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17歳とスペイン、子どもの自立
17歳になった長女が、「倫理の授業がめっちゃ楽しい」と言う。学んでいるのは、ギリシャ哲学だそうで。
「"ソクラテス、プラトン、アリストテレスをネタに2-3分のコントを書け" って課題が出たんだけど、みんなめちゃくちゃ面白くてさ」
「コントを書け」。
そりゃいいねえ。学ぶし、笑うし、忘れないだろうねえ。
現代文の授業では、課題で短編小説を書いていた。匿名にしたい子はそれでOKという配慮ありで、皆で互いの作品を読み合う。いくつか読ませてもらったものはどれも個性バクハツしてて、素敵だった。
音楽のクラスでは「今度、学校にサルサの講師を呼ぶらしくて、音楽専攻の子たちで演奏しようよって先生が盛り上がってる」とか。
とにかく、自分で考えて、動いて、発信する機会がたくさん。
改めて、いい学校だなあと思う。
(というか、もしかしたら、生徒が多様であることを最初から受け入れていたら、そうせざるを得ないのかな...?これからの社会の縮図的、でもある)
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長女の学校には、第一言語が日本語ではない子も多く、配られる日本語資料にはほぼすべて振りがなが振られている。
「隣の席は異文化、教室の中は世界地図」で、背景も文化も多様な高校生たちが共に過ごす3年間。
前提が違う220人を相手にする先生はさぞ大変だろうけど、がゆえに教育者冥利にもつきるというか、一人ひとりを知るのが楽しいだろうなー
生徒たちにとっては、皆がバラバラだから同調圧力とは無縁... といえば聞こえがいいけれど、逆に自分は何者なのか、どう生きていきたいのかを日々突きつけられてもいそう。
あの中で淡々と生きていられる純ジャパの長女、逞しいなあと思う。
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で、そんな高校は家から遠いので、平日は寮生活。(まさか15歳で娘が家を出てしまうなんて、親としては完全に予定外!)
それでも週末になると逗子の家に戻り、「長い電車時間に読みたいから」と本棚から昔むかしに私たち夫婦が読んでいた小説を引っ張り出していく。
池澤夏樹や村上春樹を読んでは感想を語り、逆に私にもお勧めを教えてくれたりするのが嬉しい。
小学校の頃、あれだけ一緒に遊んだ海からは遠くなったけど、『クジラが見る夢』を読んで、「ジャック・マイヨールって素敵な人だね」とか言うから、母はたまらなく幸せになる。
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環境にも、寮生活にも育ててもらっている長女が、この夏はスペインに行ってきた。好奇心が向くまま、大好きな音楽を修行しに。
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到着して4日間。写真やメッセージがホストファミリーから届いて、無事なのはわかっていたけれど、本人からはほとんど連絡がなくて、親はソワソワ。
そろそろ学校も始まってるんだよなー
LINEは見ないけど、Be Real と Snapchatはやってるんだろなー
いっそ私もこの際、Be Real とか始めちゃおうかな…
…とか、母がしょうもないことを考えはじめた頃、余裕が出てきたか、長いメッセージや電話が入るようになってきた。
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来週ライブレコーディングがあるとか、最終日にはコンサートをするのだとか、
仲良くなった同世代の子たちの出身地がNY、ロシア、ジョージア、ポルトガルと多様で、その子たちとただおしゃべりして一緒にいるのが楽しいとか、
Japan Loveな子がいて日本語ちょっと知ってたよとか、めっちゃ渋い声でブルースが歌える子がいて刺激を受けたとか。
「”明日はこの歌をやるから聴いといてね”って同じ課題を出されても、真剣にやるのは自分や台湾、フィリピンの子くらいで。
カリフォルニアの子とかさ、聴きもしないで “自分はこの(別の)歌がやりたい” って言えたりすんの。アジア人ってやっぱ、真面目なんだねー」
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桃は、旧市街の石造りっぽいほうが好きだし、そもそも周りに自然がないと
落ち着かないってことがよくわかった。
いまの学校は森の中だし、家は逗子で海があるじゃん。
身近になくなって初めて意識できることって、あるんだねー」
いいねいいねー
すべてが刺激で、すべてが学びだね。
まだまだ未完成な高校生が17歳の感性で日本を飛び出して、異文化に触れて、背景多様な友達と一緒に大好きな音楽に没頭できるなんて。
羨ましすぎるぞー!
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短いプログラムながらプチ卒業式も行って、仲良くなった仲間たちと涙を流した最終日。母国が違うみんなとは、次にいつ会えるかもわからない。
「音楽も楽しかったんだけど、結局、音楽って自分でやるものだなとも思った。それより、友達の話してた言葉が気になって、面白かったんだよね。ロシア語も、スペイン語も、いろいろ。大学で留学するなら、音楽じゃなくて、言語もいいなー」
たった3週間だけど、気づきも出会いも学びも、濃密だったね。
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日本からいいお酢、いい醤油、いい米、いい海苔を持参した。
けど、お酢と醤油は(割れないようにと手荷物にしたら)液体だから没収されるという
考えてみれば当たり前の失態から、旅がスタート🤣
なんとか現地調達できたみたいで、良かった。
世界は広くて、人生は自由で、若い人の可能性は無限大。
そうだね。音楽でも言語でも、なんでもいいね。
「対等に話せるようになったのが嬉しい」なんて言ってられるのはきっと今のうちで、すぐに私のほうがいろいろ教わる側になるのだろうなあ。
次世代の好奇心を一緒に面白がって
心から応援できる大人であろうと、あらためて心に誓った母でした。
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大好きだったミュージシャン、Benと、1歳半くらいの桃。
桃、あんなに小さかったのにね。
自立しつつある17歳がひたすら眩しい今日この頃です。