労働者災害補償保険法・特別加入と不服申立て

労働者災害補償保険法
第4章の2 特別加入
第33条 次の各号に掲げる者の労働災害、複数業務要因災害及び通勤災害に関しては、この章に定めるところによる。
一 厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業(特定事業)の事業主で徴収法第33条第3項の労働保険事務組合に同条第1項の労働保険事務の処理を委託するものである者(事業主が法人その他の団体であるときは、代表者)(第一種特別加入者)
金融業、保険業、不動産業、小売業・・・常時50人以下
卸売業、サービス業・・・常時100人以下
上記以外の事業・・・常時300人以下
二 前号の事業主が行う事業に従事する者
三 厚生労働省令で定める種類の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者
(一人親方その他の自営業者)
四 前号の者が行う事業に従事する者
五 厚生労働省令で定める種類の作業に従事する者(特定作業従事者)※三~五は、第二種特別加入者
六 この法律の施行地外の地域のうち開発途上にある地域に対する技術協力の実施の事業(事業の期間が予定される事業を除く。)を行う団体が、当該団体の業務の実施のため、当該開発途上にある地域(業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に関する保護制度の状況その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める国の地域を除く。)において行われる事業に従事させるために派遣する者。
七 この法律の施行地内において事業(事業の期間が予定される事業を除く)を行う事業主が、この法律の施行地外の地域(業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に関する保護制度の状況その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める国の地域を除く。)において行われる事業に従事させるために派遣する者(当該事業が特定事業に該当しないときは、当該事業に使用される労働者として派遣する者に限る。)
※六、七は、第三種特別加入者

労働者災害補償保険法施行規則
第46条の20
法第33条第1号及び第2号に掲げる者の給付基礎日額は、3,500円、4千円、5千円、6千円、7千円、8千円、9千円、1万円、1万2千円、1万4千円、1万6千円、1万8千円、2万円、2万2千円、2万4千円および2万5千円のうちから定める。

第46条の26(特別加入者に係る業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害の認定)
法だい33条各号に掲げる者に係る業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害の認定は、厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行う。

第5章 不服申立て及び訴訟
第38条 保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
2.前項の審査請求をしている者は、審査請求をした日から3箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
3.第1項の審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、これを裁判上の請求とみなす。

第39条 前条第1項の審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法第2章(審査請求)及び第4章(再審査請求)の規定は適用しない。

第40条 第38条第1項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する労働者災害補償保険審査官の決定を経た後でなければできない。

第7章 罰則
第51条 事業主、派遣先の事業主又は船員派遣の役務の提供を受ける者が次の各号のいずれかに該当するときは、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。労働保険事務組合又は第35条第1項に規定する団体がこれらの各号のいずれかに該当する場合におけるその違反行為をした当該労働保険事務組合又は当該団体の代表者又は代理人、使用人その他の従業者も、同様とする。
一 第46条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は文書の提出をせず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合
二 第48条第1項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

42.特別加入
・常時100人の労働者を使用するサービス業の事業主で、労働保険徴収法に定める労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者は、労災保険に特別加入することができる。

・事業主の立場において行う事業主本来の業務のみに従事する中小事業主は、自らを包括加入の対象から除外することを申し出た場合には当該事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く)のみを労災保険に特別加入させることができる。

・海外派遣者について、派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業に該当していれば、その海外の事業の代表者として派遣される場合であっても、特別加入の対象となり得る。

第35条
2.一の団体に係る第33条第3号から第5号までに掲げる者として前項第3号の規定により労働者とみなされている者は、同一の種類の事業又は同一の種類の作業に関しては、他の団体に関し重ねて同号の規定により労働者とみなされることはない。

43.特別加入
特別加入者(複数事業労働者である者を除く)に関し支給する年金たる保険給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額は、3,500円から25,000円(家内労働者及びその補助者は2,000円から25,00円)の範囲で定める額のうちから、特別加入者の希望する額を考慮して所轄都道府県労働局長が定めることとされており、年齢階層別の最低限度額及び最高限度額の規定の適用は受けない。

