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母は素敵な魔法使いだった
こんにちは、愛音です
久しぶりに電車に乗って洋服を買いに行きました。そして色々思い出しました。
不登校、半引きこもり、あの時は自分に興味を向けられず、オシャレなんて完全に頭から抜けていました。着てる服はパジャマが主でした。着替えたとしてもデニムと黒系のシャツ。黒が好きなのではなく、明るい色が心底嫌で黒系しか身に着けませんでした。
そんな私を見ていたからか、母から1つの提案が。
これから病院の帰りには洋服を一着、買ってみない?
病院の近くには駅ビルがあり、そこで服を買おうと言う母。もちろん最初は嫌だの一言、その次には私なんかに可愛い服なんていらないでしょ。でも母は私の手を優しく繋いで服を見に行きます。流行りなんて元々知らない、センスがあるか言われればないと答えます。母はにこにこしながら私に服を見せて鏡の前に立たせました。「ほら、もうお姉さんだよ。こっちとこっち、どっちがいい?」鏡越しに見た母の顔も声も今も記憶に残っています。すごく楽しそうだったんです。買った洋服よりも母のことを鮮明に覚えています。更に思い出すのは母からもらった手紙に書かれていた言葉。
愛音はお母さんがどうしても欲しかった女の子です
こんな娘でも、邪魔な娘でも、ないんですよ
私はお母さんがどうしても欲しかった女の子?
今こんなぐちゃぐちゃな心なのに、それでも邪魔じゃないの?
こうして沢山の中から服を選んでくれるのは…大好きだからなの?
「…こっち」「分かった、じゃあお金払いに行こう!」
私の真っ黒な服から少しずつ明るくて、綺麗な可愛い服が増えたのは母の優しさがきっかけでした。空いてるクローゼットに可愛い服が増えていくことはすべてが母の愛情。
それからかなりの年数が経ちました。今の私はオシャレが好きです。やっぱり流行りなんて知らないけど、自己流だけど、自分で好きな服を選べます。好きな服を着ると心が明るくなる。母との思い出が私を優しく強く、幸せにしてくれました。
もう母と買い物には行けないけど、鏡越しに母が見える気がする。「愛音にはやっぱり明るい服が似合う。もう立派な大人になっちゃったなんて信じられないね!」
世界一のお母さん、私にオシャレの魔法をかけてくれてありがとう
*愛音*
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