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「傷つかないお産」は出来る

 妊娠後期、いよいよもうすぐお産、という時の心配事として多いのは、「陣痛に耐えられるかな?」ということと「会陰切開や、あそこが裂けてしまうのが、怖い」ということです。

 初産婦さんでも、おしもが切れずに出産することは可能です。人は本来、産道を傷付けずに出産する力が備わっているからです。
 実際に助産院の出産では、会陰切開も縫合も必要ありません。

 そうはいっても、病院での出産は、状況が違うと思われるかもしれません。病院のお産の場合でも、会陰を傷付けずに出産するコツを3つをご紹介します。

①自分の産道(膣や会陰)の状態を知っておく

 自分の産道に触れてみたことはありますか?(ちょっと心理的に抵抗がある人もいるかもしれませんね)お風呂に入った時などに、膣の中に指を入れてみて、産道を良く触ってみてください。

「この姿勢だと、ここがつっぱる」
「こんな風に力を入れると、伸びない」
「こう息を吐くと、ここの部分がゆるむ」
などかわかれば、お産の最中でも、どのように力を入れたり抜いたりしたら良いかイメージしやすくなります。

 良く、「会陰マッサージ」や「会陰のオイルパック」が良いと、聞くことがあります。マッサージやパックも、それ自体に効果がないわけではありませんが、それよりも、マッサージやパックに取り組むことで、「自分自身の体の状態を知る」ことがとても良いのだと思います。

 膣や会陰に触れる時は、入浴時などの清潔な状態で行ってください。切迫早産などの症状がある場合は、妊娠37週以降、正期産の時期に無理せず行ってみて。

②なるべく出産直前まで、こまめに姿勢を変える

 陣痛中にずっと同じ姿勢でいると、会陰がむくんだり、一部分に圧がかかり傷付きやすくなります。分娩台でのお産は、動きに制限がありますが、右下の横向きから、左下の横向きなどに姿勢を変えることはできるはずです。陣痛中に姿勢を変えるのは大変だと思います。陣痛と陣痛の合間に、挑戦してみてくださいね。

 姿勢をこまめに変えることは、赤ちゃんが産道を降りてくることを助ける効果もあります。助産師と相談しながら、なるべくずっと同じ姿勢にならないよう工夫してみてください。

③頭を使いすぎず、なるべくリラックスする

 緊張や不安が強すぎると、陣痛にも乗りにくいし、体もかたくなりがちです。
・バースプランをスタッフと共有する
・自分の安心材料を知っておく
・どうすれば心地よく過ごせるか準備しておく
・スマホの使用は最小限にする
・(可能であれば)分娩室の明るさを調整してもらう

などの工夫によって、リラックスしやすいです。

 不安や緊張が強いときは、強い陣痛が起きにくいです。ですが、緩やかな陣痛が起きているときに、体は「プロスタグランジン」という物質を出してくれています。これは、子宮の出口や、会陰や産道を柔らかく伸びやすくする作用があります。
 もしも、「急に陣痛が弱くなってしまって、お産が進まなくなっちゃった」と言うときは、「体と心を緩めて、産道を柔らかくしているんだな」と思ってくださいね。陣痛の合間にうとうとしたり、深呼吸をしてリラックスすると、また陣痛が強くなってくれることが多いです。

誰でも、「傷つかないお産」は可能です。

 産院の状況や、お産の経過によっては、実行が難しい場合もあるかもしれません。ですが、少しの心がけや準備の違いで、傷の程度が軽くなることも多いです。
 「おしもが裂けるのは当たり前」ではありません。誰でも、「傷つかないお産」は可能なのです。


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