松竹伸幸氏の安保廃棄段階論と日本共産党の安保廃棄に向けた二重の取組み

松竹伸幸氏の安保廃棄段階論と日本共産党の安保廃棄に向けた二重の取組みは、似て非なるものなので混同する人が多い。
自分用に図表にしている。

松竹氏の見解と日本共産党の主張は、安保廃棄前(第1段階)の「政権構想」については、①と③にあるように、ほとんど同じである。
安保廃棄を実行する民主連合政府樹立後の第2段階も第3段階は、政権論としても党の路線としてもほぼ同じである。

決定的な違いは、「党の基本政策・路線」である。
松竹氏は第1段階においては、党としても、安保廃棄の運動を組織しない=安保堅持でいこうと主張する(②)。
一方、日本共産党は、党としては、安保廃棄の運動を組織し推進していく立場である(④)。

松竹氏は、東アジアの安全保障環境が成熟したら第2段階へすすむと主張する。いわゆる「安保廃棄段階論」である(⑤)。安保堅持を前提にした外交・防衛政策を進めつつアジアの平和環境構築に努め、平和環境が成熟する段階になってから安保廃棄の課題に取り組もうとする立場である。その段階に至るまでは党としても安保破棄の旗は降ろすのである。
一方、日本共産党は、第1段階において安保廃棄の運動を推進し安保廃棄の世論が多数派になるよう努め、それがあってこそ第2段階に移行できるとの立場である(⑥)。第1段階において安保の危険性や廃棄の必要性を宣伝し運動する必要があるとの見解である。
私としては、松竹氏の世界情勢論にはアメリカ帝国主義の侵略性への過小評価・美化があり、それが氏の安保廃棄段階論の主張となってあらわれたと考えている。

松竹氏の主張・見解が日本共産党綱領に反しているかどうかについては、松竹氏は、綱領に明示的に記述されているのは"民主連合政府の段階で安保廃棄する"ことだけであって、民主連合政府樹立前の段階で党が安保廃棄の旗を降ろしても、綱領違反にはならないと主張する。
日本共産党は、安保廃棄路線が綱領の根幹・根本であることは当然であって、政権構想として日本共産党が安保維持の政権に加わることはあったとしても、党自身の安保廃棄の旗は降ろさないのであって、その旗を降ろす松竹氏の見解は綱領の根幹・根本に反すると主張する。
私は次のように考えている。
綱領の字句・文言だけから解釈するのであれば、2004年の綱領改定において、行動綱領部分を削ったため、松竹氏のような文理解釈が可能となったわけだが、松竹氏以外はそのような綱領の盲点を突く解釈は誰もしなかったわけで、松竹氏の解釈を採用するのは困難である。


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