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オリキャラのぬいぐるみを作ってみた

普段は3DCGのTipsなどを書いているこのnoteですが、どうしても自分の備忘録として書いておきたかったのでジャンル外の「縫い物」のことを記事に起こそうと思います。
というのも、自分が初めてぬいぐるみを作ろうとしたときに、同士である「縫い物初心者」たちの記事にかなり背中を押されたからです。
自分も背中を押す側で居たい、あわよくばこの深い深い沼に新たな仲間を引きずり込みたい、そんな一心でこれを書いております。


始める前に

縫い物はとても時間と根気のいる作業です。が、単純作業なので手を動かせば必ず完成します。完成形が提示されているのでそこに向かって突き進むだけです。創造性が必要な部分といえば、顔の刺繍の図案を描くことと、髪型をどうにかすることくらい。あとはお手本通りに作るだけなので思ったより迷わずに進むことができました。
実際に手を動かす前のハードルが異常に高いのも大変良くわかるのですが、一歩エイヤと踏み出してみればそこからは思ったよりいけます!!

ちなみに筆者竹流の縫い物スペックですが、中学校時代に家庭科クラブでミシンと手縫いと編み物をやっておりました。その後の縫い物人生といえば、18歳くらいの頃にコスプレ衣装を2、3着作った程度です。
全然初心者じゃなかろうが!と思われるかもしれませんが、そこから時は過ぎ行きもうアラフォーの人間です。その間全く縫い物をしてきませんでした。錆びついた過去の知識と、最新のインターネット叡智をもとになんとかなった感じです。

準備したもの

・愛(一番大事)
・新品の布用はさみ
・新品の刺繍針(7号。12本セット)
・不織布薄地の接着芯
・裁ほう上手(布用ボンド)
・GPクリヤー(速乾性接着剤、布用というわけではない)
・仮止めクリップ
・まち針(パッチワーク用のいっぱい入ってるやつ)
・フリクションカラーズ
・水で消えるチャコペン
・刺繍用下地シート(ダイソー)
・刺繍枠(セリア)

ざっと全部あげましたが、この中でも特に重要だったものを紹介します。

ぬいぐるみを作る準備の買い物の時、手芸に詳しいお友達がおすすめしてくれたはさみです。これは心底買ってよかった、なかったら詰んでたレベルでおすすめ商品です。
ぬいぐるみ作りでは細かく布を切ることが多いので、小回りのきく、それでいてよく切れるはさみが必要になります。手元に小学生の裁縫セットに入っていた裁ちばさみしかないよって方はぜひ買ってください。

これのミニを買いました。まち針もたくさん買ったのですが、どちらかというとこちらのほうが出番が多かったです。私が今回使った型紙(後述)が手縫い推奨だったので、指でおさえながら縫うときにまち針だと手に刺さってう~むとなったのでこれを買いました(多分まち針の使い方が下手というのもありますが)。指が増えたような感覚で使えてとても便利だったのでおすすめしておきます。

ちゃんと手芸用のチャコペンも買ったのですが圧倒的にこちらのほうが使いました。ボールペンではないカラーペンの方を買ってください。チョイスした色は布の色と違って視認性の高い色、ということで赤を買いましたがこれがバッチリでした。
なお、ファインライナーは細いタイプ、カラーズは太いタイプなので刺繍の図案を写すのにはファインライナー、カラーズは布へのマーキングに便利でした。

顔の刺繍をするときに使いました。水で溶けるシートでできた透明の薄いシールで、1辺がA4サイズ短辺と同じ幅の正方形なので普通のプリンターで印刷できます。クリップスタジオペイントの対象定規で顔の図案を描いて、それを印刷しました。
型紙と図案のサイズ合わせに関しては、今回私が使った型紙がデータ販売のものだったので、その型紙の上に新しいレイヤーで直接描き込みました。アナログ型紙の場合は定規でサイズを測って描けば重なると思います。

