焦った健診結果
昨日、6歳の息子が小学校から一枚のプリントをもらってきた。少し前に学校で受けた耳鼻科健診の結果通知だった。
…え、異常?
しかも、なにこの「耳垢栓塞」って。何て読むの?
人生で初めて見た診断名だ。
ネットで調べてみると、「じこうせんそく」と読むらしい。
耳垢…。
息子の耳の掃除をしてあげていなかったからだろうか?
これまでの人生で、耳垢を取ることをそんなに意識したことが無かったので、少し戸惑う。
とりあえず、病院には行く必要があるという。
そこで今日は、息子を耳鼻科に連れて行くことを理由に会社を早退した。
児童クラブに迎えに行くと、いつもなら喜ぶ息子の表情が冴えない。帰る支度も少しノロノロしている。
「なんか怖いから、行きたくないなー」
本音だろう。
昨日から病院に行くことを話していたので、息子なりに色々と考えていたのかもしれない。
「耳、聞こえにくいとかある?」
聞いてみるが、息子は首を横に振る。現段階で特に違和感は無さそうだ。
誤診…だったりしないよな?
そんなことも考えながら耳鼻科へ向かった。
今日行くことにしたのは、僕のかかりつけの耳鼻科だった。児童クラブからは少し遠かったが、診察してくれる先生が顔なじみなので心強いというのが理由だ。
病院に着き待合室で待っていると、名前が呼ばれたので二人で診察室に入った。
「おや、こんにちは」
先生はこちらに気付いて挨拶してくれた。
「あ、どうも。こんにちは」
軽く挨拶をした後にすぐに診察となった。
息子の耳を診察道具を使いながら診ていく。
「あ〜なるほど」
そのまま、ピンセットのようなもので処置を始めた。
看護師が先生の隣でガーゼを手のひらに乗せて準備している。先生は息子の耳から取り出した耳垢をそこに置いていく。
実はこれが、ここ最近で一番の衝撃的シーンだった。
学校での健診結果を「誤診じゃないか?」なんて疑ってすみませんでした!…というくらい、大量の耳垢が取り出された。
おそらく、この記事を読んで想像する量の3倍くらい。
両耳でビー玉一個分くらいの耳垢が除去された。
こんなのがどう息子の耳の中に収まっていたのかを逆に聞きたいくらいだった。
「はい、これで大丈夫」
時間にして数分。
ただ、個人的な衝撃はかなり強かった。
「こどもだから溜まりやすいんだよね。でも、ちゃんと取り除いたから大丈夫ですよ。学校でプールとかあると思うんだけど、全然問題なく入れます」
先生の優しい処置にお礼を言いながら、気になったことを聞いてみた。
「定期的に、耳の掃除とかした方がいいんでしょうか?」
すると先生は首を横に振った。
「いや、基本的にはしなくていいですよ。耳の掃除とかすると、かえって耳垢を奥に押し込んじゃったりして大変になるから。一年に一回は小学校で健診があるだろうから、そこで溜まってるって言われたらまた連れてきてください。そのくらいの気持ちでいてもらえれば」
先生の言葉に、心底安心した。
処置が終わった後に、息子に聞いてみた。
「少しは聞こえやすくなった?」
「うん、自分の声がめっちゃ大きく聞こえる」
息子は音の聞こえ方に驚いていた。
やっぱりそうだよな。
あれだけの耳垢取れたら、そりゃ聞こえやすくもなるよな。
耳垢栓塞(じこうせんそく)は、耳の中で垢が固まっていたりすると数日に分けて処置しないといけないこともあるそうだ。息子の場合は、今日だけで全て除去できたので大事には至っていなかった。
「はぁ、良かったー」
病院からで出て車に乗った。
安心すると、ドッと疲れを感じてくる。
「ぼくね、アイス食べたい」
いいよ、いいよ。
アイスくらい全然買ってやるわ。
シートベルトをして車のエンジンをかける。
病院からもらった「処置完了」のプリントを見た時に、ふと気付いた。
あ、今日七夕じゃん。
こんなに印象的な七夕は、しばらく忘れられないな。
アイスを買うために、車でコンビニへ向かいながらそんなことを思った。
(note更新216日目)