遊藍

藍染屋五代目:千葉大学文学部行動科学科卒哲学専攻・馬術部OB。多分、話題はあちこち気の向くままに

遊藍

藍染屋五代目:千葉大学文学部行動科学科卒哲学専攻・馬術部OB。多分、話題はあちこち気の向くままに

最近の記事

【馬術】軽速歩の手前は何に合わせているのか

新学期始まって、こんな状況ですが大学の馬術部にも後輩が入ってきてなかなか熱心にやってくれています。ほとんどが未経験の大学馬術部なので毎年位置から教えています。そんななかで最初の頃に課題となるものの一つが軽速歩なのでちょっとその話を。 軽速歩の動きにおいて簡潔な説明でよく言われる説明は 【外方前肢が前に出たときに立つ】 と言われます。 なぜ逆ではいけないのか。なぜこの動きに合わせるのが良いとされるのか。誰かの役に立つかも知れないので自分なりに調べて考えた結論を書いてみることに

    • 実践練習か理論座学か~努力・才能・環境・運

      これと直接関係あるわけじゃないけど、↓を見て思い出した話。 サンデル教授が語る「大卒による無意識の差別」 「努力すれば成功できる」という発想の問題点 | リーダーシップ・教養・資格・スキル - 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/422935 この話題はこの話題で面白いと思うので興味ある人は読んでみるといいと思うけれど。 で、書こうと思ったのは馬術の話。 結論から言うと座学(理論)と実践は両輪でどっちも大事だと思うのだけど

      • 【馬術】関節の自由度

        馬術では、正しい姿勢が求められますが、あの正しい姿勢はなぜ、どういうのが正しいのでしょうか? というのを大学馬術部時代に考えながら調べたり試したりしていたのですが、その答えの一つが『関節の自由度』です。自分なりの他の答えについてはまたいつか。これについては【藍染】へら使い/スキージングと身体操作テクニックでも馬術が役に立ったという話でほんの少し触れましたが、馬術方面でもう少し詳しく触れておこうかと。 さて、馬術では乗り手に柔軟性と安定性の双方が求められます。 なにせ馬は動い

        • 【藍染】紺屋の明後日~納期を長くもらう理由~

          『紺屋の明後日』という言葉があるように、うちの仕事ではとくに納期を長めにもらう(およそ45~60日)わけだけど、なんでそんなにかかるのかという話を。 実のところ、理想的な条件下で最速であればそんなにかけずに作れるので、たまたま条件が良い、他の仕事が詰まっていない、最優先でそれだけをやるのであれば一週間くらいで出来てしまうこともあります。それでもおおよそその程度にはかかるのだけど。もちろん、型作成の有無やその型デザインの内容、仕立てなしで反物納めなどいろいろ発注内容でも変わりま

          【藍染】へら使い/スキージングと身体操作テクニック

          【藍染】型糊置き体験2で書いた、糊置きのへら使いに関して。 おまけとして、シルクスクリーン捺染のスキージングの話も合わせて書こうかな? 共通項もあれば、違うところもあるし、かといって趣味の人が学ぶ本ってのはあんまりないから、捺染を趣味の独学でやろうとするとちょっとむずかしいし、体験ではあんまり細かいこと教えてもらえないし、仕事では現場の人がどれだけ教える能力あるかに左右される世界でもあるし。見て覚えられる系の人はいいんだけどね。なお、うちで捺染をやってるわけではありません。

          【藍染】へら使い/スキージングと身体操作テクニック

          【藍染】型糊置き体験2

          というわけで、型付け/型糊置きについて。 濡らした生地に付ける手法と乾いた生地につけて裏から水を入れる手法その他色々あるのですが、ここでは濡らした生地につける手法でやっています。 ちなみに、順番はともかくなぜ濡らすのかですが、生地にしっかり糊が食い込んでいないと裏側から染まった色が表に出てしまいやすくなるからです。他に、乾いた生地から空気が上がってきて糊に穴が空いてしまうということもあります。濡らしていても両面付けすると間に挟まれた空気は逃げ場を求めて糊に穴を開けてしまうこと

          【藍染】型糊置き体験2

          【藍染】型糊置き体験1

          さて現在の情勢から中止になっているけれど、例年通りであれば今日(2/27)は歴史と民俗の博物館(@saitama_rekimin)に出張で型付け~染め体験の講座に行ってるはずの日でした。 ちなみに、だいたい2月末あたりの土曜日に年一回でやっていて、うちの作業メンバーほぼ総出で十数人の受講生を見ています。年によって内容が変わることもあるのですが、最近はおおよそ手ぬぐいよりすこし長いくらいのサイズの生地2枚に糊置きで、片方は両面、もう片方は自由という形が多かったと思います。両面置

          【藍染】型糊置き体験1

          【藍染】そもそもどんなの作れるの?

          部屋と同じく、思いつきで色々書いて話を散らかすのが得意なので、そういえばそもそも『うち』でどんなの取り扱ってるのか書いてないような気がした。誂えものなので、実際にはやろうと思えば出来るを入れてしまうと色々なんだけどやってみないとわからないというのもあるので、とりあえず現状で取り扱ったことのあるものについて。 ただし、染色技法(ジャンル)とかでも書いたとおりその製品でも工場によって出来たり出来かったりするので詳しくはお問い合わせを。実のところ、藍染の誂えものでそれなりの量やって

          【藍染】そもそもどんなの作れるの?