何度もトライすることを考えて同じ図案を並べて印刷しておいた

材料

・ソフトボア生地
・セリアのぬいぐるみ用カラークロス
・刺繍糸(たくさん。欲しい色だけ)
・手芸用わた

ここではひとつずつ詳しく解説していきます。

・ソフトボア生地
今回3社のソフトボアを触ることになりました。これはそういう戦略があったわけではなく、行き当たりばったりの結果です。

まず最初に手に取る機会があったのがこちらのベルボアでした。ドールショップに足を運んだ際に見つけたのでまずは買ってみようって事で買った程度の商品なので、特にこれが良かったから買った!というわけではないです。
というのも、こちらの生地は後述の他メーカー生地と比べるとボアの毛足が少し長めで毛流れが乱れやすく毛羽立ちもあったので仕上がりに納得が行きませんでした。

こちらのクリスタルボアはお友達がぬいぐるみ一体分をお試しとしてプレゼントしてくださいました。毛足が密でサラサラとした手触りがとても気持ちよく、発色も良くて高品質なボアなんだなと感じました。本番の肌に使わせていただき、完成後の仕上がりにも大変満足行った生地です。

キャラの髪用に買った色ではありますが、実際に届いてみたらサンプル写真よりもかなり明るく鮮やかな色でした。質感はクリスタルボアよりもっちりしていて下地の生地が分厚くしっかりした印象です。切った端が全くほつれなかったのでとても縫いやすかったです。
20センチ単位からの販売なのを見落としていて40センチも買ってしまったので大量に余ってしまいました。皆さんはお気をつけください。(まだまだたくさんぬいぐるみが作れるヤッタネ!!)

他にもぬいぐるみ用ソフトボアを扱っているショップはありますが、私が今後リピートするならグッズプロさんのクリスタルボアかなぁと思います。ただ欲しい色が無い場合は他メーカーさんの生地と混ぜて使うのが一番手っ取り早いと思います。
後述しますが私の場合欲しい色がなかったのでポリエステル生地用の染色液を使って染めを行い色を調整した生地を使いました。沼。

・セリアのぬいぐるみ用カラークロス
試し縫い、練習用にと買いました。端がほつれず伸びない生地なので特に下処理をせずにいきなり縫い始めても困ったことはありませんでした。ただとても薄い布なので、刺繍をしたあとの糸処理が甘いと表から透けて見えます。手触りも若干ごわついていて本番にはあんまりな~という生地であります。自分は本番用ぬいぐるみのための練習やサイズ確認に使えたので買ってよかったなと思いました。

・刺繍糸
OLYMPUS、DMCのものを買いました。DMCのほうが若干お高いですが中間色などの微妙な色が豊富なのと、お高いぶんなのか糸の絡まりがあまり起きずサクサク刺繍できて良かったです。個体差なのかもしれませんが。
100均の刺繍糸は使っていません。下調べの段階で絡まる、ほつれる、ちぎれると最悪な情報しかありませんでしたのでここはケチらずちゃんとした糸を買いました。
また、本体手縫い用の縫い糸としても刺繍糸を使いました。なぜかというと手縫い用の糸やミシン糸(滑りが良くてとても縫いやすいので本当はこれで縫いたかった)などに生地とぴったりの色がなかったからです。生地と合わない色の糸を使うと、完成したときにチラ見えしてがっかりということがあるので割り切って刺繍糸を生地に合わせて買うのが良いと思います。

・手芸用わた
主にセリアのものを使いました。セリアの手芸わたは2種類あって、わた自体がひとかたまりになっているものと、バラバラにちぎりやすいものがあります。ひとかたまりになっているものを買ってしまったのですが、ぬいぐるみ用に使うにはいちいちハサミで使う分を切り取らないといけなかったので面倒でした。普通の方を使いましよう。1体につき1袋(50グラム)くらい用意すれば足りると思いますが、思ったよりたくさん使うので予備にもう1袋くらい買っておいても良いかもしれません。
また、本番用として手芸屋さんで売っている「つぶわた」も使いました。わたがこまかく粒になっているので、細かい部分に詰め込みやすく更に完成後にふんわり仕上がるのでとても良かったです。ただ、高いので、ご利用は計画的に。

