Bリーグ(2022-2023)開幕直前の自分的な展望(その1。プロローグ)。
プロローグ(いわゆる「新B1構想」と「B1の球団数の多さ」)。
「2026-2027」、「新B1構想」(Bプレミア構想)始動。
「新B1構想」まで、気が付けば「あと4年」です。
「新B1構想」のことについては、いずれ綴る機会があるだろうなあと想像しつつですけど(とはいえ、自分もまだよくわかっていないことが多かったりしますが…。汗)、今季のBリーグは、「あと4年」を意識しながら見る感じになるのだろうなあと、一バスケファンとしては感じています。
あっ、いまのうちに述べておきますけど、今回の展望記事では「B2」は扱いません、専ら「B1」に絞って綴らせて頂きます。このことを踏まえて読み進めて頂きたく思います。
以前も綴らせて頂いたかなと記憶しますけど、「『新B1構想』参加のための3条件」、正直「とてもハードルが高い、はっきり言えば『絵に描いた餅』」と自分は感じています。
いまの「昇降格あり」は、「米国型スポーツ」であるバスケのスポーツ特性に馴染まないと自分は強く感じていますので、その意味で「新B1構想」自体は自分は共感ではあるのです。
ですけど、いやだからこそ、「ハードルをより現実的なラインまで下げた方がよいのでは?」と、自分は強く感じてます。
いま示させて頂いた図表を基にすると、下記の感じになります。
他にも、現在の「B2」でも、長崎、佐賀、西宮が「新アリーナ構想」を既に発表済みです。A千葉も、親会社が高い資金力を持っています。
ですけどここでは、現B1の「24球団」に絞って、「新B1」への参加が「現実的なライン」の球団を、下記にて示します。
恐らく群馬は、昨季の島根・広島のように、集客面でギアをグイっと上げる必要があるかなですけど、期待感を込めてここに入れました。北海道も売上高の向上の面ではギアを上げる必要があるかなですけど、これも入れてます。これで「13球団」です。
ただ裏を返せば、「観客動員3000人」「売上高10億円」にハードルを下げるとして、それでも「13球団」です。
リーグ側が、「新B1」の参加球団数をどれほどとイメージしているのかがいま一つ読めていない感じですけど、恐らくは「16球団程度?」と自分はイメージしています。「16球団」だと、天皇杯(オールジャパン)、あるいはプレーオフ(現行のCS)のことをも考えると、最も「おさまりがいい」ですし。
で、いまの「B1」。昨季が「22球団」で、今季は「24球団」です。
「球団数の多さ」。一人のスポーツファンとしては正直、違和感はあります。はっきり言えば「球団数が多すぎる感が」と。
「球団数の多さ」自体は、必ずしもマイナスではないです。
自分が住んでいる場所の近くに、バスケの球団がある。
「都市のマーケットサイズ」のことはあるので、全都道府県に1つずつというのは現実的には厳しい感がと自分は思いますけど(例えば島根は、「親会社の資金力」的にはマーケットサイズはあるけど、「都市の規模」の面でだとマーケットサイズは正直きつい。だからこそ昨季の躍進は、自分的には「とても衝撃的なこと」でしたし、特にCS第1SでのA東京との3試合、「完全に青に染まった会場」は、「ただただ感動」の想いでした。
それに、バスケの球団数が膨張できてるのは、これが例えば野球だと、選手の総年俸だけで「30億円程度」は必要になります。
ですけど、バスケの場合だと、B1レベルでの選手の総年俸は「4億円程度」(バスケの場合、選手の推定年俸さえわからないので、あくまでも「恐らく」の域を出ませんけど)で済むといわれています。
それに、野球でだとよくも悪くも「誰もが知ってる巨大企業」ありきでないとやっていけないですけど、バスケの場合、「おらが町の会社」でも運営・スポンサーに参加することができる。恐らくですけど、これも大きいように感じます。
(勿論、ある程度以上の規模の企業の力があるに越したことはないですけど、昨季の宇都宮の優勝は「バスケだからこその魅力」の一つといえるかもしれません。それと、「絶対的な親会社を持たない」宇都宮が、比江島という「現役最高レベルの選手」を何年にもわたって擁し続けていることも、「とても素敵なこと」と思うんですよね。)
ですけど、です。正直、昨季のB1を観ていて(これは特に、チーム状況が「とても苦しい状況」であった京都の試合を見る頻度が多かったことも影響かもですけど)、
