地元が大嫌いで上京したけど地元と和解しました

大学進学をきっかけに上京した。地元が嫌いだった。車がなければ好きなところに自由に行けない、1人になれる時間と空間がない、優しい人はたくさんいるけど話が合う人はいない、本や勉強が好きだと異端扱いされる、娯楽が少ない、みたいなよくある理由。


上京してからは楽しかった。話が合う人がたくさんいるし、一人暮らしの部屋に篭れば誰とも話さないで過ごせるし、私よりも勉強ができたり本を読んだりしてる人がたくさんいるし、娯楽だらけだし。門限がないから好きなだけ外で遊んだり飲み歩いたりできる。


今でも東京最高!という気持ちで東京で社会人をやっている。


アラサーになってから、親からそろそろ結婚……と言われ始めた。会社の50代オーバーの人たちからも「独身を謳歌しなさいね、これから子育てしたり親戚付き合いが始まったりするのだから」と結婚して子供を持つことを前提とした話をされることが多くなった。(余談だけど公務員同士でこんな話したら懲戒ものらしい。うるさいこと言われたくない人は公務員おすすめ)


特に独身主義じゃないけど、良い人いなかったら結婚したくないなあ、でもずっと1人は嫌だなあ、子供を産まなかったら後悔するかも、という感じで、どっちつかずだった。当時は彼氏がいたので周りからの声も親からの圧力も、良い気はしなかったがあまり気にならなかった。


当時の彼氏には、別にこの人だったら結婚してもいいかもなあ〜でもこの人と子供を育てるとしたら不安かもなあ〜(自分にも他人にも厳しくて、暗い男女のことがめちゃくちゃ嫌いな人だったので)という印象を持っていた。でも話がめちゃくちゃ合うし、ムカつくものが同じだし、地元や親への嫌悪感も一緒くらいだった。プロポーズされていたら受けていたと思う。普通に振られたけど。


外であった面白いこと嫌なことを共有して、同じ感覚で笑ったり怒ったりした。嫌なものが同じだった。外では決して口にできないような細かいニュアンスの悪口も通じた。仕事のスタンスも似ていた。こんなに気が合う人はいないと思った。(彼の方が他人に対して私よりも厳しい目を持っていて、彼から見たら私は十分ではなかった。私の欠点は許してもらえなかった。だから気が合うと思っていたのは私だけなのかもしれない。悲しいね!)


振られてから、もう誰でも良いから結婚してくれ〜〜という気分になった。「地元はクソ、めちゃくちゃ気が合う人見つけた!」→「振られたってことはどうやら私もクソらしい! 無理すぎる!!」みたいな極端な思考回路になっていた。


彼氏がいないことで、職場の人たちや親の言葉がダイレクトに心に突き刺さる。一人でも楽しく生きていける、と思えるほど私は成熟していなかった。最悪誰とも結婚できなかったら、外国に移住して逃げ切ろうと考えていた。逃げてきた先の東京でも居心地が悪いのなら、もう海外に行くしかしかない。(海外移住ってインパクト大だから独身かどうかなんて有耶無耶にできそうだし)


振られてから1年経って、マッチングアプリを始めたが性に合わなすぎて即辞めた。選ばれるように努力することはできるけど、選ぶのが難しかった。誰かと付き合うか否かを判断する時に、私は条件より価値観や話が合う方が優先度が高い。同じコミュニティに属して他の人との関わり方を見たり、友達から仲良くなったりしない限りそんなのはわからない。マッチングアプリ向いていなさすぎる。(今思うとさっさと転職するなりサークルに入るなりして色んな異性と知り合いになったらよかったんじゃないか?)


