ティファニーで朝食を / 昼下がりの情事
ティファニーで朝食を (1961)
何度か見たことあるのに、ストーリーが思い出せない。
白黒かカラーかも。他の映画とごちゃごちゃになってしまう。
この作品もそんな映画の一つでした。
ムーンリバーも、いつのまにかオーバーザレインボーになっていたり。
アパートのシーンは、アパートのかぎ貸しますと混同していたり。
雨の中で一人猫を抱くシーンが、ラストだと思っていたり。
記憶なんてあいまいで、(とくに私のは)あまり役に立たない。
あの出っ歯の日本人が、オニヨシさんかユニヨシさんかももうわからない。
でも、
ねこを'Cats'と呼ぶ声や、'Tiffany'を口にするときの気取った感じ。
アパートの非常階段からするりと部屋に入ってくる姿。
図書館でサングラスをかけたまま本を読む場面。
こういう断片はちゃんと記憶に残っている。
そして、
新しい発見もたくさんあった。
ホリーが「先生」とあった時の毅然とした態度。
警察に連行された時、取材陣にポーズを決めていたところ。
ポールと親密になっていくのを避けるようにはぐらかす会話。
一番彼を傷つけることをいってしまった時の表情。
引越ししたてのような部屋に住んで、着飾って、パーティーに明け暮れて、
大金持ちとの結婚が決まったら、お料理も編物もして、部屋には花を飾っておしゃれはそっちのけ。
本当に大切なものを見落としていると、自分で自分を籠に入れてしまう。
トルーマン・カポーティーの原作もぜひ読んでみたい。
昼下がりの情事 (1957)
オードリー・ヘップバーン主演の映画は、ほとんど見たと思っていたけど、
なんとなくタイトルからなかなか見る気になれなかった作品でした。
もっとどろどろした内容を想像していたのに、とってもキュートでまさに「ロマンチックコメディ」な映画。
パリが舞台で、コンセルバトワールでチェロを学ぶアリアーヌ。
ほっそりとした腕でチェロを運び、リッツへ向かう楚々した姿が可憐で印象的です。
いつもふらふらよそ見ばかりしているフラナガン氏の魅力はよくわからないけど、
あまりにお金があってすべてがうまく行き過ぎている人特有の、「本当の愛」、を知らないあやうさにアリアーヌは惹かれたのかもしれない。
私立探偵のお父さんの影響で、夫婦やお金持ちの裏と表も見てきたアリアーヌは、恋愛の達人、あと腐れない関係がいい、というのは、ぜんぜんかっこよくないことを知っているから、素直に嘘が言えたのかもしれません。
いつも楽団を従えて「魅力のワルツ」を奏でさせて、アリアーヌの残したメッセージを一晩中聞いて焦燥しているフラナガン氏は、コメディそのものでありながら、彼女と出会いはじめて人間らしい姿をみせます。
彼女がほんとうに恋人の数を張り合ったりしている女性だったたら、こんなに困惑せず魅力も感じないだろうけど、純粋に彼を思い、彼との時間を楽しむために出た「うそ」だからこそ、彼の心に大きく響いたように感じます。
ラストのシーンは、ほんとうにキュンとさせられます。