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コラム#3 ホーチミンの道端で現地のおじちゃんと甘すぎるベトナムコーヒーを飲んだ時の記憶
オリーブオイルで焼いたニンニクの香りをかぐと
南イタリアを旅した時のにんにくたっぷりのパスタを思い出したり。
山形の芋煮を食べればほっとしたり。
西京焼きを食べれば関西人のルームメイトを思いだしたり。
記憶と味ってすごく強く結びついていると思います。
強烈な甘さのベトナムコーヒー
大久保駅のベトナム料理屋さんに行ったときの話です。
ランチの最後にベトナムコーヒーを頼む事になりました。
ベトナムのコーヒーは、深煎り豆をフランス式フィルターで抽出し、
大量の練乳を加えて飲む私たちの想像するコーヒーとはかなり異なった代物です。
「おまちどさまでした~!」
ベトナムの伝統衣装アオザイに身を包んだウェイトレスが、
ガラスのコップに綺麗な二層に分かれたベトナムコーヒーをだしてくれました。
「あ、、、、甘い。。。」
デザートとしても甘すぎるくらいの練乳の強烈な味と
その味をかき消すくらい濃いコーヒーの苦みが加わった独特な味は、
ベトナムにいたころの日々の記憶を私に思い出させました。
ベトナムでの思い出
ベトナムに住んでいたのは、約7年ほど前、インターン生として働いていた時のことです。
ホームステイ先のお家は、ホーチミン市の中心部から少し離れた場所にあって、昔ながらの地元の小さなお店がにぎわっているような素朴な街でした。
家のすぐ前には、コーヒーショップ
(といっても、簡易的な屋台と、足の低いプラスチック製の赤や黄色のカラフルな椅子が道路脇に雑多に置いてあるような場所)があり、
朝の6時半ごろになると、ベトナム人のおじちゃん達が輪になってそこに座り、みんなでベトナムコーヒーをすすりながら、ひたすらだらだらしている場所でした。
ある日、朝いつも食べていたバインミー屋さん(フランスパンに野菜が挟まっている軽食)が閉まっていた時、ついにそのコーヒー屋さんを訪れることにしたのです。
路上のCOFFEE SHOP
低いプラスチック製の椅子に腰をかけると
コーヒー屋のおばちゃんはちょっと怪訝そうに私の顔を見ながら、そっとメニューを渡してくれました。
ベトナム語が読めなかった私は、目の前のおじちゃん達が飲んでいるコーヒーを指さすと、
おばちゃんは「OKOK」と言いながらキッチン部分に入っていきました。
数分後、ガラスのコップに綺麗な2層に分かれたベトナムコーヒーを運んできてくれました。
それがベトナムコーヒーとの初めての出会いです。
一口すすると、あまりの甘さと濃さに朝の胃が悲鳴を上げましたが、
おじちゃん達がそうしているように、ゆっくりと啜りながら、コーヒーを飲みました。
・
少し後になって、ベトナム人はチームや家族をとても大切にする傾向にあるという新聞記事を読んだとき、
朝のコーヒーを囲みながらおしゃべりをするおじちゃん達も、
一見ただだらだらしているように見えて、本当は仲間を大切にする意識の表れなのかも?と思い至りました。
きっと、そうなのだと思います。
そのころベトナムでは、若者に人気の出そうなおしゃれなサードウェーブコーヒー店が次々とOpenしていて、
その町の中心部にも、スタバにそっくりのWIFI完備のコーヒー屋が新しくできたりしていました。
そんな中で、こういうベトナムらしい街角のコーヒーは、仲間との時間を大切にするおじちゃんの文化だし、何年先も残ってほしい!と勝手に思ったりしました。
大久保のレストランで、本格的な味のベトナムコーヒーを啜ったとき、
あの苦くて甘い味と一緒に、その時のちょっと切ないような記憶や一連の出来事がよみがえったのでした。
・
こんな風に、その時の記憶と味が結びついて、
遠く離れた場所や、何年も前のことなのに、まるで昨日のことかのように感じさせてくれるのも、
食の不思議な力だなあと思います。。
みなさんもそんな「記憶の中の味」ありますか?
ベトナムコーヒーの(自宅で出来る)入れ方
ポイント:濃いめのコーヒーに甘い練乳を入れることがポイントです。コーヒー豆は、深煎り・中挽きのものがおすすめです。より本格的な味わいを再現する場合は、ロブスタ種の豆を使用しましょう。通常のドリップをする場合でも、なるべくドリップに時間をかけるとそれっぽく仕上がります。本格的に楽しみたい方は、金属でできたベトナムコーヒー専用のフィルターを用意しましょう。
用意するもの
コーヒー豆 :14g
お湯 :120cc
練乳 :20g
カフェ・フィンまたは通常のドリッパー
耐熱性のグラスやカップ
作り方
■通常のドリッパーで作る方法
グラスに練乳を入れる
通常よりもお湯を細くゆっくり注ぎ、濃いめにドリップする
グラスにコーヒーを注げば完成♪
お湯を細く注ぎながら、いつもよりゆっくりと抽出するようにしましょう!
■カフェ・フィンで作る方法
フィルターの中ぶたを開け、コーヒー豆を入れて中ぶたを閉める
グラスに練乳を入れ、グラスの上にフィルターをセットする
中ぶたの上からお湯を少量注ぎ、30秒程度置いてコーヒー豆を蒸らす
残りのお湯を注いで上ぶたを閉め、コーヒーが全て抽出されるのを待つ(10分ほどかかる場合もある)
フィルターを取り外して完成!
中ぶたの締め加減を強く締めるほどより濃いコーヒーになりますので、お好みで調整してください。アイスで作る場合は、上記の要領でホットで作って練乳とよく混ぜ合わせた後に、氷の入ったグラスに移して一気に冷やしましょう。(練乳が冷えて固まりになってしまうので、入れる前によく混ぜるのがポイントです)
とても濃いので、焼酎のようにちびちびと飲むのが正解です。ぜひ試してみてください!