平成26年3月
労災保険特別加入関係主要通達集(厚生労働省労働基準局)
特別加入の趣旨:労災保険は、労働者の業務災害に対する補償を本来の目的としているが、業務の実情、災害の発生状況等に照らし、実質的に労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用を及ぼそうとするものである。

特別加入者の範囲:特別加入をすることができる者の範囲については、全面適用を目途とする中小事業の保険加入の促進と事務組合の普及に資するため、一定の中小事業主とその事業に従事する者をその対象とするほか、特に自営業者については、業務の危険度、業務の範囲の明確性ないし特定性(業務上外の認定等保険関係の技術的処理の可能性)等を考慮し、その範囲を定めたものである。その具体的範囲は次の通りである。

1.中小事業主等(法第33条第1号及び第2号)
イ 中小事業主(法第33条第1号、則第46条の16)
特別加入をすることができる中小事業主は、常時300人(金融業、保険業、不動産業、又は小売業にあっては50人、卸売業又はサービス業にあっては100人)以下の労働者を使用する事業主にあって、事務組合に労災保険事務の処理を委託するもの(事業主が法人その他の団体であるときは、代表者)である。
数次の請負による建設の事業の下請事業を行う事業主も、特別加入の趣旨から、法第33条第1号の「事業主」として取り扱う。
中小事業主が行う事業に従事する者。事業に従事する者とは、労働者以外の者で事業に常態として従事する者を予定したものである。事業主が法人である場合にあっては、代表者以外の役員のうち、労働者に該当しないものも、これに含まれる。

2. 一人親方その他の自営業者とその事業に従事する者
一人親方その他の自営業者であって特別加入をすることができる者は「自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業」「建設の事業(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存(原状回復)、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業をいう。)」「漁船による水産動植物の採捕の事業」「林業の事業」「医薬品の配置販売の事業」又は「再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業」を労働者を使用しないで行うことを常態とする者。労働者を使用しないで行うことを常態とする者は、常時労働者を使用する者以外の者をいうものとして取り扱う。したがって、たまたま臨時に労働者を使用することがあっても妨げない。

3.特定作業従事者(法第33条第5号)
イ 特定農作業従事者
ロ 指定農業機械作業従事者
ハ 職場適応訓練生
ニ 事業主団体等委託訓練性
ホ 家内労働者
ヘ 労組常勤役員
ト 介護作業従事者

4.海外派遣者

・特別加入をすることができる中小事業主は、事務組合に対し労災保険事務の処理を委託する者に限られる。

・中小事業主の特別加入は、その使用する労働者に関して成立する保険関係を基礎とし、かつ、労働者以外でその事業に従事する者との包括加入を前提として認められるものであるから、任意適用事業にあっては、労働者について任意加入の申込みをしないままに中小事業主のみ特別加入することはできない。なお、任意加入の申込みと特別加入の申請とは同時に行うことができる。

・同一の中小事業主は2以上の事業についてそれぞれ保険加入をし、事務組合に労災保険事務の処理を委託しているときは、当該事業主及びその事業に従事する者は、1の事業のみについて特別加入することができるのはいうまでもないが、2以上の事業について重ねて特別加入することも妨げない。

44.不服申立て、雑則、その他
・保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

・審査請求は文書又は口頭ですることができるが、再審査請求は文書でしなければならない。

・療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、複数事業労働者療養給付、複数事業労働者休業給付、複数事業労働者葬祭給付、複数事業労働者介護給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び二次健康診断等給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、複数事業労働者障害給付、複数事業労働者遺族給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、これを行使することができる時から5年を経過したときは、時効によって消滅する。

・傷病等(補償)年金を受ける権利は、所轄労働基準監督署長が職権により支給決定をするため、時効の問題は生じない。

・支払期月ごとに生ずる支分権たる支払請求権については、会計法30条の規定により、これを行使することができる時から5年で時効により消滅する。

45.不服申立て、雑則その他
葬祭料、複数事業労働者葬祭給付又は葬祭給付の支給を受ける権利の時効は、労働者が死亡した日の翌日から進行する。

46.不服申立て、雑則その他
保険給付に関する決定に不服がある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができるが、当該審査請求をしている者は、審査請求をした日から3箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。なお、当該審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなされる。




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