と、正直強く感じたんですよね。例えば、昨季の12月に、「京都vs名古屋D」(京都のホーム)の試合を生観戦させて頂いたのですけど、御互いの「スタイルの完成度や相性」「個人能力のレベル」を考慮の必要はあるかなですけど、目の前の景色にあったのは
「ターンオーバー、ファストブレイクを次々と献上する京都の姿」
でした。勿論、名古屋Dを褒めることに尽きるのですけど、試合中に何度「天を仰ぐ」感覚になったことかの感じでしたから。
確かに、その通りです。実際、昨季の12月26日、宇都宮は島根に「70-95」と、「堅守のカルチャー」を誇る宇都宮らしくない「記録的惨敗」を喫しています。日本バスケ界のトップレベルの球団でも(しかも宇都宮は、最終的に優勝を叶えている)、惨敗することはあるのです(尤もこの試合は、宇都宮が「BIG3」[比江島、鵤、スコット]のうち「比江島、鵤」が欠場していたことを考慮の必要はありますけど)。
それに、NBAでも上位球団と下位球団の落差は大きいです。ただこれについては、NBAは「昇降格がない」訳で、下位球団のいくつかは「戦力値に照らせば、現実論としてまともにやっても勝負するのは厳しいから」と、ある種の割り切っての「再建モード」を明確にしている球団が実際にあります。
(今季でだと、「サンダー、ロケッツ、ジャズ」等がこれに該当。特にジャズは露骨で、中心選手であるゴベア、ミッチェルを放出して、この2人で合計で7人もの「1巡目指名権」へと変えてます。)
それと日本の場合、「再建モード」を明確にした球団は、野球をも含めても正直ほとんどありません。野球だと、「2016年の阪神」「2018年の千葉ロッテ」「今季(2022年)の中日、日本ハム」、自分の記憶にある範囲だと、これらが該当するかなです。
ですけど、日本の場合、「再建モード」を受け入れる姿勢(文化)は、まだまだ乏しいと正直感じてます。理由としては、シンプルに「『再建モードが不可避』という経験自体がない」ことが最大の理由かなですけど、それだけではないように映ってます。
「野球・バスケの統計技術の急激な発達」。
野球でいう「セイバーメトリクス」、バスケでいう「アドバンストスタッツ」がこれに該当しますけど、この存在の浸透って、例えば野球でだと、ここ3~5年ほどであるように思うんですよね(バスケについてはまだ数年はかかりそうかな、と映ってます)。
で、「コアな野球・バスケファン」は、この「統計技術の急激な発達」に対応しようとしている(と考えられる)。ですけど、特にスポーツ紙・スポーツ番組のベースでは、未だに「伝統的な指標」一辺倒のままである。
そこに、個々の選手評価の「ずれ」「乖離」が生じる。勿論、見た目のスタッツ(指標)だけでは測れないこともありますので(「統計技術だって、必ずしも万能ではない」ということ)、一概には言えない訳ですけど。
より厳密に述べると、「統計技術」と「試合を実際に見ての感覚的な判断」を総合して評価することになると思うんですよね。というのも、「データ上ではよいスタッツが出ていても、試合を見ての感覚論ではそうは感じない」というのは、どうしても少なからず起こり得ることですので。
特に、バスケでいうと「チームケミストリー」。これは「『統計技術』だけでは測れない、試合を見ての『視覚的判断』がどうしても重要になってくる」と映ります。
個々の能力は高くても、それが「足し算」のままで終わっている(バスケの場合、そこからさらに「+α」ができることが望ましいので)。例えば昨季の大阪はまさしくそうで、「負傷者に悩まされた」というエクスキューズはあるにせよ、シーズンが進むにつれて(特に年明け以降)「ニュービル個人軍」が顕著になってしまってました(はっきり言えば「走るバスケ」はどこへやらと)。
で、昨季の「下位4球団」のうち、今季でだと「京都」「三遠」の2球団が「再建モード」を明確にしています。「全面改革」という表現もできますけど(個人的には2球団共に、「全面改革」とポジティブに解釈したい)、それほどに「ほぼゼロベースで」ガラリと変化させる感じです。
京都も三遠も、球団社長が変わりました。特に京都は、親会社ごと変化しました。大物HCを招聘したこと、これによりチームスタッフも大幅に変化したことも、共通しています。
自分は、「京都」「三遠」が「全面改革」に踏み切ったことを、温かく見守りたいと思ってます。例えば京都は昨季は、「ハーパー個人軍」にならざるを得ない感じに陥っていましたから(しかもハーパーは本来は「利他的なメンタリティー」の持ち主ですので、なおさら切なさを感じてしまってたんですよね)。
