乳がん経験のノート 術後
2016年10月
無事に手術が終わり、
体調も良く、排液も順調に減ってきたので、早く帰って娘に会いたいなぁと思い
丁度土日だったので、思い切って先生に『早く家に帰りたいです』と伝えたら、特に異常もなかったので『じゃ来週見せに来て下さい』と言ってくれて、
通常より少し早めにドレーンを外してもらい、4日間で退院しました。
右胸、中心真上のところに12mmのがんと、その周り2cmほどを部分切除。
合わせて傷口は6cm程のくぼみでした。
そして痛みを感じていた脇のリンパ節のところは、やはり転移していました。
リンパ節13個のうち、1つに転移、リンパ節郭清の手術もしていました。
予定よりも早く家に戻って来られて、私は娘の顔を見てホッとしました。
家族でごはんを食べたり、一緒に寝たり、何か面白い話をする訳でもなく、一緒にいるだけで
『なんて幸せなんだろう』と
がんになって初めて、家族が居てくれている有難み
その存在の有難み。
そして私のことを大切に思い、こんなにもみんなに愛されているという有難み
身に沁みました。
当たり前だと思っていたことは、当たり前じゃなかった
『私こんなに幸せだったんだなぁ』って
それまで、ないものばかりに目がいってしまって、
あれもない、これもない、あれが欲しい、これが欲しい、まだ足りない。。。
そんなことばかりに目を向けてしまっていました。
久しぶりに家に帰ってきた時、初めて見えないけどあるものに気づき、
すべて開放されたように、肩がスッと軽くなりました。
入院中、夫は仕事が忙しいので、実家の母に来て貰い、娘の面倒をみて貰いました。
田舎暮らしの母は、電車の乗り方すらよくわからないのに、私の為に頑張って都会に来て、年に何回かしか会わなかった孫の面倒をずっと見て、慣れない環境で慣れないことばかりで本当に大変な思いだったと思います。
夫も母も、もちろん娘も、
実家で心配しながらも一人で頑張っている父も
みんな私の為に一団結して、いろんな面で凄く凄く頑張っていたと思います。
家族には、とても感謝しています。
退院して一週間後
病院へ行きました。
まず触診し、傷口のあたりが少しぶよぶよしていたので、先生が『ちょっと溜まってるね。吸いましょう!』と言って、
見たこともないくらい大きな注射器を取り出し、それを見た私は驚きを隠せず、『え?!(それで吸うの?)。。。』と
強張りながらも平常心を装って、『大丈夫です。』と言って、強がって構えていましたが、心の中では恐怖で震えてました。
そして、いざその大きな注射器の針が胸の傷口に刺さった瞬間、
私は気を失いました。笑
太い針が胸に刺さるのをまじまじと見ていたからか、恐怖度がMAXに達し、目の前が真っ白になり何も見えなくなりました。
でも耳は聞こえていました。
なんとなくですが、針が刺さったまま横に倒れる私を先生方は慌てて支えに来て、そのままベッドへ運ばれた様子でした。
徐々に視界が鮮明になり、座っていた私に針が刺ささってから、次に見えた景色はベッドで横になり、涙を流しながら天井を見ていました。
気を利かして看護師さんがずっと私の横にいてくれて、楽しい会話をしてくれていたのを覚えています。
人間、口では誤魔化せても、体は嘘つけないなと身をもって体験し
『まだまだ私の心は脆いんだな』と痛感しました。