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【妊活記録#6】思わぬ妊娠報告、やり場のない気持ち

はじめての採卵が全滅に終わって次の月に、
夫と県外へ旅行に出かけた。
旅行といっても正確には、夫の友人夫婦の家に
泊めてもらって1泊2日で遊ぶというものだった。
友人夫婦は私たちと同じ歳で同じ同級生夫婦。
夫の友人の奥さんとは初対面だった。

期待して臨んだ採卵は上手くいかなかったし、
気分転換に楽しもうと思っていた。

1日目の朝に友人夫婦宅に到着して挨拶して
開口一番に「ちょっと話があって」と言われた。
イヤな予感がした。大体こういう予感は当たる。

「実は、今妊娠してる。まだ3ヶ月とかで悪阻も少しあって、遊ぶのは問題ないけどもしかしたら途中で体調悪くなることがあるかもしれないから、伝えておく。」

・・・やっぱり。

この夫婦は入籍してまだ4ヶ月とかだった。
普通の人は望めばこんなにすぐ出来るんだな。
急に、絶望感を感じた。その時の光景は忘れもしない。

「え〜〜そうなの!おめでとう!」

頑張って作った笑顔でそう言ったつもりだったけど
上手く出来ていたかは正直自信がない。
きっと夫も何かを感じたとは思うけれど
どんな顔をしていたか、見る余裕もなかった。

そのあと、この二日間、どこに行こうかとか
何しようとか何食べるとか話していたけど
私の頭の中は真っ白だったし、心は悲しかった。

これから二日間も、しかも泊めてもらうから
朝も昼も夜もこの人たちと一緒にいないといけなくて
まだ初対面で仲が良いわけでもない
悪阻で苦しむ妊婦を気遣って過ごすことになるなんて。

それは治療が上手くいかなかった私にとって
タイミング的にも、最悪だった。

それから私は無になって、彼らと共に二日間を過ごした。
無になれば、旅行自体はそれなりに楽しめたし
泣いたりすることもなかった。
それが、無理をして出来ていることだと
自分でも分かっていたけれど
無理をしなければやり過ごせなかったのだ。

車の中では、コーヒーの匂いが無理だとか、
じゃあコーヒー飲むのはやめようかとかそんな話や、
常に体調はどう?きつくない?と声をかけ合ったり
私もそれとなく気遣うような言葉をかけて...
それをしている時だけは、さすがに心がざわついた。

夫と二人になれる時間が少しでもあれば
話せたのかもしれないけど、そんな時間もなかったし
ただただ楽しい雰囲気に身を任せて過ごした。

色んなところに連れて行ってもらって、
たくさん観光してたくさん食べてたくさん喋って
やっとお別れの時。とても良くしてもらったのに
「やっと解放される...」と思ってしまった。 

バイバイをして、やっと夫と二人になって
車を出発させた。高速のインターチェンジに乗って
「さあ、帰ろう!⚪︎⚪︎ちゃん(私の名前)、ありがとね。」
夫がそう言った瞬間に、無理をしていた感情が
ほどけてものすごい勢いで涙が溢れ出た。
それからしばらく、私は車の中でワンワンと泣いていた。
何も言わなくてもきっと夫には私の感情も
無理をしていたことも伝わっていたのだろう。
夫は、泣いている私の手をずっと握っていてくれた。

誰を責めたいわけでもない、誰が悪いわけでもない。
やり場のないこの気持ちはどうすることも出来ない、
ただただ泣くしか出来ない。
私はこの時の感覚も、きっとずっと忘れることは出来ない。

この頃は、まだ自分が辛い状況の中で
このような報告をされたのが初めてだったし
自分の気持ちに整理をつけること、
自分をコントロールすることが上手く出来なかった。

傷付くことが怖くて(それは今も変わらないけど)
人に会うのがもっと怖くなった。
友達の誘いも断るばかりになってしまった。

でも、今はとにかく自分を守ることを優先しよう。
会える友達にだけ会えば良い。無理をしない。
今までもそのスタンスでやってきたけれど、
改めて、そう強く誓った出来事となった。


これを書いている今はこの時よりは、
感情のコントロールが出来るようになったなと
自分では思っているけれど
人に会って傷付くのが怖いという感情はずっとあります。
その後、このご夫婦は無事に出産されたのだけど、
夫が出産祝いを考えているときも、
夫が気を遣って私と連名で祝いを送ってくれたときも
正直私は複雑な気持ちだった。
心の底から喜んでいない自分も嫌でした。

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