半年後と20年後の乾杯のための夏。
初めてビールを「おいしい!」と思ったのは大学1年の夏だったと思う。
炎天下の中、Tシャツに塩が浮くほど汗をかきながら東京中を歩き回ったあとに吉祥寺の居酒屋で飲んだビール。
それまで「とりあえずビール」と言いたいだけで飲んでたビールが、はじめて喉をスーッと通り抜け、溢れ出る汗で枯渇していた水分が体中に満たされ、苦手だった苦味がこれからの宴を楽しむスイッチを入れ、思わず「おいしい」という言葉がこぼれた。
夏を感じると「ビール飲みたい」と本能的につぶやくようになったのは、たぶん