労働保険の保険料の徴収等に関する法律
・労働保険とは、労災保険、雇用保険の総称
・労働保険の給付のもととなる費用は、会社から徴収される保険料などで賄われている。
労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収法)
第1章 総則
第1条(趣旨)
この法律は、労働保険の事業の効率的な運営を図るため、労働保険の保険関係の成立及び消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合等に関し必要な事項を定めるものとする。
第2条(定義)
この法律において「労働保険」とは、労働者災害補償保険法による労働者災害補償保険(労災保険)及び雇用保険法による雇用保険を総称する。
2.この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであって、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く)をいう。
3.賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
4.この法律において「保険年度」とは、4月1日から翌年3月31日までをいう。
・労災保険と雇用保険の適用・徴収事務が一元化して行われる事業を、一元適用事業という。
第3条(保険関係の成立)
労災保険法第3条第1項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が成立する。
第4条
雇用保険法第5条第1項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。
二元適用事業
第6章 雑則
第39条(適用の特例)
都道府県及び市町村の行う事業その他厚生労働省令で定める事業については、当該事業を労災保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係ごとに別個の事業とみなしてこの法律を適用する。
2.国の行う事業及び前項に規定する事業については、労働者の範囲(同項に規定する事業のうち厚生労働省令で定める事業については、労働者の範囲及び一般保険料の納付)に関し、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
第5章 雑則
第70条(適用の特例を受ける事業)
法第39条第1項の厚生労働省令で定める事業は、次のとおりとする。
一 都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業
二 港湾労働法第2条第2号の港湾運送の行為を行う事業
三 雇用保険法附則第2条第1項各号に掲げる事業
(農林、畜産、養蚕又は水産の事業※船員が雇用される事業を除く)
四 建設の事業
労働保険の保険料の徴収等に関する法律
第2章 保険関係の成立及び消滅
第3条(保険関係の成立)
労災保険法第3条第1項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が成立する。
第4条
雇用保険法第5条第1項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。
第4条の2(保険関係の成立の届出等)
前二条の規定により保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。
2.保険関係が成立している事業の事業主は、前項に規定する事項のうち厚生労働省令で定める事項に変更があったときは、厚生労働省令で定める期間内にその旨を政府に届け出なければならない。
第5条(保険関係の消滅)
保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅する。
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
第二章 保険関係の成立及び消滅
第四条 法第4条の2第1項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 事業の名称
二 事業の概要
三 事業主の所在地
四 事業に係る労働者数
五 事業の期間が予定される事業(有期事業)にあっては、事業の予定される期間
六 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(建設の事業)にあっては、当該事業に係る請負金額並びに発注者の氏名又は名称及び住所又は所在地
七 立木の伐採の事業にあっては、素材の見込生産量
八 事業主が法人番号を有する場合には、当該事業主の法人番号
2.法第4条の2第1項の規定による届出は、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。
3.所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長は、前項の届出が提出されたときであって、必要と認めるときには、事業主に対し、登記事項証明書その他の第1項各号に掲げる事項を確認できる書類の提出を求めることができる。
第5条 法第4条の2第2項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
二 事業の名称
三 事業の行われる場所
四 事業の種類
五 有期事業にあっては、事業の予定される期間
2.法第4条の2第2項の規定による届出は、前項各号に掲げる事項に変更を生じた日の翌日から起算して十日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。
一 労働保険番号
二 変更を生じた事項と変更内容
三 変更の理由
四 変更年月日
労働保険の保険料の徴収等に関する法律
令和7年試験向け改正
・雇用保険率に係る改正
雇用保険率が、失業等給付費等充当徴収保険率、育児休業給付費充当徴収保険率及び二事業費充当徴収保険率を合計して得た率とされるとともに、育児休業給付費充当徴収保険率(1000分の5)について、一定の場合には、1000分の4とすることができることとされた。
・第2種特別加入保険料率に係る事業の種類の追加
一人親方等の特別加入の対象となる事業に、「特定フリーランス事業」が追加されたことに伴い、当該事業に係る第2種特別加入保険料率が1000分の3と定められた。(令和6年11月1日施行)
1.総則、保険関係の成立及び消滅等
・都道府県及び市町村の行う事業については、二元適用事業とされているが、国の行う事業については、二元適用事業とされていない。
・港湾労働法第2条第2号の港湾運送の行為を行う事業は、当該事業を労災保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係ごとに別個の事業とみなして労働保険徴収法が適用される。
・建設の事業は、労働保険徴収法において二元適用事業に該当する。
・船員が雇用される水産の事業は、二元適用事業とされていない。
2.総則、保険関係の成立及び消滅等
・一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しないもの(雇用保険にかかる保険関係のみが成立している事業を除く)に関する保険関係成立届の提出先は、所轄労働基準監督署長である。
・労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票を見やすい場所に掲げなければならない。
・労災保険暫定任意適用事業の事業主が、その事業に使用される労働者の同意を得ずに労災保険に任意加入の申請をした場合、当該申請は有効である。
・労災保険の適用事業が、使用労働者数の減少により、労災保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、その事業につき所轄都道府県労働局長による任意加入の認可があったものとみなされる。
3.総則、保険関係の成立及び消滅等
・労災保険の保険給付の特例の規定により保険給付が行われることとなった労働者を使用する労災保険暫定任意適用事業の事業主は、当該保険給付の費用に充てるための特別保険料を徴収する一定の期間を経過するまでの間は当該事業の労災保険に係る保険関係の消滅の申請をすることができない。
・名称、所在地等変更届は、労働保険の保険関係が成立している事業の事業主が、その指名又は名称及び住所等の事項に変更があった場合に、その変更が生じた日の翌日から起算して10日以内に所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。
・雇用保険法第6条に該当する者を含まない4人の労働者を雇用する民間の個人経営により農林水産の事業(船員が雇用される事業を除く)において、当該事業の労働者のうち2人が雇用保険の加入を希望した場合、事業主は任意加入の申請をし、認可があったときに、当該事業に雇用される者全員につき雇用保険に加入することとなっている。
・雇用保険に係る保険関係が成立している雇用保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の4分の3以上の同意を得ていれば、当該保険関係が成立した後1年を経過していなくても、当該事業の雇用保険に係る保険関係の消滅の申請をすることができる。
・労働保険は、労災保険と雇用保険とを総称した言葉。保険給付は、両保険制度で別個に行われるが、保険料の徴収等については、両保険は労働保険として、原則的に一体のものとして取り扱われる。
当然適用事業・・・それぞれの事業は、原則として労働者を1人でも使用していれば、法律上、当然に、労働保険に加入することとなるが、このような事業を当然適用事業という。
暫定任意適用事業・・・暫定任意適用事業とは、農林水産のうち、労働保険に加入するかどうかは、事業主の意思やその事業に使用されている労働者の意思(労災保険は労働者の過半数、雇用保険は労働者の2分の1以上)にまかされている事業をいう。保険関係は、事業主が任意加入の申請をし、その承諾を得てはじめて成立する。