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釣り人のイヤラシさ
【無双】
1.並ぶものがないほどすぐれていること。無二。無類。 「天下―」
2.衣服・道具などの、表・裏、内・外を同じ布、同じ材料で作ること。そのこしらえ。
3.周りはまったく釣れていないのに、自分(もしくは自分のグループ)だけ沢山釣れており、ドヤ顔をせずに当たり前な様で釣り続けること。
釣りをしてると、ちょっと失敗したり、
あー、あれ持ってきてればもっと釣れたのに…、
なんて事がしょっちゅうある。
そんな事もあろうかとセコセコと準備したり、更に上回る釣果を叩き出そうとコスいやり方、他人を出し抜く道具を準備したくなるのはオレだけじゃあないはず。
こんな事があった。
自然の川をある程度岩で仕切りを作り、ニジマス他を釣らしてくれる渓流つり場に行った時の事なのだが、魚もさるもの人の竿が届かないエリアに沢山集まっていた。
その時はその手前にいる魚を釣って「それなり」に楽しんだわけだけど、次来る時は手の届かないアイツらを釣ってやろうと企んだ。
答えは簡単で、長い4.5mと5.4mの竿を用意してホンキで挑んだのだ。
それもまだ幼稚園のムスメを連れて。
ムスメは釣りが初めてで自然の中で遊ぶ事だけでも楽しんでくれてはいたが、長く重い竿をなんとかフラフラと操りコツを掴むとバカスカ釣り始めた。
見事に作戦がハマった瞬間だ。
「おいおい、幼稚園くらいの女の子があんなに釣ってるのに、オレ等は全然釣れないぞ…」
なんて、周りの大人達の声がムスメの耳に届いていたのは間違いないのだが、
黙々と釣る幼稚園児のその姿はまさに無双。
釣り人として、なにより親として
「キモチー!」
と無双な瞬間だった。
書いてたらもうひとつ思い出した。
釣り仲間3人でシロギスをのんびり釣っていた時の事。
オレら釣り仲間は、メバルロッドと言われるルアーロッドの中でもちょっとしたアタリも逃さない高性能なズルくセコい竿でシロギスをバカスカ釣っていた。
と、そんなところに推定50代後半のおっさん2人と同世代のおばはん2人のダブルデートのようなカップルズ?が登場した。
はしゃぐおばはんふたりと精一杯カッコつけてるおっさんの様を見る限り夫婦感は二組ともに感じられない。
3人が1投1匹でシロギスを釣るその光景を目にしたそのおっさんふたりが、
「よっしゃ!魚釣ってカッチョいいとこ見せちゃるぜ!」
と言わんばかりで、腕まくりで鼻息荒く近くで釣り糸を垂れ始めた。
おばはん2人も、
「がんばって〜♥今夜のおかずはまかせたわよ〜」
てな感じではしゃいでいる。
おっさんも、
「オレが狙ってるのはキスだぜ(スケベ)」
と思っていた事だろう。
しかし、現実はそう甘くはない。
おっさんの取り出した竿はウチ等の繊細なルアーロッドとは程遠いゴツいシロモノに、それはそれは重いオモリでどっぽーん、と。
オレらぁは上手いしお高い竿を使ってるのさぁー、と言いたいのでは決してなく、この日のシロギスは珍しくとっても繊細で入れ喰いに至るまで3人で数時間試行錯誤した結果、やっとそこに行き着いたのだ。
釣れ続けるオレらを横目で見ながら、
「トホホ…、こんなはずじゃなかった…」
「今夜のキスの雲行きはかなり怪しくなってきた…」
と思ってたであろう、と勝手に想像しながら、釣り続けたオレらはまさに【無双】状態。
なんだよー、教えてあげればよいのにさぁ〜、とは言わないでくれ。
聞いてくれれば教えるのだが、それはしないのが釣り人のイヤラシいところ。
80年代洋楽POPSのPVならば、おばはん2人はウチらにくっついて来て、ムフフになるのが結末ではあるけれど、残念ながら美熟女は大好きだが、おばはんには興味はない。