「へぎ」木脈のかたち 〜木漆工芸作家の工藤茂喜さんを訪ねて〜
木漆工芸作家の工藤茂喜さんに器を作ってもらい、工房で作る工程を見学させて頂いたときの様子です。
寸分の狂いもなく同じものを何個も何百個も作り出す職人技がある一方で、世界に二つと同じものがないものを作り出す技があります。
機械による大量生産が可能な今、前者の職人技よりも、世界に二つと同じものがない、唯一無二、そんなものに魅力を感じます。
今回の器はそんな器です。ぜひ多くの方に知ってもらいたいと思っています。
上の写真は「へぎ」と言う技法で作られた器です。
木材を割り裂いたものに漆を塗ってあります。古くから使われてきた技法で、今回お願いした器がこれになります。
実際に木材を割り裂いている動画があるので、観るとわかりやすいと思います。(1分程度の動画)
木にくさびを打ち込み、道管に沿って割っていきます。ここに漆を塗ったものが下の写真のものです。
のこぎりのような道具を使って人が切りたい方向に切るのではなくて、木の塊を自然の道管に沿って割っていくので、ひとつひとつが全く違う表情を持っています。そして、割り裂いているので、重ねるとぴったりと元の塊に戻ります。
うちの出来る嫁もやらせて頂いています。
木は木曽の檜。ここから自然の木の割れ方を生かしながら、器が出来上がります。
独自の道具で切り込みを入れる。
くさびを入れて木脈にそって割っていきます。
木を導管にそって割ると言うと、自然任せでただ割ったものをそのままと言う感じですが、実際はそんなに簡単では無く、節目をどうよけようか、どういう幅で、角度でと、木と対話しながら進めていく感じです。
塊が写真のようになります。かんなで表面をサッとならし漆を塗っていきます。
「かため」と言う工程。生漆を希釈して木の奥まで漆を行き渡らせます。
全体を行き渡らせたら、風呂とよばれる入れ物に入れて乾かします。
乾かすと言っても乾燥させるのではなく、化学反応で硬化させると言うことになります。
風呂の中は漆が固まるよう適度な湿度と温度を保ちます。
乾いたら漆を塗り重ねていきます。
写真は生漆を塗り重ねた後に、木地呂漆を塗っているところです。
この木地呂漆を塗るとぐっとツヤと奥行きが出てきます。
半分は木地呂塗り、残りの半分は銀箔を貼った仕上げにしていただきました。
下地に黒呂色漆を塗ってから、銀箔を貼ります。
銀箔の中でも黒箔という箔で、渋みがあります。
カッコイイです。
出来上がり。
例えばこんな風に盛り付けています。雪が散らつく中、籠が倒れ、冬がこぼれ出てきたような情景を表現しています。
動画にしました↓ 動画の最後のおまけ映像も観てね。結構変人的で面白い会話しています。
こちらも工藤茂喜さんです。↓
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