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30年前の生徒のことを、先生は覚えているだろうか

およそ30年前に受け持った生徒のことを、先生は覚えているのだろうか。

小学3年生の息子が通う小学校の教頭先生が、僕が小学6年生の時の担任だと知ったのは今年に入ってからだ。学校で配られるPTA広報誌に、先生たちの顔写真が掲載されていたのがきっかけだった。

あれ?この人、もしかして。

担任だった時と、顔は全然変わっていない。むしろ、そのまま過ぎて本当に歳を重ねているのだろうかと不思議に思ったくらいだ。
なんて偶然。
ただ、突然会いに行くのも変だ。まぁ、何かの学校行事で一緒になるかもしれないしな。そんな淡い期待にも似た気持ちを抱いていた。

ところが、今年の運動会は息子が風邪をひいて休み。参観日などでも会うこともなかった。なかなかタイミングが合わないのも、ある意味何かの縁かもしれない。まぁ、それもまたしょうがないかなと思っていた。

きっかけが訪れたのは、先週末のことだ。
学校行事に奥さんが参加した。朝から昼頃まで行われたスポーツ大会の運営だったらしい。その最中、連絡があった。

「教頭先生、来てるよ」

あらら。またタイミングを逃してしまったと思いながら、「もし話す機会があれば覚えてるか聞いてみて」と返事をした。

こっちは、小学校生活6年間のうちの担任の1人なので覚えている。でも、相手からするとどうだろう。これまでに何百人と受け持った生徒のうちの1人。果たして覚えているものだろうか。

行事が終わり、家に帰ってきた奥さんはすぐに教えてくれた。

「覚えてるって。今日来てないの?って言われたよ」

またまた、本当に?
聞かれたらそう答えるのが無難だからじゃないの?
どうしても疑ってしまう。すると奥さんが、教頭先生から聞いた当時の僕について話してくれた。

「えーとね、少しぽっちゃりしてて」

あー、確かに当時太ってました。

「消防署の裏に住んでて」

住んでました。
間違いない。それ、俺です。
すげーな、先生の記憶って。

なんとなくだけど、教頭先生は異動が早いイメージがある。来年異動するかどうかは分からないが、3月までには話す機会があればいいなとぼんやり思った。

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