国民年金法・費用の負担等
国民年金法
第4条(年金額の改定)
この法律による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。
第4条の2(税制の均衡)
国民年期事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所定の措置が講ぜられなければならない。
第4条の3(財政の現況及び見通しの作成)
政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(財政の現況及び見通し)を作成しなければならない。
2.前項の財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
3.政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第16条の2(調整期間)
政府は、第4条の3第1項の規定により財政の現況及び見通しを作成するに当たり、国民年金事業の財政が、財政均衡期間の終了時に給付の支給に支障が生じないようにするたに必要な積立金(年金特別会計の国民年金勘定の積立金をいう。)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、年金たる給付(付加年金を除く)の額(給付額)を調整するものとし、政令で、給付額を調整する期間(調整期間)の開始年度を定めるものとする。
2.財政の現況及び見通しにおいて、前項の調製を行う必要がなくなったと認められるときは、政令で、調整期間の終了年度を定めるものとする。
3.政府は、調整期間において財政の現況及び見通しを作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない。
・国民年金の給付に要する費用(給付費)は、積立金の運用収入もあるが、概ね、国庫負担、基礎年金拠出金、保険料の3つで賄われている。
第85条(国庫負担)
国庫は、毎年度、国民年金事業に要する費用に充てるため、次に掲げる額を負担する。
一 当該年度における基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金)の給付に要する費用の総額(保険料・拠出金算定対象額)から第27条第3号(保険料四分の一免除期間の月数から規定する保険料四分の一免除期間の月数を控除して得た月数の八分の三に相当する月数)、第5号(保険料半額免除期間の月数から前号に規定する保険料半額免除期間の月数を控除して得た月数の四分の一に相当する月数)及び第7号(保険料四分の三免除期間の月数から前号に規定する保険料四分の三免除期間の月数を控除して得た月数の八分の一に相当する月数)に規定する月数を基礎として計算したものを控除して得た額に、一から各政府及び実施機関に係る第94条の3第1項に規定する政令で定めるところにより算定した率を合算した率を控除して得た率を乗じて得た額の二分の一に相当する額
・基礎年金の給付に要する費用の国庫負担
保険料4分の1免除期間に係る老齢基礎年金の給付費・・・7分の4
保険料半額免除期間に係る老齢基礎年金の給付費・・・3分の2
保険料4分の3免除期間に係る老齢基礎年金の給付費・・・5分の4
保険料全額免除期間(学生納付特例期間及び給付猶予期間を除く)に係る老齢基礎年金の給付費・・・全額
20歳前傷病による障害基礎年金の給付費・・・10分の6
上記以外の基礎年金の給付費・・・2分の1
第86条(事務費の交付)
政府は、政令の定めるところにより、市町村(特別区を含む)に対し、市町村長がこの法律又はこの法律に基づく政令の規定によって行う事務の処理に必要な費用を交付する。
第94条の2(基礎年金拠出金)
厚生年金保険の実施者たる政府は、毎年度、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金を負担する。
2.実施機関たる共済組合は、毎年度、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金を納付する。
3.財政の現況及び見通しが作成されるときは、厚生労働大臣は、厚生年金保険の実施者たる政府が負担し、又は実施機関たる共済組合等が納付すべき基礎年金拠出金について、その将来にわたる予想額を算定するものとする。
第5章 積立金の運用
第75条(運用の目的)
積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、もっぱら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。
第76条(積立金の運用)
積立金の運用は、厚生労働大臣が、前条の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。
2.厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、同項の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができる。
第77条(運用職員の責務)
積立金の運用に係る行政事務に従事する厚生労働省の職員(政令で定める者に限る。以下運用職員)は、積立金の運用の目的に沿って、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。
第78条(秘密保持義務)
運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第79条(懲戒処分)
運用職員が前条の規定に違反したと認めるときは、厚生労働大臣は、その職員に対し国家公務員法に基づく懲戒処分をしなければならない。
第87条(保険料)
政府は、国民年金事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する。
2.保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
3.保険料の額は、次の表の上欄に掲げる月分についてそれぞれ同表の下欄に定める額に保険料改定率を乗じて得た額(その額に5円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、5円以上10円未満の端数が生じたときは、これを10円に切り上げる)とする。
平成17年度分に属する月の月分・・・1万3580円
令和元年度以後の年度に属する月の月分・・・1万7千円
第88条(保険料の納付義務)
被保険者は、保険料を納付しなければならない。
2.世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
3.配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。
第88条の2
被保険者は、出産の予定日の属する月(出産予定月)の前月(多胎妊娠の場合においては、三月前)から出産予定月の翌々月までの期間に係る保険料は、納付することを要しない。
第89条
被保険者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、末に納付されたものを除き納付することを要しない。
一 障害基礎年又は厚生年金保険法に基づく障害を支給事由とする年金たる給付その他の障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの受給権者(最後に同法第47条第2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく三年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る)その他の政令で定める者を除く。)であるとき。
二 生活保護法による生活扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める施設に入所しているとき。(国立ハンセン病療養所、国立保養所等)
2.前項の規定により納付することを要しないものとされた保険料について、被保険者又は被保険者であった者(被保険者等)から当該保険料に係る期間の各月につき、保険料を納付する旨の申出があったときは、当該申出のあった期間に係る保険料に限り、同項の規定は適用しない。