
ブロッコリーの天ぷらが解決してくれた
おぉ、これおいしい。
最近、地味に心動かされた夕飯のメニューがある。それは「ブロッコリーの天ぷら」。
幼い頃からブロッコリーは食べていた。特に嫌いなわけでもない。かといって、好きなわけでもなかった。サラダに入っていたら「まぁ食べるか」くらいのポジション。
ただ、食べていてやっぱり気になるのは茎の部分。上にあるドーム状の「花蕾(からい)」と呼ばれる蕾の部分は柔らかいのだが、茎はどう調理しても少し固い。
そんな中で、この問題を著しく解決に導いてくれたのが、天ぷらだ。今まで固くて邪魔だった食感が、見違えるくらいにホクホクになる。口に障ることなく、というかむしろ美味しく生まれ変わるのだ。
IgA血管炎に罹って以来、家族全体で食生活を見直すようになった。色々と調べていくとブロッコリーは栄養素が豊富らしいということが分かった。そこで、割と積極的に食卓に出てくるようになったのだ。僕にとってそれはありがたいことなので、茎が固いなんて細かいことは言わずにバリボリ食べていた。
そこに登場したブロッコリーの天ぷらは、まさに革命児。これなら、いくらでも食べられる。ブロッコリーのビタミンCをたくさん摂るには、蒸し料理が最適だそう。でも、衣の中で蒸されるので天ぷらも良いらしい。調理の工夫で、ここまで素敵な料理になるなんて。
「うまい、うまい」と感動しながら食べていた時に、ふと思うことがあり箸を止めた。
そんなに好きじゃない食材でも、衣をつけて揚げれば魅力的な料理に生まれ変わる。
これが人や仕事だったらどうだろう。
そんなに好きじゃない人や仕事でも、接し方や方法を変えれば、今までにない輝きを見せるのではないか。
一瞬、すごく良いことを思いついたような気がしたが、すぐにクシャッと丸めて頭の中のゴミ箱に投げた。
いやいや、そんなにうまくいかねーよ。現実は。
皿の上にあったラスト1個のブロッコリーの天ぷらを箸で挟んで口に放り込む。
やっぱりうまい。
まぁ、でもそんな考え方を持つのは大事かもな。
さっき頭の中のゴミ箱に投げた思いつきの欠片は、縁にあたって入らずにコロリとその辺に落ちたような気がした。