手術後
痔瘻の手術が終わると、ストレッチャーに乗せられて病室へと運ばれた。
天井が見えるだけで、ガラガラという音が聞こえる。部屋に着くと4〜5人の看護士の方々に協力してもらいながらベッドに移された。医療ドラマでよくある「いち、にっ、さん!」のかけ声と共にみんなで患者の体を動かすやつだ。
下半身は麻酔でマヒしていて自分じゃどうすることもできない状態だったので、スタッフのみなさんにただただ感謝だった。
ここでようやくベッドに移されて一安心…と思ったが、そうではなかった。
「これから6時間はベッドから起き上がったらダメです」
腰椎麻酔をした関係で、術後6時間は寝たままの状態でいないといけないとのこと。
これが、辛かった。
手術が終わったのが午後3時30分。
これから6時間ということは、夜の9時半まで動けないということだ。
何となく眠れる状況でもなく、両足は痺れてて使い物にならないし。身体も起こせない。
わー…ホントに何もできなーい。
諦めておとなしくしているしかなかった。進む時間を指折り数え、やっと残り2時間!というところで問題発生。
グルグルグル…。
お腹の調子がなんだか怪しい。
6時間起き上がれないということは、トイレも行けないということ。なので看護士の方が、トイレ用の容器をベッド近くまでもってきてくれているのだが、正直なところこれに頼りたくない。。
あー、どうしよう…。
悩んでいたことは2つ。
一つは、お腹の状態が9時半まで保つか。ただ、これはどうにかなりそうな気配があった。
そしてもう一つは、術後すぐに用を足すことへの不安…。通常、何も食べていない&浣腸などで空っぽのはずなので、お腹が痛くなるのはご飯再開後らしい。大体は術後1日経ってから。なのに、なぜか僕の大腸は術後すぐなのに活発に動いている。
看護師に相談したが、少し困った様子だった。
「とにかくいきむのはNGです。出血があるかもしれないので」
マジかよ…。トイレで大出血とかしゃれにならない。
このまま何とか朝までやり過ごせないかを本気で考えてみたが、お腹の具合からすると無理そうだ。
午後9時40分。
起き上がりの許可が出て、トイレへ向かった。
やっぱりお腹が痛い。
「あの、用を足した後ってどうしたらいいですか?ウォシュレット使ってもいいんですかね?」
「…んー、いや。使わないほうがいいですね。これ使ってください」
渡されたのは、肌に優しいウエットシート。
なるほど。ウォシュレットすら危険なのか…。
だいぶリスキーだな。
さまざまな想定をしつつトイレへ。
…結果、お腹にガスが溜まっていたようでトイレでの大出血とはならなかった。
あー良かった…。
看護師に付き添ってもらいながら部屋へ着くと、時間は午後10時30分。
長い一日だった。
ベッドに横たわって、ゆっくりと目を閉じた。
(note更新387日目)