藍草

エッセイや日記。北海道の28歳。将来の夢は金持ちの飼っているスコティッシュフォールドです。

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マガジン

  • 四月日記

    思いついたままに書きつけた日記

  • エッセイ

    2016年くらいから2021年まで、ぽつぽつと書いていたエッセイをまとめました。胸を張ってエッセイだと言い切れる自信はありませんが、友達がご飯を食べながら変なことを言ってるよー、くらいのテンションで読んでもらえれば幸いです。拙いところもまとめて愛して欲しい僕のわがままで、加筆や修正したいところ、よくわからない部分もそのままです。極端な誤字脱字は修正して、レイアウトも軽く変更しました。

最近の記事

ぐちゃぐちゃなまま生きていくしかねえんだ

大学時代の友人が飛び降りて死んだ。 久々にサークルの友人たちで集まったあと、自宅に着いてすぐだった。 当時の留学生が日本に来ることになり、せっかくの機会だからみんなで会おうと彼が声をかけて、グループラインを作ってくれた。地元に残っている四人と留学生で焼肉を食べに行くことになった。 合流してコースを決める段になり、彼の食べたい牛タンは一番高いコースだったが、流石に値段が張りすぎるのでその一つ下の食べ放題に決めた。それでも嬉しそうにしていた。 一杯目はいつもと同じようにビールで

    • 手術

       明日は父親の手術の日である。  なんだか最近咳き込むことが多いので、年齢による大事を考えて病院を受診してみたところ、心臓に穴が空いているようだった。左心房と右心房の間にぽっかりと空いた穴。綺麗になった血液と、身体を循環して汚れてしまった血液が混ざり合ってしまうらしい。  より詳細な状態を把握するためにMRIを撮影したところ、やはり穴は空いており、しかしより重大な疾患も見つかって、そちらは肺気腫だった。煙草の吸いすぎによって肺が汚れてもう元には戻らない。循環器科の先生が九

      • 砂漠

         仕事で終電を逃し、もう少しで気が狂うな、という夜を半年ほど過ごしている。もしかするともう狂ってるかも知れないが、自分なりにはまだ耐え抜いて何とかやっていると思い込んでいる。  そんな夜には雪がしんしんと降っていたり、暗いのに蒸し暑かったり、今だと鈴虫の声が聞こえる。街路樹の草むらで鳴いているらしい。可愛い声でどこか切ない。秋は切ないものだから、鈴虫のせいではなくて、気温のせいの心持ちなのかもしれない。  鈴虫の向こうの大きな通りを、タクシーや納品のトラックやどこかに向かう乗

        • 抱負はサウナで南無阿弥陀仏

          2023年である。 仕事を終えて気がついたら年を越していた。無人の駅のホームで年を越すスリルを味わったが、なんとか家まで辿り着き、ギリギリのところで暖かい場所での迎春といったところだった。 毎年、抱負を書いておこうと思うのだけれど、思うだけで終わってしまい、いつも年末にやるせない気持ちになる。思い立ったが吉日という言葉通り、脳みそから行動へのストロークは短いほうがいいだろう。 やらない後悔ほどあほくさいものはない。 抱負を考えることはタダであるのに気後れする必要もない。多少

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        • 四月日記
          25本
        • エッセイ
          48本
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        記事

          6月25日「夢の中へ」

          むせかえるような暑さだった。昨日は大荒れを二乗したような天気だったのに、打って変わって、まぶしい水色に湯葉みたいなうすい雲が張り付いている。夏を思わせる天候だった。 昼を過ぎると三十度近くまで気温が上がるらしい。ピクニックや海にでも赴きたいけれど、そこに彩りを添える仕事を生業にしているせいで、屋内で過ごし続けることになった。 夏の足音が聞こえたおかげなのか、来る客はみんな浮き足立っているように見えた。今日は暑いですね、と何回口にしたのか分からない。 明日も暑くなるみたいだよ

          6月25日「夢の中へ」

          4月23日「レゴ」

          夜、仕事を終えて、日記を成形することにした。 毎日何かを書きつけてはいたのだけれど、人様に見せるには覚束ない文章運びが目について、ネットに投稿するのを躊躇っていた。一発で納得のいくものを書けたならどれだけいいことか。 まあ、運命の人に送る指輪を買う時にも、いくつかのサイズを試さなければならないのだから、しっくりくるものを簡単に手にすることは多分無理なのだろう。 その上、自分のためでもあるとなればなおさらだった。自分の納得は自己満足と同じことだが、そのハードルは、人からの意見を