別れてから一年以上、元恋人とずるずる一緒に住み続けていた。友達として毎晩晩酌をする日々が楽しすぎて抜け出せなかった。周りから、早く引っ越しなよ〜と言われてそうだよね〜と思っていたけど動く気になれなかった。正直、こんなに仲良いなら復縁もあるかもという期待もあった。


好きな作家さんのイベントで今の彼氏に出会って、出会ったその日に終電まで飲んで、まだ話し足りないから翌日も遊んで、また終電まで話し込んだ。楽しく話せる人って元恋人以外にもいるんだ、と気づき家を出ることができた。すぐに交際が始まり、トントン拍子に婚約まで至った。


一緒に住んでからケンカすることや噛み合わなさはあるけども楽しく過ごしている。彼と私は仕事観も、性格も、趣味も、嫌いなものも違う。例えば職場の新人が伸びなかったら、私は職場の先に居た人たちの責任だと感じるのだが、彼氏は本人の努力が足りないと感じるタイプだ。(私は色んな人と協力して仕事を進める業種で、彼は技術職だから、そこのスタンスが違うのは仕方ないのかもしれないけど)そういうズレが至る所にある。でも、親戚付き合いとか子育てとか大きな選択とかを一緒にしていく相手としては不安がない。稼ぐ力と可愛げと自分以外の人の価値観を尊重するスタンスがある人なので、結婚相手と考えるとかなり良いと感じる。さらに、彼は彼の実家の家族と良好な関係を築いている。べったりではないけどお互いに気にかけあっているようだ。大人だなあ、自分もそうできたらなあと思う。


そんな彼と私の実家に帰省したら、家族への気持ちや地元への想いが変化した。


↓その時のことを書いた記事。


彼と帰省したことをきっかけに、今までは嫌いだった地元、ちょっと苦手だった家族のことをフラットに見られるようになった。明確に線が引かれたからだと思う。婚約者がいるということは、実家の家族とは別に家族を持つことが決まったということだ。地元は「抜け出すべき場所」「気を抜いたら戻る羽目になる場所」ではなく、故郷になった。いわゆる相対化に成功した。


同時に、元恋人と自分を同一視してしまっていたことに気づいた。もし元恋人と結婚することになっていたら、地元や実家を相対化することはできなかったかもしれない。二人してお互いの地元や家族に嫌悪感を抱いたまま、盆や正月にもろくに帰らず東京で好きに過ごし、冠婚葬祭にだけは渋々参加し、歳を取り続けていた可能性があるんじゃないかと思う。


今の彼氏のことは、「自分とは別の人間」とはっきり認識できている。お互いに、個を持った上で協力関係を築いていけそうな気がしている。


当たり前のことだけど家族や親戚の一人ひとりにクセがあり欠点がある。私にもある。他人のは許容できたけれど、自分と家族、親戚の欠点は許せなかった。それは自分と地続きだったからなのかもしれない。許すのって距離感がないとできないことだと思う。(元恋人が私のことを許せなかったのも同一視していたからなのかなあ、わかんないけど、今はそんな気がする)


こういう風に、形式とか自分以外の人とかに線を引いてもらえないと相対化できなかったのは我ながら幼稚だ。独身主義で地元とも上手く関われている成熟した人もたくさんいると思う。(いやーでも、周りの価値観の押し付けとか無遠慮な言葉とか本当最悪だよ。他人が言われてるのとかも腹立つもん。年取っても、若い人たちに結婚しないの??とかあの人はモテるモテないとか絶対に言わないようにしよう)


これから親戚付き合いや子育て、社会との関わり方で新しい悩みが出てくるんだろうなあ。でもひとまず地元と和解できて良かった。


地元や家族と物理的に距離を置く、自由を謳歌する、色んな文化に触れる、色んな人と知り合う、自分の力で生計を立てる、仕事の成果物が全国に届く、地元と和解する、ということが実現できたから上京して本当に良かった。人が多い分悪い人や危険なことと関わりあいになる可能性が高いのと、東京で生活している人たちのストレスのかかり方がエグくてイライラしてる人が多いから嫌な目に遭うことも多くて、ヒリヒリした日々は確かにあるけども。


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