合気道と私
…の出会いは、22年前に遡る。
今は亡き妻が産んでくれた二人目の子どもは、男の子だった。
男の子を授かったからには、
「ケンカくらいは教えられる父親にならねば…」
と、今冷静に考えたらえらく物騒な動機で何らかの武道に通じようと考えた。
とはいえ、そこは安月給の哀しさ。
剣道や弓道のように道具にかける金はなく、
柔道や空手のようなガッツリ系の稽古でケガなどしようものなら通院代も大変…。
と、物騒なわりにはなかなかチキンな思考を巡らせているうちに、たまたま通りかかった中学校の武道場で見かけたのが合気道の稽古でした。
当時の道場は設立4年弱、師範以外に黒帯袴の道場生は2〜3人くらいしかいなかったような。
印象的だったのは、師範の受けを取っていたお弟子さん(後にたくさん指導を頂いた先輩となる)の体捌きが見事に美しく、
「自分もあんな技や受けをやってみたい…」
と心躍らせ、産後3カ月の妻には心の中で何度も詫びつつ入会を果たしたのでした。
今は道場を変え、当時ご指導をいただいた先輩も県外の道場へ移ってしまわれましたが、あの夏の昼下がりに見た師範の技と先輩の受けは、今でも記憶の中にキラキラした輝きを放っています。