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「凱旋MC battle 九州冬ノ陣2024」に親子で参戦してみた。

フロアに入ると開演20分前ではあったが、DJが音楽を流し会場は一体感に包まれていた。ざっと見渡しても、1階のスタンディング席は満員に近い。スピーカーから音がガンガン鳴る状況に、8歳の息子は思わず耳を塞ぐ。

「うるさっ…」

その様子を見ながら思わず笑った。

「ライブハウスなんて、こんなもんだよ」

初めて訪れたZepp Fukuokaは、想像以上に広かった。息子は初めてのライブハウス。いつかはあるシチュエーションだとは思っていたけど、まさかこんなに早く親子で一緒に来るとは思っていなかった。

8歳の息子が、MCバトルに興味を持ち始めたのはここ2〜3ヶ月のことだ。

MCバトルとは、DJが流すビートに合わせてラッパーが即興でラップを繰り広げ、ディスを交わし合う戦いのこと。

by Google先生

「ピラフ星人」「May4」「ガードマン」「dotama」。
いつの間にやら、それまで聞いたこともない名前が息子から次々に出てくるようになった。
きっかけは、YouTubeでたまたま流れてきたショート動画。MCバトルの様子を動画で見ていたら好きになったらしい。

見に連れて行けたら、息子はきっと楽しいだろうな。
ふとそんなことを思いスマホで検索したのが10月中旬。すると、11月16日に見事ヒットしたのが「凱旋MC battle 九州冬ノ陣2024」。しかもここには息子が好きになったラッパー達が勢揃い。

「見に行く?」

そう聞いた時の息子の目の輝きは、きっとこれからも忘れないだろう。
今年は僕がIgA血管炎を患ったことで、春も夏も息子をどこにも連れて行ってあげられなかった。それがずっと僕の中にあった心残り。正直、スタンディングで数時間もその場にいられるかは自信が無かったが、体調は悪くない。ある程度は大丈夫だろうと希望を託して福岡行きを決めた。

当日は開場前は長蛇の列だった。さすがチケットがソールドアウトしただけのことはある。Zepp Fukuokaのキャパからすると2,000人近くがこの日のために足を運んでいるということだ。

ラップのMCバトル。
実は僕も初めての体験だ。どちらかというと、そういうジャンルは苦手な方だったので、足を踏み入れたこともなかった。ただ、息子が見るYouTubeを一緒に見ていて思ったのだ。
この人たちは言葉のプロだな、と。
ラッパー達が即興で、その時に定められた曲に合わせて言葉を紡いで並べていく。その様子は知識ゼロでも面白く、単純に「すごい」と思った。

開演時間になると、僕ら親子2人はフロア後方のエリアで観戦した。周りのお客さんは、さぞ怖い人達なのだろうと思っていたが、全然そんなことは無かった。僕らがいたエリアには、小学生を連れた親子連れや中学生と思われる人たちが数多くいて、お互いになんだかホッとした様子だった。

好きなラッパーの名前が会場に響きわたる度に、息子は「おー!!」と感激していた。そして、手を上げて曲のリズムに乗っている様子を見るのは楽しい。個人的には、dotamaというラッパーが好きだなぁとバトルを聞きながら思った。

MCバトルが終わり帰る頃には、福岡の街は薄暗くなっていた。

「どうだった?」

息子に聞くと嬉しそうに答える。

「めちゃくちゃ楽しかったよ!」

あぁ、良かった。これで2024年は、息子にとって「MCバトル初参戦」という思い出が残るだろう。つい最近まで息子に何もしてあげられなかった悔いも、少しは晴れた気がした。

「ラーメンでも食べるか」

天神の街を歩きながら声をかけると、息子はニコッと笑いながら答える。

「YouTuberが福岡のラーメンはうまいって言ってた」

すげーな、YouTube。
僕は笑いながら、近場のとんこつラーメンをスマホで調べていた。

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