その一方で、「志向するバスケスタイル」をどうするのか(及びスタイルの共有。つまり「同じ方向を向ける」こと)をできるだけ早く明確にすることが、とても重要であると考えますけど。
だけど、だからこそ、強く感じるのです。
現行の「昇降格あり」のシステムは、「とても激しく強い違和感」があると。
「ホップ、ステップ、ジャンプ」という言葉があるように、土台から構築し直すには、「3~5年スパン」で考える必要がある、しかも京都、三遠はまさしく「ホップ」の年になります。ですけど「昇降格あり」の現行制度に照らせば、展開次第では「降格の恐怖におびえるリスク」がありますので、「目先の勝利」のために「リアクション的なバスケ」に走るリスクがあるのです。それってどうなんだろうなあ…?と。
で、「現B1の球団数が多すぎる」と述べましたけど、これを顕著に感じるのが、昨季だと「『上位7球団』と『下位4球団』の落差が大きすぎる」ことに示されてますけど、今オフの移籍市場を踏まえて、
なんというか、昨季の「22球団」でも明らかに多かったのに、さらに2球団の増加で「24球団」になり、選手のレベルに照らした「適正サイズ」との乖離が、いよいよ隠し切れなくなった感がと。
その一方で、今オフの移籍市場では、「移籍先自体がなかなか決まらず、最終的にB2に活路を求めた」選手も何人もいました。
「宇都(富山→奈良)、田渡(三遠→熊本)、デイビス(秋田→青森)、ヒサタケ(三遠→青森)」、等々。あるいは「ハーパー(京都→越谷)、ハレルソン(SR渋谷→福島)」についても、移籍先がB2というのは正直とても驚きでした。
なんというか、ある種「歪」(いびつ)な感じが拭えないと感じるのは、自分だけでしょうか?と。現行のB1の適正サイズでだと「20球団、2地区制」が最も「すとんと落ちる」感じなんですよね。
さらに述べると、今季は「3地区制」が採用されますけど(ここ2年は「2地区制」であった。尤もBリーグ誕生当初は「3地区制」でしたけど)、
「『東地区』『西地区』と『中地区』の『チーム力の落差』」
(尤も中地区でも川崎はとてもチーム力が高いですけど)
これも自分は正直感じていて、その意味でも「歪」な感じを抱くんですよね。
ですけど、「球団数自体が多いこと」は、勿論、プラスの要素もある訳です。その理由はシンプルに「裾野を拡げ得る」こと。
それと、「バスケに携わりたい人間の受け皿の確保になる」、それ自体が「バスケ界により活力が生み出される」ことの一助になると。
今季に向けてのプレシーズンマッチ(PSM。野球でいう「オープン戦」)、自分は「2試合」を生観戦させて頂きました(「大阪vs西宮」「奈良vs大阪」)。
で、「奈良vs大阪」(9月18日日曜日。ロートアリーナ奈良)。
試合は「66-71、大阪の勝利」でしたけど、内容はむしろ奈良の方が良質でした(志向するバスケスタイル[速いバスケ、ラン&ガン]を全員が共有できていた。大阪が勝利できたのは、はっきり言えば「個人能力のゴリ押し」の結果で、開幕戦に向けて不安感が拭えない内容であった)。
ですけど、試合内容以上に自分が印象的であったのが、奈良の職員(スタッフ。これはインターン・ボランティアを含めてです)の「息づかい」「情熱」が伝わることです。
職員の姿勢・振る舞いから、「内から湧き出る情熱」が伝わる。
「汗をかく」感じが伝わるし、自分たちファン(ブースター)と「同じ目線」で向き合っているのが伝わる。
そう、ただ単純に「事務的な仕事」として臨んでいない。「真心」「使命感」を持って仕事に臨んでいることがとても伝わる。この姿勢に、一人のバスケファンとしてとても心を揺さぶられるのです。
携わる人間(職員・チアリーダー・学生スタッフ・ボランティア等)がいるから、自分たちファンはこうしてバスケを楽しめる。
駅員・車掌・運転士がいるから、鉄道に乗れるように。
店員がいるから、店で食事ができるように。
バスケを、スポーツを楽しめることは、決して「当たり前」なことではない。
そしてだからこそ、選手と共に、いやそれ以上に、「携わる人間」に対する最大級のリスペクト(尊敬)の想いを、と強く抱くのです。
では、(その2)で「全体展望」を、(その3)以降で「各地区ごとの展望」を、それぞれ綴らせて頂きます。
【バスケットボール#15A】