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「僕にはこの夏がいつまでも続くような気がした。9月になっても10月になっても、次の季節はやって来ないように思える」(『きみの鳥はうたえる』より) あの夏がどうやって終わったのかを思い出せないでいる。 汗と酒とタバコと夜のにおいが染み付いた、あの頃よく着ていたあのTシャツがどこにあるのかも。 はじまりは肘に触れるくらいささやかなものだったかもしれない。 ひとりふたり増えていき、いくつかの夜が過ぎ、ひとりふたり去っていった。 汗まみれで缶ビール片手に夜の道を歌いなが