小学生と相模湾横断(逗子〜小田原)50kmの冒険!
とびうおクラブでは、平日放課後の普段のとびうお活動に加えて「さらにもう一歩」海と親しむ手段として、上級生の子どもたち向けに「カヌー部」や「素潜り部」を用意しています。
私はカヌー部を担当させてもらって、6〜7年目。その間、かけがえのない表情をたくさん見せてもらっています。
6人乗りのアウトリガーカヌーには、学びがいっぱいあります。
普段は浜付近で遊んでいる子どもたちがカヌーで漕ぎ出して、山や建物に守られた逗子湾から外に出れば、風もうねりも大きくなるのを身体で感じられます。
同じように漕いでいても、向かい風もあれば追い風もあり、潮に流されることもあれば、乗っていくこともあります。
パドルで水を掴む重さも、仲間と息がぴったり合ったときにカヌーが滑る感覚も、カヌーで波乗りできた時の楽しさも、刻々と変化する海の不思議も、全部、言葉では決して教えることができないものです。
なかでも最高なのが、沖で潜って遊んだり、海から遠くの陸を眺められること。
足のつかない沖で潜れば、水の温度も透明度も浜付近の海とはまるで違います。大きなうねりを身体で感じたり、海の生き物の暮らしを覗き見したりすると、普段の自分の暮らしってなんて小さい範囲の話なんだと思うのです。
大海原から陸を眺めてみれば、普段の自分どころか、人間社会の小ささまで感じられるような気がしてきます。
…って、そんなことを言語化できるようになるのは、きっともう少し先の話なんだろうなー
それでも、この時期に「小さな自分のいのちは、大きな海、大きな地球とつながっている」ってことを理屈じゃなく肌で感じられるのは、とても幸せなことなんじゃないかと思っています。
7月なかば、そんな風にしてこの半年間一緒にカヌーを漕いできた5〜6年生の子どもたちと「相模湾横断50km」の冒険をしてきました。朝7時に逗子海岸を出発、ヨットと漁船に伴走してもらい、海上でメンバーを交代しながら10回転。
天気と海況に恵まれて、心地いい微風の中、7時間の旅を終えることができました。
自分の身体とパドル一本で、息を合わせて、漕ぐ、漕ぐ、漕ぐ。
画面上の検索でなんでも「知ったつもり」になれてしまう今の世の中で、小学生にして「相模湾の大きさを身体でわかってる」なんて、なかなか貴重なことだと思います。
しかもそれを、同世代の仲間たちと共有できるなんて最高です。みんなの目には、相模湾はどんな風に映ったのだろう。
子どもたちが冒険の途中で出会ったものは、たくさんありました。
イルカ、クジラ、サメ、数十メートルもの距離を並走してくれたトビウオたち、目に見えてわかる赤潮のラインや、大きな潮目。
船に乗っていた子たちは、クジラが潮を吹いたのを浴びることができたし、カヌーに乗っていて、目の前でイルカが跳ねて旋回するのを見れた子もいました。
沖合いの海の色や、浜付近とは違うひんやりした水の気持ちよさ、エンジンを消して風の力だけで動いていたときのヨットの静けさ、海風の心地よさ。
全部が子どもたちの中で「ああ、面白かった!」「楽しかった!」という記憶と共に、これからの人生の糧になってくれるといいなー。
面白かったのは、小田原到着後、伴走してくれた伊代田船長に大きな声で「ありがとうございました」をしたあと。それぞれのやり方で冒険を締めました。
のんびりが好きな人たちは、温泉で疲れを癒して楽しんでいました。
走るのが好きな子たち(と大人たち)は、7時間のパドリング後、「水源探しの冒険だ」と言って、なんと芦ノ湖までの17kmをトレランしていました。
さらに、泳ぐのが好きな鉄人コーチは、7時間のパドリング+伴走ヨットを逗子に戻すための3時間セイリングの後、大崎沖でヨットを飛び降りて、まさかの2kmスイミングでフィニッシュ!
脳内偏重になりがちな時代に、自然とのつながりや身体性を取り戻すのは本当に大事なことだと思っているけれど…
すごすぎるよ #とびうおクラブ のみんな!笑
カヌーを通してみんなのいい表情や成長に立ち合わせてもらえていることに、改めて心から感謝した1日でした。
関わってくれた皆さま、いつもありがとう〜!
Photos by Yo Ueyama / SOKKA
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