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炭酸メモリーズ

「#炭酸が好き」エピソード書いてみね?ってnote運営さんからまわってきたので、ちょっと書いてみようかな。

書いてたら3つも出てきちゃったから長いけど、良かったから付き合ってくださーい。


キリンレモン信仰とコーラの不買運動


昭和40年代ギリギリ生まれの第二次ベビーブーマー世代ってのはホントに子どもが多くって、経済成長中の社会もそれに応じて子供向け(子供騙し?)商品が溢れかえっていた。

スライムやゲイラカイト、ガンプラもこんな時に生まれたし、アイスの棒がガムだったり(このガムが美味くねぇんだよなぁ)、食べると舌が赤くなる黒くなるアイスなんてバカバカしいものも常に売っていた。
そんな中、ことジュースに関しては親がヒドく干渉してきて、飲みたいモノが飲めなかった。 

そう、コーラ(コカ・ペプシ共に)への甚だしい勘違い、思い込みがウチの親を直撃していたのだ。

「コーラなんてダメ!骨が弱くなるんだから!骨が溶けるのよ!歯が溶けるのよ!」

と、子供の意見を一刀両断切り捨てた。
普通に考えて、全世界で売っているあれだけのものが骨を溶かすような劇薬であるはずもないのだが、まことしやかに語られるコーラ神話を信じ切ってる大人達は多数いた。

「じゃー、炭酸飲めないじゃんか!シュワシュワしてるのはコドモだって飲みたいんだよ!ズルいよ、オトナは夜になるとあんなに泡の立つビールばっか飲んでさ!!」

と、ホットパンツのような半ズボンのポケットに手を突っ込んで小石でも蹴って「チェッ!」と腐るところなんだが、

「コレならいいわよ、コレなら。骨溶けないから。」

やはり美味いキリンレモン。

と台所の床下収納を、よっこいせ、と開けて取り出してくるのは決まって瓶に入った透明な「キリンレモン」。

「オレはコーラが飲みたいの!なんでコーラは骨が溶けて、同じ炭酸のキリンレモンは溶けないのさ!?」

という疑問が浮かぶコトは浮かぶのだが、そんなくだらない質問を投げかけて、コーラからキリンレモンに切り替わったとはいえ、得られた「炭酸」の喜びすら取り消されてしまわれてはこの千載一遇のチャンスを棒に振ってしまう訳で、

「わーい、キリンレモンだぁー!」

と無邪気に喜んで(いや、正確には喜び度合いはコーラじゃないから6割程度)ヌルめの炭酸をグビグビと飲みつつ、
「さっき台所の下のところに何本かキリンレモン見えたぞ。誰もいない時に飲んじゃおー」
と横目で覗ってた。

未だに思い返してみても、

「コーラはダメだけどキリンレモンは大丈夫」

と言ったキリンレモン信仰はかなりのナゾなんだが、オレの生まれた宮城では中々土地に溶け込んでたようで、同様の被害にあい、意思とは反してキリンレモンを出される少年少女は多数いた。

そうそう、台所の床下収納にあったキリンレモン、誰もいない夏休みのある時に
「しめしめ、ざまぁ、キリンレモン飲んじゃうもんねー」
と開けてみると、買い置きのミソと醤油くらいしかなく、テキも去るものオフクロはしっかりと移動しておりました…。

ドミニカンスカッシュとボク

炭酸じゃなくパフェなのは許してね

色々なヘンなモノが思春期に出回った第二次ベビーブーマーのオレにとって、特にハデな色の飲み物や変わったジュースには目がない。
というか、大好物だ。
それに加え、ノスタルジーを感じるモノも好きだったりするので、岩手県花巻市のランドマーク「マルカンデパート」には度々足を運んでいる。
マルカンデパートは屋上に展望レストランがあるスタイルで、昭和のデパートレストランがそのまんま残っている。
エレベーターを降りると両側にズラッと並ぶ食品サンプルが腹ペコ達を大いに刺激、その時代を生きてこなかった人達でも興奮を覚えるに違いない。
(マルカンデパートについては別な機会に書きたいと思っている)

その魅力的なショーケースの向かって右側には、食品サンプルの真骨頂とも言えるパフェやプリンアラモード、クリームソーダなんかが所狭しと並んでて、
その一角に

「ドミニカンスカッシュ」

なるものが鎮座する。

ん?んんっ??

と2度見してしまうこのネーミングセンス、失礼だがトウホグの片田舎・花巻(失礼)でカリブ海のドミニカ共和国の名前を、それもスカッシュとなって聞くとは思いもしなかった。

ドミニカンスカッシュの色が国旗と関係してるのかとググってみても、トリコロールカラーのその国旗とスカッシュの色は関係ない様子。
もうこんなモノを見せられては、ヘンなモノ大好きっ子としては注文しないわけにはいかないだろう。

味は見た目のとおりと言えばその通り…

ぶっちゃけサンプルどおりではあるのだけど、この魅惑的なピンクは、
「まぁよ、まず飲めよな」
と強く自己主張。
味に関してはここで明かすほうがよいのか、それとも是非とも足を運んで飲んでみてくれ、と言ったほうが良いのか難しいところではあるけれど、この魅力的な名前と派手派手しい色は、話のネタには最高である、と言っておこう。

ちなみにその数日後、行きつけのショットバーで岩手出身のバーテンダーの方にこの話をしたところ、伝えた味と色を完全再現してくれ、2杯目のドミニカンスカッシュを我が街国分町で思いがけず飲むことが出来ました。
皆様も岩手に行くことがあったら、是非ともドミニカンスカッシュを。

名札とプルタブ缶ジュース


昭和の男子小学生はとりわけバカな行動をよくしてた。
カエルの肛門にストローを刺して膨らましたと思えばまだそれは良い方で、ストローではなく爆竹を刺して火を付ける等かなりはっちゃけており、ネジは確実にぶっ飛んでいた。
ジュースも氷を入れたコップに注いで飲めば美味しいものを、誰が考えたかわからないがバカな飲み方を発明し、それを弟や年下、友達へとご丁寧にも伝承してた。

かく言うオレもそのバカを伝授されたひとりで、冬のある日に同級生のトオルクンからだった。
ふたりで自販機で缶コーラを購入し、さて開けようか、という時に、トオルクンに、
「ねぇ、名札外して。」
「なにするの?」
「いいから見ててよ」
と、名札の安全ピンをプルタブ中央の丸いヘソにブスリと刺した。
トオルクンはその穴を親指で塞いで強く何回も振り、大きく開けた口に噴射!
ジュワワワワーッと勢いよく出たコーラは喉を直撃し、多少溢れてはいるがお構いなしにゴクゴクと飲む!

なんてバカバカしく勿体ない飲み方!

だけど、面白そー!

と、オレも真似してダラダラとコーラを溢しながら飲むとなんとも楽しい!

「のどちんこにぶつけるんだぜ!」

と更にバカバカしい指示を受けて、何度も振って飲み続けるも、みなさんご想像の通り炭酸の勢いは徐々に無くなり、しまいには気の抜けきった黒い砂糖水を飲む羽目に。
なんとも勿体ない、食べ物を無駄にしたバチあたりな遊びなのだが、こんな経験も悪くない。

その後、オレは友達のコンノクンにこのワザ?を伝授し、無事伝承修了。

オレも大人になり、ムスメふたりに伝授しようとしたが、小学校低学年のムスメに、

「なにそれ、勿体ない。もっと大事に飲みたい。」

と、とても当たり前の説教をされ、平成生まれへの伝承失敗。

ま、せっかくだし、大人だからビールででもやってみっかな。

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