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袴の意味①
柔道出身の私は、なぜ合気道が袴を履くのかわかりませんでした。
「邪魔になるだけなのに……」
とはいえ、袴姿に憧れて合気道をはじめた! という方は多くいます。
特に女性に多いでしょうか。凛とした姿がカッコよく映るのだそうです。
「はは袴にはな、折があるやろ。これひとつひとつに意味があってな」
ネットで調べると、こんな記載がありました。
袴の5本の襞は、「五輪五常の道を諭したもの」とされています。
ー中略ー
五輪五常とは、儒教における5つの基本的な人間関係を規律する徳目を表し、
1:君臣の義 ・・・ 君臣(くんしん)は義を重んじお互いを思いやる。
2:父子の親 ・・・ 父子は親しみを持つ。
3:夫婦の別 ・・・ 夫婦は互いに役割を持つ。
4:長幼の序 ・・・ 兄弟は互いを愛し、敬って序(上下関係)を守る。
5:盟友の信 ・・・盟友(固い約束を結んだ友)は信じあう。
の徳目です。
五常とは、人が常に守るべき5つの徳目のことです。
1:仁 ・・・己に克ち、他に対するいたわりのある心のこと
2:義 ・・・正しい行いを守ること
3:礼 ・・・礼儀、礼節を重んじること
4:智 ・・・物の道理を知り正しい判断を下すこと
5:信 ・・・いつわりのない忠実な誠の心
ちなみに、後ろの一本襞(ひだ)は、二心のない誠の道を示したものとも言われています。裏の折り目は、以下の二つの意味を持ちます。
1:忠 ・・・ 主君に尽くすまごころのこと
2:孝 ・・・ 親、兄弟を大切にする心のこと
居合を長くされていた師範は、この記事を見て「その通りよな。折のひとつひとつに意味がある」とても感銘を受けたようで、プリントアウトして道場に掲示しています。
そして、
「これ握ってみぃ」
袴の折を丁寧に持ち、折りを正して差し出してきます。
握ろうとするも、なぜか握り込み掴むことができず、力が畳へ流れるようにスッと落ちて体勢が崩れてしまう。
「でもな、これは通らん」
袴の折をグシャッと握り潰すようにして渡されると、全く流れを感じない。ただの布を掴んでいる感じ。もちろん、姿勢は全く崩れません。
「いっちょいっちょに意味があるんよな」
大学の稽古ののち、道場へ移動し再び稽古。その際も袴は必ず丁寧に畳んでいたことを思い出します。
「車のシートに座ったら折が崩れるやろ。そしたら正しく稽古できんのよな。」
当時は「そんな神経質にならなくても…」とも思っていましたが、今はその意味がわかりつつあります。
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