸入した者、特定機械等で厚生労働省令で定める期間設置されなかったものを設置しようとする者又は特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、若しくは使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、当該特定機械等が、特別特定機械等(特定機械等のうち厚生労働省令で定めるものをいう)以外のものであるときは都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは厚生労働大臣の登録を受けた者(登録製造時等検査機関)の検査を受けなければならない。ただし、輸入された特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項(輸入時等検対象機械等)について当該特定機械等を外国において製造した者が次項の規定による検査を受けた場合は、この限りでない。
2.前項に定めるもののほか、次に掲げる場合には、外国において特定機械等を製造した者は、厚生労働省令で定めるところにより、輸入時等検査対象機械等について、自ら、当該特定機械等が、特別特定機械等以外のものであるときは都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは登録製造時等検査期間の検査を受けることができる。
一 当該特定機械等を本邦に輸入しようとするとき。
二 当該特定機械等を輸入した者が当該特定機械等を外国において製造した者以外の物(他の者)である場合において、当該製造した者が当該他の者について前項の検査が行われることを希望しないとき。
3.特定機械等(移動式のものを除く)を設置した者、特定機械等の厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。
別表第二
一 ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機及びその急停止装置
二 第二種圧力容器(第一種圧力容器以外の圧力容器であって政令で定めるものをいう。)
三 小型ボイラー
四 小型圧力容器(第一種圧力容器のうち政令で定めるものをいう)
五 プレス機械又はシャーの安全装置
六 防爆構造電気機械器具
七 クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
八 防じんマスク
九 防毒マスク
十 木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は歯の接触予防装置
十一 動力により駆動されるプレス機械
十二 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置
十三 絶縁用保護具
十四 絶縁用防具
十五 保護帽
十六 電動ファン付き呼吸用保護具
第四十二条(譲渡等の制限等)
特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は
別表第三
一 ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式のもの
二 第二種圧力容器
三 小型ボイラー
四 小型圧力容器
14.機械等並びに危険物及び有害物に関する規制
・特定機械等で検査証を受けていないもの(労働安全衛生法第38条第3項の規定により部分の変更又は再使用に係る検査を受けなければならない特定機械等で、検査証に裏書を受けていないものを含む)は、使用してはならない。
・特定機械等以外の機械等で、一定のものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。
・事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、定期時に自主検査を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
・事業者は、労働安全衛生法第57条第1項の政令で定める物(表示対象物)及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならず、また、当該調査の結果に基づいて、同法又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第二節 危険物及び有害物に関する規制
第五十五条(製造等の禁止)
黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
第五十六条(製造の許可)
ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
2.厚生労働大臣は、前項の許可の申請があった場合には、その申請を審査し、製造設備、作業方法等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
15.機械等並びに危険物及び有害物に関する規制
1.特定機械等(移動式のものを除く)を設置した者、特定機械等の厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。
2.動力により駆動される機械等で、作動部分上の突起物又は動力伝導部分若しくは調速部分に厚生労働省令で定める防護のための措置が施されていないものは、譲渡し、貸与し、又は譲渡若しくは貸与の目的で展示してはならない。