健康保険法の目的・保険者・被保険者・保険給付

保険事故とは、保険給付を行う原因となる事故のこと。健康保険法の場合の具体例は、業務外のけが、病気、死亡や出産。年金法関係だと、老齢や障害、死亡(遺族)など。雇用保険法では、失業が保険事故にあたる。

社会保険とは、保険という方法を用いて事故に備え、また。事故に遭って困っている人を助けようという仕組み。広義では、労働保険も社会保険に含まれる。試験では、労災や雇用保険は労働保険、健康保険や年金関係は社会保険となる。

社会保険の中でも、医療に関するものを医療保険と呼ぶ。健康保険制度は、この医療保険の中の1つの仕組み。健康保険制度の運営者は、健康保険組合や、全国健康保険協会(平成20年設立、前身は政府)。協会けんぽと呼ばれる全国健康保健協会は、主に健康保険組合の仕組みを持っていない会社や、同業者の健康保険組合に加入していない中小の事業所などが加入している。厚生労働大臣の設立認可を受けた組合や教会を保険者という。

健康保険法1条:この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡または出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

適用事業所の労働者の数は5人以上。短時間労働者の社会保険加入は、重利は従業員数が501人以上の事業所に勤めることが要件だったが、令和4年10月から101人以上の事業所、令和6年10月からは51人以上の事業所と、その適用が順次拡大されている。

①~③の任意継続被保険者の条件を満たすと、適用事業所を退職しても継続して件故保険の保険給付を受けることができる。
①資格喪失の前日まで、継続して2ヶ月以上被保険者だった。
②資格喪失日から20日以内に申し出る。
③2年間だけ任意継続被保険者でいられる。

ただし、通常、保険料は事業主と被保険者が決められた保険料を2分の1ずつ折半して納めるところ、任意継続被保険者の場合、自分で全額を保険者に納めることで任意に継続し被保険者となる。また、任意適用の事業所の労働者は、一般の被保険者であり、任意継続被保険者にはならない。

令和4年1月1日より、任意継続被保険者の資格喪失事由に、申出により任意継続被保険者でなくなることができるようになった。申し出た場合は、その申し出が受理された日の属する月の翌月1日にその資格を喪失する。

健康保険法の給付は、被保険者のみならず、その被保険者の扶養家族も受けることができる。これを被扶養者という。被扶養者の範囲には前提条件がある。3親等内の要件のほか、生計維持要件と同一世帯要件がある。さらに、国内居住用件が追加された。国内居住用件の例外となる者および例外的に法律の適用を除外すべき者もある。

・被保険者は、適用事業所に使用される労働者。
・任意継続被保険者は、適用事業所を辞めた後も、なれる被保険者。
・被保険者から離れるほど、被扶養者の条件は厳しくなる。

健康保険法の給付内容は次の1~14および、被扶養者に関する給付と、資格喪失後の給付。

1.療養の給付
2.入院時食事療養費:被保険者の負担分を食事療養標準負担額という。
3.入院時生活療養費:65歳以上の長期入院している被保険者を対象。
4.保険外併用療養費:先進的な治療(評価療養)や選定療養については保険がきかないが、本来保険が適用されるはずの基礎的な部分について発生する保険給付のこと。
5.療養費
6.訪問看護療養費
7.移送費
8.高額療養費
9.高額介護合算療養費
10.傷病手当金:労務に服することができない期間。令和4年1月施行の改正法により、支給開始日から傷病手当金の受けられなかった期間を除き、通算して1年6か月間は受給できるようになった。
11.出産手当金:労務に服さなかった期間
12.出産育児一時金:令和5年44月の改正で、出産育児一時金の支給額は、48.8万から50万になった。
13.埋葬費
14.埋葬料

1~7について、保険給付の対象になるのは、健康保険法で定められている保健医療機関等での治療等と決まっている。

・保険医療機関等での診察や治療が、保険給付の対象。
・高額な自己負担額については、高額療養費が給付される。
・出産手当金と傷病手当の支給要件の違い

被扶養者に関する給付の種類は、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料、家族出産育児一時金。

家族療養費と負担割合は、通常は7割。6歳になり最初の3月31日までは8割、70歳以後は8割(一定以上の収入(療養を受ける月にその被扶養者を扶養している被保険者の報酬月額が28万円いじょうと決定され、かつ、複数世帯の年収が520万円以上)がある場合は7割)。70歳以上の健康保険制度の被保険者には、しばらくの間自己負担1割の措置が臨時的に取られてきたが、平成26年4月より本則通りの2割負担となった。

離職により被保険者の資格を失っても、①②の条件を満たせば資格喪失後も給付を受けられる仕組みが、資格喪失後の保険給付。
①傷病手当金、出産手当金をもらっていた場合・・・ただし、資格を喪失する日の前日まで引き続き1年以上被保険者でなければならない。
②資格喪失後に、保険給付を受ける事由が生じた場合。①の給付を受けている途中に死亡した者、あるいは資格を喪失してから3ヶ月以内に死亡した被保険者について、埋葬料か埋葬費が支給される。また、資格を喪失する日の前日までに一年以上被保険者であった人が資格喪失の日から6ヶ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給される。
☆資格喪失後の保険給付は、被扶養者だった人は対象外。

・資格喪失後の保険給付は、被保険者資格を失う前に1年以上の被保険者であった人が対象。
・資格を失ってから3ヶ月以内に死亡した場合、埋葬料か埋葬費が出る。

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