「曖昧」が美しいから、恋をする
恋の結末はいつも曖昧だ。
相手に届かない、届ける勇気もない片想い、
互いに好きであっても、共に生きることが叶わない最期、
切り出された別れの解釈に苦しむが、
相手の想いを未だに読みとれない焦れったさ、
その全てが曖昧だ。
曖昧に終わった恋愛は、一生心に残るから、忘れられない恋となる。
深く信じた永遠があって、でも簡単に消えてしまうほど
脆くて儚かった。
だからこそ、過去は美化され、美しい記憶のまま心に刻まれていく。
それはきっと結末が存在しなかった「大恋愛」で、
そこに永遠があったなら、思い出すことさえもできないから。
存在しない結末を抱えた心は、いつまでもタラレバを繰り返す。
繰り返されるタラレバは無念な気持ちへと変わり、
そんな傷心を「失恋」と呼ぶ。
失恋は、片想いよりも、両想いよりも、結ばれた恋よりも美しい。
白黒の色彩を持たない、曖昧さがあり、
誰もがずっと、一生、答えを探し続ける恋だから。
つまり、その曖昧さが美しいせいで、人は恋をするのだ。