          型彫り~図案トレース~

          久しぶりに仕事の話。 型新規で作るときに、それはそれなりに高く付くのだけど、どんな作業をしていてその値段になっているのか、というところは多分なかなか見えないと思うのもあってちょっと書いてみる。 大部分は既存の型でリピートの仕事をするわけだけど、当然新規の仕事であったり、古くなって型の破損が起きたりすると、型を作成する必要が出てくる。 最近では専門で型の下絵を書いたり、型を彫ったりする人はほとんど廃業してしまっているので、染屋が内製化したり、作れる染屋さんに頼んだりしている状

          型彫り~図案トレース~

          【馬術】常歩で如何に『歩かせる』か

           馬術部で活動していると(少なくとも見知っている人)ほとんど全員がぶつかるこの課題。そもそも『ちゃんと歩く馬』に乗るのが正解だというのは当然として、でも馬術部で部内の馬を変えるのは現在乗ってるメンバーしかいないわけで、それ(トレーニング)こそが馬術の本質だから。 下記ツイートを社馬連のアカウントがお気に入りにいれているのもそういうこと。  それはともかく、そんなわけで身近ではあれこれ工夫しないといけない常歩の歩かせ方、色んな人のいろんなスタンスがあるわけだけど、よく言われる

          【馬術】常歩で如何に『歩かせる』か

          【紹介】独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法

          自分の本でもなんでもないけど突然の宣伝。 基本的に実用書とかビジネス書、自己啓発系の部類はほとんど信用してない自分なのだけど、最近本として出始めた読書猿さんのだけはおすすめできる。 本当は変なビジネス書とか自己啓発系の本なんか読まないでこれ読んでほしいといいたいところだけど、他のを読むなら読書猿(くるぶし)さんの本も手にとって見てほしい。 独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール ア

          【紹介】独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法

          ゼノギアス

          『ゼノギアス』 #全力で推したいゲーム たまたまタグを見かけたので反射的に書きたくなった名前。 ゼノギアス。 中身には色んな方向から賛否両論だけど根強いファンは多い作品。最近、楽譜再復刻でその界隈には話題になったもの。 スクウェアの作品だけど販売目標達成できなかったので続編が作られず、監督が辞めてしまってモノリスソフトを作りゼノサーガシリーズ、最近話題のゼノブレイドシリーズを作ることになった大本といえる。 ちなみに、今はFate/GrandOrder続けてるけど、そこにもゼ

          ゼノギアス

          【藍染】藍染、型付、馬ーあるいは不思議な縁

          タイトルの流れになんか見覚えがあるという方は多分、ダグラス・R. ホフスタッターをご存知なのでしょう。いや、ふと思い出しただけで内容は『ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環』とは関係ありません、あしからず。エッシャーだけちょっと関係あります。エッシャー好きなので。 さて『染色技法』と『印染』についてちょっと書いたので、柄をつける『型付』関連の話題を。 うちでやっているような『浸染』『引染』(あるいは家ではやっていないけど注染)では、防染糊というものを生地に置いて

          【藍染】藍染、型付、馬ーあるいは不思議な縁

          【馬術】馬術と座学/スポーツとゲーム

          馬術部の話の通り、大学入ってから動物好きで馬術部入って始めたのだけど、趣味は読書に映画にゲームとインドアが基本。あとは自然科学実験的な話は好きだった。 しかし、大学から始めたことで意外とスポーツにそのあたりが役に立つことが判明。(役立たせ方に気づくまで一年はかかってたけど) なお、ゲームで好きなのは主にRPG(読書の延長)で、プラス育成(なのでシミュレーション含む)要素。 読書経験はそのまま、馬術書を読むのに役立った。 まぁ、読解力的なのはどんな場面でも役に立つと思うのであ

          【馬術】馬術と座学/スポーツとゲーム

          【馬術】馬術部の話

          仕事の話ばっかり書いてるとやっぱりらしくないので(ぇ でも仕事ないと趣味も馬もはかどらないんだよね…しかし宣伝は苦手 大学に入ってから馬術部に入って、卒業してからも行けるときには顔だして馬と人の様子を見る生活をしてた。現在は感染症のあれこれで(主に向こうに持ち込むリスクを減らすために)控えめにはなっているのだけど、人手が足りない時とか馬の運動の調子がイマイチなときとかにヘルプで行ってる。まぁ、今年に関しては正直収入も激減なのででかけづらいのも多少あるけど。電車で二時間半前後

          【馬術】馬術部の話

          【藍染】印染

          染物屋の話から、続いて印染について。 これはそんなに長くはないかな…? 印染の読み方は『しるしぞめ』あるいは『いんせん』 文字通り布地に印を染め抜くもの全般で、先の記事の手法による品物全般と言っていい・・・かな? 印染でないのは、主に無地染や糸染などになると思う。歴史的に家紋などを染め抜いたものを印染と呼ばれているのだけど、そういう関係上、境目が微妙なものについてこれは印染?と言われるとちょっと判断難しいかもしれない。 概ね、祭半纏や神社幕、旗などは印染と言っていいと思う。

          【藍染】印染