          4月23日「レゴ」

          妖怪道中膝栗毛

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          妖怪道中膝栗毛

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          6月24日「自転車」

          自転車を停めている倉庫から出ると小雨が降っていた。本降りとまではいかないけれど、徐々にうっとうしくなってくるような予感がする程度の雨。玄関まで戻って傘を取るのも面倒なので、そのまま駆け出すことにした。 サドルに体重を預けて気がついたのだが、後輪のタイヤの空気が抜けてきていた。これではスピードが乗らない。立ち漕ぎでペダルを踏み込んでいく。 路面はうっすらと湿っていたのでブレーキをかける時には慎重になった。しばらくすると、眼鏡のレンズに水滴がついて景色が見えにくくなってしまった。

          6月24日「自転車」

          4月22日「シェルティ」

          昨日から続くしっとりとした空気が肌を撫でた。なんとか耐えてきた曇り模様も、今日はついに耐えきれず雨になる予報だったので、念のため傘を持って出勤した。 最近は自転車で通勤していたから、職場まで徒歩で向かうのは久々のように感じた。時間はかかるけれど、歩いていると目に着くものが増えるので嫌ではなかった。 白黒のシェルティが散歩をしていた。たくましい胸毛が風に揺れており、賢そうな目で短い足の行く末を見つめながら、散歩を楽しんでいるように見えた。 僕の彼女は、僕と出会う前までシェルテ

          4月22日「シェルティ」

          宛先のない栄光梱包

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          4月21日「ガリガリくん」

          休日となると怠惰に身をかまけてしまいがちだから、できる限りの充実を掴み取るため、家を出て歩き始めた。夏のふりをしている太陽の陽射しが思ったよりも強く照りつけて、無駄に着込んだシャツが身体にぺたぺたと張り付いた。 あまり気分のいいものではなかった。 心地の良い場所を求めて街へと向かった。 地下鉄を降りて街を歩いていると、自転車に乗りながらガリガリくんのソーダ味を食べている高校生とすれ違った。昔の自分を見ているような感覚がした。 なんでもない日でも、60円のアイスをかじれば全て

          4月21日「ガリガリくん」

          大人になればいいよ

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          4月20日「幽体離脱」

          ゆっくりと目覚めたせいで時間がなかった。カーテンを開けた向こうはあまり気持ちのいい天気ではなく、鈍色の雲が向こうまで広がっていた。 茶けた山々には緑が差し始めているけれど、さらに奥にある、より高い山のてっぺんには、まだ冬の名残が白く残っていた。季節が動いているのがよく分かった。花粉症の時期であるから、幾ばくかの憂鬱が心を支配した。その反面、暖かくなっていくこれからの日々には嬉しさを感じる。 さっさと準備をしなければならない時に限って、普段から目にしているはずの景色が変化して

          4月20日「幽体離脱」

          愛とは?

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          5月19日「いい時間」

          それなりに早く目覚めたのでEVISBEATSの『いい時間』を流しながら身支度を済ませた。忙しのない朝もメロウな音楽あればそれなりにいい時間に生まれ変わる気がした。 「朝」は自分にとって永遠の課題だった。爽やかな朝だったことなんて、人生において数回しかないように思えた。それもだいぶ昔の話だ。 小学生の頃にいつもよりも早く起きて、登校時間まで少し時間が余ったから、スーパーファミコンのドンキーコング2を1ステージだけ進めたのはいい朝だった。あれより後に、いい朝だったことはない気がす

          5月19日「いい時間」

          4月19日「接客」

          仕事を終えて美容室へ向かう。 二ヶ月近く放置してしまった髪はだらしなく伸びきっており、前髪は涙袋を隠すくらいまで到達している。 散髪は僕の中で面倒ランキングの上位に座している。髪質が少し特殊なことが原因だった。細くてしっかりとした直毛なおかげで、ワックスで遊べなかったり、パーマのかかりが悪かったり、学生の間に通るカッコつけをほとんどすることができなかったから、髪型に対する執着がほとんどなかった。 性格的にも、寝癖が直ればそれで外に出られる。最低限以外に手を加えない。 とはいえ

          4月19日「接客」