始めよう

というわけで道具と材料が揃ったのでやっていきます。
参考にした記事や動画などを紹介していきますのでぜひみなさんもご覧になってみてください。

型紙

LINKさん(https://twitter.com/Link_nui)の型紙を利用しました。
フォルムがとにかくかわいくて一目惚れでした。特に後ろ姿、おしりがとっても可愛いのです。私はちょっと大きめのぬいぐるみが欲しかったので、A4サイズで印刷した型紙をコンビニでB3サイズに拡大して使いました。
LINKさんのnoteで作り方などが紹介されているのでぜひ目を通してみてください。

刺繍

ぬいぐるみ作りを行う方はきっと避けて通れない参考にする方が多いたきゅーとさん(https://twitter.com/tacute3)の刺繍動画を参考にしました。
下準備から縫い方までとても丁寧に教えてくれている素晴らしい動画です。
他にもたきゅーとさんはぬいぐるみ本体の型紙を配布してくださっていたり、その型紙のアレンジ方法、衣装の作り方など多岐にわたって動画をUPされているので必見です。

実践編

まずは刺繍から

基本的にたきゅーとさんの動画で紹介されている「アウトラインステッチ」「サテンステッチ」のみで刺しています。

人生初のぬい顔刺繍です

初めての刺繍ではアウトラインステッチのやり方を間違えていて、ただの本返し縫いになってしまっています。また、まつげ部分の図案が細かすぎてどう刺繍に落とし込めば良いのかわからずガタガタになってしまいました。
それでも初めてにしてはまあまあなのでは?と完成に近づくに連れ嬉しくなっていきます。

刺繍が終わったら本体を塗っていくわけですが、LINKさんの型紙には縫い代が無く、基本的にすべて布端を「巻かがり縫い」で縫っていきます。小さなパーツもあるのですが難しい技術など必要なく、ただぐるぐると縫っていくだけなのでとても簡単です。
また、縫い代がない型紙なので布に図案を写し取るときも何も考えずにフチをなぞるだけなのでとっても楽ちんでした。ただ、合印などは記載されていないので足の裏と頭の縫い合わせの時はしっかり全体を合わせて位置を確認してから、まち針やクリップで止めて縫うようにしましょう。

とりあえず形が完成した

か、か、かわいい~~~~~~~!!ハゲで裸だけどこのかわいさ。満足感がすごかったです。
この時は縫い糸としてミシン糸を使っていたのですが、生地が薄い上に縫い目がガタガタなので表にかなり響いてしまっています。
それでもまあここまで来たからには完成させにゃ、ということで素体を完成させました。

髪の毛を貼ってチークを塗りました

か、か、か、か、かわいい~~~~~~~~~~~~~!!
お友達が「チーク塗ったほうが可愛いですよ」とアドバイスをくださったのに心から感謝しました。この時使ったチークは自分の化粧用のチークでしたが、あとで本番用にとタミヤのウェザリングマスターを買いました。
ちなみに髪の毛は顔の型紙図案を写し取って、その上にひとまわり大きめの前髪を描いて切り抜き、型紙としました。裁ほう上手でペタっと貼っているだけです。アホ毛は裁ほう上手で2枚の布を接着してアイロンをかけ、根本を開いて貼りました。

いざ二体目

一体目が完成したときの反省点を考慮して二体目を作ります。
反省点を具体的に挙げていくとこんな感じ。
・体をもっと大きくしたい → 型紙を拡大印刷して使用
・顔が真ん中に寄りすぎているように見える → 印刷した刺繍シートを真ん中から切って位置調整して貼る
・ワタが少ないのか貧相に見える → 追加でワタを購入

サテンステッチ難しすぎる

本来なら下縫いのアウトラインステッチはサテンステッチ部分と色を合わせたほうが良いとわかっておりながら、今回はアウトラインステッチの練習だ!と割り切って一色で縫っています。

完成した刺繍、微妙。

まずここで反省。下まつげの色は上まつげと揃えたほうが良いということ。また、サテンステッチの端を揃えて縫っていくのは初心者には難しいということ。なのでこの反省を生かして次の刺繍をすることに決めました。

出来上がった2体目。サイズ感が好みになりました。

三体目!

