労働基準法、年少者・妊産婦等・就業規則・監督等

労働基準法第六章 年少者

第56条(最低年齢)
使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。
②前項の規定にかかわらず、別表第1第1号から第5号までに掲げる事業以外の事業(非工業的業種)は、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様とする。

第57条(年少者の証明)
使用者は、満18歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
②使用者は、前条第2項の規定によって使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。

第111条(無料証明)
労働者及び労働者になろうとする者は、その戸籍に関して戸籍事務を掌る者又はその代理者に対して、無料で証明を請求することができる。使用者が、労働者及び労働者になろうとする者の戸籍に関して証明を請求する場合においても同様である。

第58条(未成年者の労働契約)
親権者又は後見人は、未成年者に代って労働契約を締結してはならない。
②親権者若しくは後見人(家庭裁判所によって選任された者)又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向かってこれを解除することができる。

第59条
未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代って受け取ってはならない。

第64条(帰郷旅費)
満18歳に満たない者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。ただし、満18歳に満たない者がその責めに帰すべき事由に基いて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の許可を受けたときは、この限りでない。

・変形労働時間制、三六協定による時間外・休日労働、労働時間及び休憩の特例並びに高度プロフェッショナル制度の規定は、満18歳に満たない者については、これを適用しない。

・使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。(厚生労働大臣は、必要であると認める場合においては、地域又は期間を限って、午後11時から午前6時までとすることができる。)

・使用者は、満15歳以上で満18歳に満たない者については、満18歳に達するまでの間(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間を除く)、次に定めるところにより、労働させることができる。
①1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内において、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を10時間まで延長すること。
②1週間について48時間、1日について8時間を超えない範囲内において、1箇月単位の変形労働時間制又は1年単位の変形労働時間制の規定の例により労働させること。(割増賃金は発生しない。)

次の場合は、満18歳未満に満たない者に時間外・休日労働をさせることができる。
①災害等又は公務のために臨時の必要がある場合(割増賃金が発生する。)
②年少者が法41条該当者である場合(割増賃金は発生しない。)

第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)
この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
1.別表第一第六号(林業を除く)又は第七号に掲げる事業に従事する者
2.事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
3.監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

・深夜業の例外(いずれも割増賃金の支払い義務が発生する。)
次の場合には、満18歳に満たない者に深夜残業をさせることができる。
①災害等により臨時の必要がある場合の時間外・休日労働が深夜に及んだ場合(公務のために臨時の必要がある場合には、年少者に深夜業をさせることはできない。)
②農林業、水産・養蚕・畜産業、保健衛生業又は電話交換の業務に使用される年少者の場合
③交替制によって使用する満16歳以上の男性である場合
④交替制によって労働させる事業であり、かつ、行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けて、午後10時30分まで(深夜業の時間帯が午後11時から午前6時までとされている場合にあっては、午前5時30分から)労働させる場合

・使用者は、児童については、休憩時間を除き、修学時間を通算して1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。1週間の各日については、休憩時間を除き、修学時間を通算して1日について7時間を超えて、労働させてはならない。

・使用者は、児童を午後8時から午前5時までの間において使用してはならない。ただし、厚生労働大臣は、必要であると認める場合においては、児童の深夜業の時間帯を地域又は期間を限って、午後9時から午前6時までとすることができる(演劇の事業に使用される児童)。

年少者に関する規定まとめ
①戸籍証明書の備え付けが必要
②法定労働時間の特例(週44時間)・休憩の特例は適用されない
③変形労働時間制は適用されない。
④三六協定による時間外労働・休日労働及び深夜業は適用されない
⑤高度プロフェッショナル制度は適用されない
⑥非常災害等の規定によって、時間外労働若しくは休日労働をさせ、又は深夜業をさせることはできる
⑦農林業、水産・養蚕・畜産業、保健衛生業、電話交換業務では深夜業をさせることはできる
⑧解雇時における帰郷旅費の規定が適用される。

第六章の二 妊産婦等

第65条(産前産後)
使用者は、六週間(多肢妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
②使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

・使用者は、妊産婦(妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性)が請求した場合は、次のようにしなければならない。
①1箇月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用している場合であっても、1週間について1週の法定労働時間、1日について1日の法定労働時間を超えて労働させてはならない(フレックスタイム制は、1週又は1日の法定労働時間を超える労働の制限対象となっていない。)
②災害等若しくは公務のために臨時の必要がある場合又は三六協定を締結している場合であっても、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
③深夜業をさせてはならない。

第67条(育児時間)
生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
②使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。

第68条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

労働基準法第九章 就業規則
第89条(作成及び届出の義務)
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金 (臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時季並びに昇給に関する事項
三  退職に関する事項(解雇の事由を含む)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に定めるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

第九十条(作成の手続)
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半巣を組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合ががない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
②使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

第九十一条(制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

第九十二条(法令及び労働協約との関係)
就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
②行政官庁は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。

第九十三条(労働契約との関係)
労働契約と就業規則との関係については、労働契約法第十二条の定めるところによる。

労働契約法第十二条(就業規則違反の労働契約)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

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