未来が見えない不安の中の一筋の光
一般社団法人あいもにー本部長の谷本です。
こぼれおちる個性を持つ1人の親として、心のうちを綴りたいと思います。
■よりによってこの時期に中3
わたしの愛する次女は、中学3年生です。
しかもコロナ禍が重なった時期に…
コロナ禍でなくても、中学3年生のお子さんを持つ親御さんは、思春期という少々やっかいな通過点を迎え、さらに進路の悩みなどを抱える時期。
そこへきてこのコロナ禍です。
・受験の出題範囲はどうなるのか?
・冬になり、もしも第二波がやってきたら、受験は通常通り行われるのか?
・親である自分自身の仕事はどうなるのだろう?
などなど、予想もつかない未来への不安を抱えている方も多いのかと思います。
きっと、子どもたちもそうでしょう。
しかし、わたしの愛する次女は、自粛期間中に自宅で、それはそれは穏やかに過ごしておりました。大好きなアニメの漫画を大人買いしたり「キャンペーンだ!」「新しいグッズが出た!」と、それはそれは忙しそうに(笑)
ゲームのSwitchでは「あつまれ!どうぶつの森」を姉と共に1本ずつ購入し、お互いにオンラインで協力し合って、自分の村をつくって騒いでおりました。
わたしはそんな姿を見ていると、微笑ましさと同時に《罪悪感》のような気持ちを感じることがあります。その《罪悪感》とは親として子どもに《期待》をしてあげられていないのでは?ということです。
多くの親御さんは、子どもが自粛期間中に勉強するわけでもなく、ただただ好きなことをして過ごす姿を見たら、「勉強しなさい!」と言ってしまうと思います。
それは、親の子どもに対する理想からくる言葉。
・立派な大人になってほしい
・自分でお金を稼げるようになってほしい
・ちゃんとした大人になってほしい
などなど。
わたしには、それがない…。
■先天性の心疾患でうまれた次女
次女は先天性の心疾患で体の成長が遅く、そして2月生まれということも重なり、学年で1番のおチビさんで、いつも先生やお友達に面倒を見てもらう存在。
《人と比べて勝るという期待》なんて、生まれたときから持つこともなく、生きてるだけで丸儲けの境地。
だから、本当に当たり前のことができただけで、それはそれは大喜びする心境の中育ててきたので《期待》が、ゼロに近い。
唯一、わたしが愛する次女に《期待》をするならば「大人になっても素直な笑顔で笑えますように」ということだけ。
だから、自粛期間中に次女の楽しそうな笑顔を見られることは、実はわたしの願いが叶っているという、ありがたいことだった。
■安心と不安を行ったり来たりするから見える光
とは言え、進学を控え、真剣に将来を考えなくてはいけない!という視点でみたら、急に不安にもなります。期待はないけれど、不安はある。人の心というものは忙しい。
この次女というこぼれおちる個性を「どのように活かし生きていくのか?」という未来がまったく見えてこない。
ですが、この自粛期間中に、ゲームとアニメ以外に、ちょっとだけ次女の新しい良さを垣間見ることができました。
それは、中学生の間で絶大な人気のTikTokで流行っているらしい動画編集。
わたしは、この社団の他に、株式会社の役員をしていて、その会社では動画制作をしています。音大で映像を学ぶ長女は、その会社の仕事の戦力として手伝ってもらえるレベルになっており、未来がなんとなく描けています。
そこへきて、次女までもが、自らの興味関心の芽を伸ばし、わたしや長女に聞くことなく、動画編集アプリをダウンロードして、自分で作りたい動画イメージに合わせて、イラストを用意し、音楽を選定し、音に合わせて映像効果まで巧みに入れる編集を夢中でしていたのです。
この映像をみて、わたしははじめて《期待》をしてみたくなりました。それは《わたしの思う大人像への期待》ではなく、大人になっても素直な笑顔で笑えますようにという《願いへ繋がる期待》です。
今までは、発達の遅さからか、特徴的な個性がみえてこなかった次女。
今回、中3という進路を考える時期に重なり、コロナ禍という先行きの見えない中で不安が重なった時期ではありましたが、自粛期間の中で初めてみることができた次女の《興味関心》という1つの光。
その光の先には、わたしたち大人の想像を超える可能性があると信じています。
そして、わたしが一般社団法人あいもにーに関わる理由はただ1つ。
多くのこぼれおちる個性を持つ子どもたちの中に眠る、興味関心という光の可能性を導く大人の知恵を、みなさまと共に紡いでいきたい!そんなふうに思っています。
■参考
本文の中で幾度となく出てきた《期待》について、わたしは大きく2つに分かれると考えています。この点については機会があればまとめていきたいと思います。