衣装はセリアのぬい服です

完成した写真しか撮っていなかった!!
まずこれまでと違う部分としては、
・生地をソフトボア(ベルボア)に変更
・刺繍の裏面に伸び止めの接着芯を貼った
・体に骨(針金)を入れた
・髪を多重構造で貼っていった
と言った感じです。接着芯や骨、髪のくだりに関しては、先に記載したたきゅーとさんの動画やLINKさんの記事をまるっと参考にしています。

しかし完成したぬいぐるみ、なんか横に太い。これはボア生地が横に伸びる性質を失念してそのまま縫ったせいだと思います。刺繍はとても綺麗に縫えていたので残念極まりないです。

刺繍めちゃ綺麗じゃないですか

刺繍を成功させることができたのは、アウトラインステッチで下縫いをするときに色を合わせること、それからサテンステッチを縫う時はアウトラインの下から刺していくことを念頭にやっていきました。最初に縫ったアウトラインからサテンステッチの端がはみ出すとガタガタに見えてしまうので、本来のサテンステッチとは違いますが中を埋めるだけの方法を取っています。

執念の4体目

ここまで来ればきっと次は反省を踏まえたものが出来るはず!ということで本番用に残しておいたクリスタルボアで作っていきます。

刺繍が更にうまくなったように感じます

髪の毛の生地は想定より明るすぎたので「ベストカラーポリエステル用 ブラック」で染めました。眉に使っている刺繍糸と色が合うようにという気持ちで祈るように染めましたがこれが大成功。右のぬいぐるみの髪がデフォルトの生地、左上の暗い緑の生地が染めた生地です。
ベストカラーポリエステル用は、染めと色止めで鍋をふたつ使うので、セリアに売っている鍋焼きうどんなんかで使う、使い捨てアルミ鍋の一番大きいのを使いました。20センチ四方くらいの布ならこれで全く問題なかったです。
染め時間は説明書には30分煮込むとかいてありましたが、5分~7分くらいで引き上げました。真っ黒にしたかったわけではないのでね。あとは説明書通りに色止めと洗浄を行い、乾かしたらいい感じに!実験みたいでとっても楽しかったです。

さて本体を縫っていく前に、生地の伸び止めをしたかったので生地全体に接着芯を貼りました。接着芯も多少は横に伸びてしまうので、生地の横と接着芯の縦を合わせて貼り、絶対に伸ばさないぞという強い意志で挑んでいます。

衣装はこれまたセリアのぬい服

うっひょ~~~~~~~~~かわいい~~~~~~~~~~~~!!
かなり満足の行く出来になりました。ちなみに眼鏡はこちらのショップから購入させていただきました。

ちょっとでかいけどデフォルメされたぬいぐるみなら全然有りよねと思います。スクエア型の眼鏡は全然見つからなかったのでありがたいです。

髪は顔の型紙から2周りほど大きく切っておき、実際に位置を合わせながら貼りました。カーブになる部分は山折りしてはみ出た部分を切り取り、ダーツのように処理しています。

そんなわけでひとまず納得できる仕上がりのぬいぐるみが出来たので、一旦は終了としました。

終わりに

正直まだ「完璧」ではないのでまだまだぬいぐるみ作り続けたいな!と思っています。次はたきゅーとさんの型紙を使いたいので、ミシンが欲しいと駄々をこねている最中です。
ちなみにこの4体の製作期間は10日ほどです、2日半くらいで1体作っていた計算になります。とは言えその間、他のことをほとんどせずに熱中没頭していたから出来た日数だとは思います。仕事をしてその余暇を使って、1体一週間くらいかな?と思っていますが、このあたりは手の速さや集中力の継続なんかにもよるので一概には言えませんね。

ところで練習用に作ったぬいぐるみってみなさんどうしているんでしょう、ほどいてわたを再利用するのかなあ。なんだかほったらかしておくのも捨てるのも忍びなくて、引き出しの中にしまってあるんですが……。

ともあれ私のぬい活、始まったばかりですがとっても楽しい!ということがわかったので伝わればいいなと思います。
みんな、縫い物やっていこう!!