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【読書記録】組織の壁を越える「バウンダリー・スパニング」6つの実践

▼読了図書

組織の壁を越える「バウンダリー・スパニング」6つの実践

▼内容概要&感想

VUCAの時代、リーダーには異なる情報や人材をうまく統合することで無限の可能性や優れた効果を生み出すことが求められる。
そのためには、組織の壁を越えて、相互協力やつながりを重視するアプローチが必要である、というのが本書の前提となっています。

"企業や政府、組織、コミュニティが現状の課題を解決し、新たな機会を実現するためには、リーダーは集団の境界やアイデンティティを越えて考え、行動しなければならない”、こうしたリーダーの在り方を「バウンダリースパニング・リーダーシップ(越境人材リーダーシップ)」と定義しています。

目から鱗だったのは、組織と組織を繋ぎ合わせ、シナジーを最大化するには、まず境界を明確にすることから始めるべきということ。人間は自らの役割やアイデンティティが不明瞭だと力を発揮できず、逆に明確だと安心して活動できるそうです。リーダーはこの境界を"消す"のではなく、"うまくマネジメントする"ことが仕事なわけですね。

とかくシナジーとか、コラボレーションとかいうと、その境界を取り払うことに意識が向きますが、それぞれの専門性を尊重し、違いを明確にすることが重要だというのは新たな学びでした。

集団同士の境界だからこそ、多元的な専門性が存在しており、それをうまく活用できれば、新鮮なアイディアやコラボレーションの可能性を生むことができる。とてもわくわくするリーダーシップの在り方です。

◆「バウンダリー・スパニングリーダーシップ」に求められる"境界のマネジメント" 6つの実践

本著では、バウンダリースパニング・リーダーシップが行うべき6つの行動を下記のようにまとめています。

バッファリング (和らげること)
境界で分けられた、それぞれの集団のアイデンティティを保証し、安全・安心を確保する。

リフレクティング (映し出すこと)
集団のニーズ、価値観、信条、嗜好等を理解し、他の集団に映し出して見せること。それにより集団間の相違点と共通点を明らかにする。

コネクティング (繋げること)
集団間の共通点にフォーカスし、信頼を醸成、境界をまたいだ協力関係を構築する。

モビライジング (結集させること)
集団を越えた共通の目標やアイデンティティを作り、境界を再構成、集団同士のコミュニティを作る。

ウィービング (織り合わせること)
境界を織り合わせ、集団同士のプラスの相互依存を高める。

トランスフォーミング (変容させること)
新しい方向へ向かうため、従来の境界をなくし、新たな集団へと変容させる。

集団間のシナジーが叫ばれて久しいですが、それぞれの心情や成功・失敗体験に寄り添い、丁寧なステップを実践していくことが、新たなリーダーに求められる行動なのだなと思いました。

◆越境人材が必要な課題を特定するステップ
上記の6つの実践をさらに具体的なステップで表すと以下の通り。

STEP1)
個人や組織を成功に導くために本当に重要なものは何か、3~5つ書き出す

STEP2)
書き出した課題の中で、自分のチームや部門、地域の中だけでリーダーシップを発揮しても解決できない課題を1~2つ選びだす

STEP3)
「いかに~するか」という表現で、課題を言語化する

STEP4)
「これまでどのように対応していきた?(how)」「その課題は何(what)」「なぜこれが課題?(why)」「この課題が解決できたらどんな新しい可能性が生まれる?(if)」を整理する

STEP5)
バウンダリースパナ―の6つの実践で、課題に取り組む

クリティカルシンキングのステップにもよく似ているなと思いましたが、言語化して整理すること、「なぜ今?」「なぜこれ?」「なぜ自分?」といった本質的な問いに答えながら越境にトライすることが、重要なんだと改めて学びました。

▼グッときたフレーズ

・地図にない世界を行く

・フロンティアは新しい可能性が生まれる場所である。誰も到達したことがない、最も先進的・画期的な思考が存在する場所である。そこでは「差異化」と「統合化」という人間のふたつの大きな欲求がまったく新しい交わり方を見せる。

『組織の壁を越える「バウンダリー・スパニング」6つの実践』

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