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94時間

4月の残業時間が、過労死ラインを優に超え、
新卒社会人初っ端から、「私の仕事はブラックです」という看板を打ち立ててしまった。

私はこれを悲観するでもなく、美化するでもなく、
ただ「でしょうね」と肯定的に受け止める。

残業しないと安心できないから、好きで残業しているし、無給の土日出勤も、損をしてると思ったことがない。

自分がこれを話すことで、この仕事のイメージは下がるかもしれないけど、
下げたいと思っているわけではないことは先に伝えておく。

新任だから、できなくて当たり前だよ
最初からなんてみんなできないよ

と言って励ましてもらえるのは、ありがたく、とても温かいと思う一方で、
やっぱり事実として「できてない」ことをまざまざと実感させられるようで、私としてはとても辛い。

「新任だから」という言い訳を使えるのはこの1年間だけの特権だとすると、それは大いに使えば得なわけで、
自分自身を納得するための道具にすればいいだけの話だけれど、
私はやっぱり好きになれなくて、早くこの言い訳が消滅する日がやってくればいいと自棄になる。

スキルがない理由がこの「最初の1年間」という時間だけの話なら、そんなの能力と努力ででどうにでもなるんじゃないかと思っている。
沢山働いて、沢山吸収して、沢山勉強すれば、いくらでもこの1年間を縮められるんじゃないかって思う。

早く周りに追いつきたくて、「新任」というフィルターなしに比べたくて、とにかくたくさん、とにかく色々やってみたい。それが今の私だ。

だけど、周りは悲しいくらいにあたたかくて、
早く帰るんだよ
そんなに頑張らなくていいよ
できなくて当然なんだから
って許してくれる。

それの何が間違ってるわけでもないのに、
私の気持ちは全然軽くならなくて、
むしろその短い時間で納得するところまで到達させられない自分の未熟さに気が滅入ってしまう。

でも、やっぱり人には性質があって、
なんとなく、この人の話をもっと聞きたいと思わせられる存在がいる。

あいにく、接点は作らないと生まれないような関係性なので、4月からここまで多く話す機会を作ることができなかった。

でもその機会は思ったよりも早く訪れる。
その人は私にこう言った。

やりたいだけ、やったらいいよ。

私が今1番言って欲しかった言葉だったんだと思う。
その人はは泣かせるつもりなんてなかったんだけどってはにかんで、笑っていた。

キラキラしてるよって少し大げさに言われて恥ずかしかったけど、
自分の仕事に対する思いや向き合い方を肯定してくれる人の存在に、救われて、助けられて、
やっとちゃんと働き方を考えられるようになった。

その人のアドバイスはびっくりするくらいスッと腑に落ちて、そうしてみようかなと思わせてくれた。

94時間の残業のおかげで、この機会が訪れたのだと思うし、この人からこの言葉を聞けたんだと思う。

これからは、もう少し、この仕事と上手く付き合っていけるかもしれない。

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