Ai_Kurose
「思テ之ヲ得ル」道 ―― 伊藤仁斎に思う 黒瀬 愛 『本居宣長』を読んでいくうちに、伊藤仁斎という学者のことが、私の心に強く入り込んできた。小林秀雄先生は、伊藤仁斎について次のように書かれている。 ―― 仁斎は「語孟」への信を新たにした人だ、と先に書いたが、彼の学問の精到は、「語孟」への信が純化した結果、「中庸(ちゅうよう)」や「大学」の原典としての不純が見えて来た、という性質のものであった。「大学非二孔氏遺書一弁」は、「語孟字義」に附された文だが、その中で仁斎はこう言