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変態が育ててくれる
昨年8月に、東京の気温が35度を上回った日に
私はトレーニングのために、ひとり丹沢山に登った。
北アルプスの上級コースを3日かけて縦走する
計画があったので、トレーニングは必須だった。
その日は、高湿高温だったので
何もしなくても、汗が出してくるほどだった。
そんな中、「バカ尾根」と名のつくほど
キツイルートを登っていく。
あまり汗をかかない私ですら
汗が噴き出してくる。
夏の暑い時期以外は
上級コースを目指す登山者で溢れているが
真夏は酷暑に加えてヒルやアブがいるので
登山者は、ほとんどいなかった。
私が、そこそこピッチを上げて歩いているところに
2人の男性が、更に勢いあるスピードで
私を抜かしていった。
この灼熱で凄すぎる!圧巻だった。
できるかぎりスピードを落とさずに
自分に頑張れ!と励ました。
それにしても、標高1300mを一気に登るのは
ほんとうに過酷だった。
自分の汗がこんなに大敵になるとは
初めてのことだった。
山頂は、いつもは人で溢れているのに
今日は、さきほど私を追い越していった2人の男性と
他にストイックそうな男性2人しかいなかった。
こんな灼熱地獄の時期に
ここまでくるのはドMだけだね。
かなりの変態だよ!と彼らが言う。
そんなわけで、意気投合して
下山をご一緒させて頂いた。
色々を話を聞いていくと
ひとりの男性は年間に100回も山に登っているという。
しかも、普通とは思えないほど
一日中眠らずにひたすら山を歩き続ける
こともあるという。
なるほど、これが変態か~!と納得した。
そんな彼に、私の想定範囲を大きく超えた
ストイックな山行に誘われた。
私がいける範囲は、ここまで!と思っていたのだが
彼は、私なら大丈夫!行ける!という。
行けるかどうかよりも、それができたらスゴイことだ!と
私の頭の中で夢が広がった。
これができたら、諦めてきた山にもチャレンジできるかもしれない。
きっと私なら行ける!というイメージが湧いてきた。
そして、ゆとりをもって登頂することができた!
それも、標準コースタイムを大幅に上げて。
こんなキツイコースを足取り軽く歩けるのはすごいし
下山で、膝がボロボロになる人が多い中
なにも支障がないのは素晴らしいと称賛してくれた。
登山でもなんでもそうだけど
自分がさらにステップアップしたいのなら
今の常識をアップデートしていくことが大事。
いつもいる仲間は心地よくて楽だし、そこにいたいと思うが、
上に行く方法を教えてくれない。
さらに上にいる人たちと一緒に行動しているだけで
自分のパラダイムを破る体験を届けてくれる。
いつも一緒にいる人たちだけではなく
更に上にいる人たちと行動することも大切
だということを教えてくれた。
自分のパラダイムを破っていくには
いつもと違う人たちと関わるだけで
これまでの常識を変えてくれる。